「こんな便利な機能、使っていいのか……!?」
高速モード。本作『テイルズ オブ エターニア リマスター』で新たに追加された、オート状態で高速戦闘をしてくれる機能だ。
『テイルズ オブ エターニア』は、2000年にプレイステーションにてリリースされたRPG。2005年にはPSPへも移植されている。
『エターニア』は、『テイルズ オブ』シリーズの中でも名作との呼び声が高い。空を挟んで2つの世界が向かい合う「対面世界」という幻想的な舞台、シリーズで初めて必殺技「秘奥義」が登場した戦闘システムにはじまり、ストーリー、キャラ、楽曲に至るまですばらしい点が無数にある。
そんな作品がリマスター化されるにあたり、数々の便利な新機能を引っさげて2026年10月15日に発売される(Steam版は10月16日)。
なんにせよ、筆者がプレイしてから20年以上が経っている。なので認識が当時のまま固まっており、初見は高速モードに困惑した。このボタンを押していいのか、数秒固まっていた。
「使ったら負けだ」という過去への固執と、「とりあえず押しちゃえよ」という現代人としての自分がせめぎ合ったが、後者がすぐに勝った。
す、すげえ……10秒かからずにバトルが終わる……!!
めちゃくちゃ快適だった。明らかに脳みそから変な汁が出ていた。そしてちょっとした背徳感を覚えつつも、試遊中は高速モードをはじめ、ダメージ5倍などの新機能を使いまくっていた。むしろ、その背徳感ゆえに気持ちよくなっていた。
本稿では発売に先駆けた先行レポートをお届け。あわせて本作プロデューサーへのインタビューも掲載する。
取材・文/世界のザキヤマ
ブースト機能の「ダメージ5倍」で爆速バトルが可能
刷新された点は多岐にわたるが、特筆すべきはブースト機能だ。
中でも目を剥いたのはダメージ5倍。
これも高速モードと同じく、最初は使うことを躊躇った。『エターニア』はじっくり腰を据えてプレイした記憶が強く残っていて、その記憶が薄れてしまうような……。そう思いながらも、両方をオンにしてバトルをしてみると、
うおおおっ……! きっ、きもちいいいいい!!
高速モードと組み合わせて、わずか4秒でバトルが終わった。
具体的に、どれだけ速いのか。
たとえば、手動+ダメージ1倍で戦ったときのリザルトがこちら。

そして高速モードのみ+ダメージ1倍がこちら。

これらと比較しての4秒である。ちなみにタイムにはファンファーレの約2秒も含んでいるので、バトル自体は実質2秒だ。すさまじいサクサク感である。
「じゃあオリジナルに比べてヌルゲー化したのか?」という懸念もあるかもしれない。筆者も最初はそれを危惧していたが、まったくそんなことはなかった。
なぜならこのダメージ5倍は「敵味方にかかるもの」だからだ。
言い換えると、敵からのすべての攻撃が致命傷になり得る。試遊ではウンディーネとのバトルにダメージ5倍で臨んだが、気付いたら前衛のリッドとファラがあっさり沈んでいた。

爆速でのバトルは味わえるものの、ボス戦で詰むことは十分にあり得る。パーティが育ちきっていない状況だと、ハイリスクハイリターンなモードと言えるかもしれない。
経験値もエンカウントも自在に調整できる
その他の新機能についても掻い摘まむと、獲得経験値と熟練度、ガルド(通貨)まわりをいじれることが大きい。「時間がないけど楽しみたい」という人にも心強い機能ではないだろうか。
エンカウントに関しては、「オフ」「ロー」「オン」の3段階から選べる。
あくまで体感だが、デフォルトの「オン」の状態は、昨今のRPGに比べるとやや会敵が多いような気はした。レベリングを除くと、「ロー」が探索していてほどよい感覚だった。
なお、ブースト機能は原則的に都度の切り換えが可能だが、アイテム所持数に関してのみ、1回オンにすると戻せなくなる。もし縛りプレイをする場合は要注意、という形だろうか。
ちなみに本作には、目的地へのガイドも新たに付いている。オリジナルだとちょっとわかりにくかった箇所にもたどり着きやすくなり、かなり遊びやすくなっていた。
新機能はいろいろあるけど『エターニア』らしさは変わっていない
本作はここまで紹介した通り、ブースト機能を活用することによって、タイパ重視の現代人でも楽しみやすい仕上がりとなっている。
では、オリジナルの『エターニア』らしさが失われていたかというと、これはまったく違う。
一例として、「水晶霊の河」で手に入る短剣「チンクエデア」を紹介したい。

ただ、この装備は水属性だ。そしてこのダンジョンのボスのウンディーネも水属性だ。要するに、装備したままボス戦に臨むと与ダメージが減ってしまうのだ。罠かな???
もちろん「水に所縁のあるダンジョンに、水の装備が落ちているのは道理」なのだけど、なんとも絶妙な置き方である。
でも、これがいい意味で『エターニア』しているのだ。プレイヤーに迎合しきらない遊び心や、すんなり思い通りにいかない設計にも、『エターニア』の「味」があると思う。
もっと掘り下げると、『エターニア』という作品は、隠し要素がきわめて多いことでも知られている。
だが、それらに対するガイダンスは追加されていない。続くインタビューでもふれているが、「隠し要素に関しては、リマスター版でも変更していません」というコメントをいただけている。
「ああ、『エターニア』らしさをしっかり残してくれたんだな」と、懐かしさとともにうれしくなったのだった。
プロデューサーインタビュー
試遊会では、本作のプロデューサーである玉越修平氏への合同インタビューも実施。本作のリマスターにあたって何を変え、何を変えなかったのかをうかがった。

手探りで攻略していた時代のバランスをどう残すか。目的地アイコンは足しても「隠し要素」には触れない
──なぜ『テイルズ オブ エターニア』をリマスターするに至ったのか、経緯をお聞かせいただけますでしょうか。
玉越修平氏(以下、玉越氏):
まず『テイルズ オブ』リマスタープロジェクト全体の方針として、「できるだけ多くの作品を現行機で遊べる形でお届けする」という方針で進めております。もちろん『エターニア』もそのひとつです。リマスタープロジェクトでは、完成の見通しの立ったタイトルから順に発表・発売するという方針となっており、今回初めて2D時代の作品『エターニア』のリマスターをお届けできることになりました。
──本作は、これまでの『テイルズ オブ』リマスター作品と比べると安価です【※】。これは多くの方に遊んでほしい、という思いからなのでしょうか。
※通常版:3600円(税別)
玉越氏:
はい、おっしゃる通りです。過去に発売をしてきたリマスタープロジェクトのタイトルと比べても、お求めやすい価格に設定しています。今回は『テイルズ オブ』リマスター初の2Dグラフィックという点も総合的に判断し、より多くのお客様に遊んでいただける価格としております。
──オリジナル版『エターニア』のときのバグは、リマスター化するにあたり修正されたのでしょうか。
玉越氏:
バグと言っても、状態が異なるものがいろいろあるかと思います。中でもフラグに関わるようなものや、「誰が見ても遊びづらいよね」といった不具合に関しては修正しています。
──『テイルズ オブ エターニア』は、『テイルズ オブ』シリーズでも人気の高いタイトルだと思いますが、リマスターにあたりプレッシャーはありましたか?
玉越氏:
プレッシャーは正直とても感じていますね。とてもすばらしい作品ですし、発売されてから25年以上経ったいまでも、すごく熱量の高いお客様がたくさんいらっしゃるタイトルです。その想いを裏切らずきちんと受け止めたうえで、満足いただけるようなリマスター版の制作に努めてまいりました。
──リマスターを手がけるにあたり、どういった点に苦労されましたか?
玉越氏:
個別の機能より、どちらかというと全体のバランスにすごく苦労しましたね。本作は皆さまもご存じの通り、2000年にプレイステーション向けに発売されたタイトルです。
今回リマスターの元にしている2005年発売のPSP(プレイステーション・ポータブル)版も含め、現代のゲームと比べるとゲーム内でプレイヤーに明示される説明量が少なく、紙媒体やインターネットなど、外部から情報を収集しながら手探りの攻略を楽しむような時代に生まれたゲームだと考えています。そういった部分も含めて「よかったよね」「おもしろかったよね」という感想をいただいているタイトルでもあります。
リマスター版として入れた便利機能によって現代のお客様が快適に遊んでいただきつつ、きちんとしたバランスも取るよう、時間をかけて調整しました。
ベースのシステムに関しては、『エターニア』から基本的には手を入れず、オリジナル版をリスペクトしつつ移植をいたしました。とはいえ、ガイドがないとクリアまで気づきにくい重要な部分もありましたので、さまざまなアイコンを追加しています。たとえば、つぎの目的地へのガイドアイコンのほかにも、貴重品アイテムへのアイコンであったり、時限式のサブイベントに対するアイコンがあります。
──『エターニア』の魅力のひとつに、豊富な隠し要素が挙げられます。しかし、ものによっては存在に気づくことすら難しいと思います。そうした隠し要素への導線は、新たに追加しているのでしょうか。
玉越氏:
いわゆる「隠し要素」に関しては、リマスター版でも変更していません。オリジナル版と同じように探索と発見を楽しんでいただければ、と思っています。
物語やセリフの改変はなし。便利機能のオン/オフはプレイヤーの自由
──現代の基準から見ると刺激的なストーリーラインもあると思います。そこも現代に合わせるのではなく、オリジナル準拠でリマスターしたのでしょうか。
玉越氏:
物語の大枠や、キャラクターの発言はオリジナル版に準拠しています。一部アイテムやエフェクトのデザインを調整したものはありますが、物語は一切改変をせずリマスターをしております。
──本作から『テイルズ オブ』シリーズにふれる方に、とくに見てほしい箇所はどこでしょうか。
玉越氏:
『テイルズ オブ』シリーズが初期から最新作に至るまで大切にしてきた、素敵なキャラクターとの出会いや冒険、ドラマのようなプレイ体験です。『エターニア』はこれまでの『テイルズ オブ』リマスターに比べると世代的にはやや古い作品ですが、そうしたすばらしい体験は世代を問わず不変だと思っています。
オリジナル版を遊んでくださった方も、本作から『テイルズ オブ』を遊んでくださるお客様も、同じように、『テイルズ オブ エターニア』の冒険物語で感動を味わっていただけると思っております。
──リマスターにあたり、さまざまな変更点があるかと思います。当時遊んだファンには、どこに注目しつつもう一度手に取ってほしいですか?
玉越氏:
今回追加した便利機能の類は、基本的にオン/オフが切り換えられる形で実装しています。たとえば当時と同じような雰囲気、同じようなプレイフィールで遊びたいというお客様は、オフにしていただくことも可能です。
逆にある程度サクサク遊びたいという方は、便利機能を切り替えながら遊んでいただきたいですね。プレイヤーの好みや現在のプレイ環境にあわせて、不朽の名作をお楽しみいただけるかと思います。
──変更点として、オリジナル版のキャラクター名称を変更できる機能が、リマスター版ではオミットされています。どのような理由でしょうか。
玉越氏:
たとえばリッドの名前をべつの名前に変更しても、セリフテキスト内で表示される名前や、実際にボイスとして呼ばれる名前は、きちんと「リッド」という名前で呼ばれます。それならば、名前を変更しないほうがシナリオへの没入感やキャラクターへの感情移入も高まると判断し、キャラクター名の変更機能はリマスター版では実装をしないことにしました。
──これまで字幕化されていなかった箇所の追加もありましたが、資料が残っていたのでしょうか。
玉越氏:
当時の開発データや資料をもとにきちんと文字起こしをした、オフィシャルのものとなっています。
──玉越さんとしましては、とくに『テイルズ オブ』シリーズの中で、『エターニア』のどういった部分がお好きなのでしょうか。
玉越氏:
全体の物語や魅力的なキャラクター、あとはバトルシステムの完成度の高さや音楽であったり……。そういった1つ1つの調和が非常に取れているという意味で、どこか特定の箇所というよりかは、『エターニア』という作品全体を推しており、とても魅力的に感じております。なお、キャラクターに絞るならばキールが好きです。
※画面は開発中のものです。
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