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サイゲームスは、なぜいま小・中規模のゲーム開発に特化した新ブランドを立ち上げたのか──10名以下のチームなら、試すのも変えるのも速い。その機動力を武器に、新作を年に2、3本送り出すことを目指す【CygamesEdge・濱田修一郎氏インタビュー】

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『グランブルーファンタジー』や『ウマ娘 プリティーダービー』で知られるサイゲームスは、大規模な開発体制のもと、数年がかりで大型タイトルを生み出してきた会社だ。

その会社がいま、小さなチームでのゲームづくりに挑もうとしている。2026年9月、小・中規模の開発に特化した新ブランド「CygamesEdge(サイゲームスエッジ)」の設立を発表したのだ。

1タイトルあたりのチームは、基本的に10名以下。その機動力を武器に、尖ったゲームを作っていく。開発期間は1年から1年半を目安とし、新作を年に2、3本送り出すことを目標に掲げている。

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これまでのサイゲームスの動きを考えると、思い切ったかじ取りのようにも思える。

世に出るまでの期間ひとつとっても、『ウマ娘 プリティーダービー』は、プロジェクトの発表からゲームの配信開始まで約5年。『グランブルーファンタジー リリンク』は、発表から発売までに7年以上かかっている。

代表取締役社長の渡邊耕一氏も、メディアのインタビューでサイゲームスらしさについて語るなかで「いいものができるまで諦めないこと」を挙げていた。納得がいくまで作り込むその足取りは、速さとはむしろ真逆にも見える。

そんなサイゲームスが、なぜいま、あえて小さく、速く作るのか。その疑問を、「CygamesEdge」のプロデューサーを務める濱田修一郎氏に投げかけた。

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濱田修一郎氏。

濱田氏は、コンシューマー事業本部が本格的に立ち上がった約7年前にサイゲームスへ入社し、社内のいくつものプロジェクトを見てきた人物だ。

大規模な開発では、仕様をひとつ変えるにも確認や調整のステップがいくつも必要になる。大きな方向転換ともなれば慎重にならざるを得ず、身動きが重くなりがちだと語る。

一方、10名以下のチームなら「これを試そう」「違ったら変えよう」とすぐに判断でき、作りながら方向を変えていける。取材中、濱田氏がくり返し口にしたのも、この判断の速さだった。

実際、ブランド第1弾タイトルの『崩落の国』は、10名以下のコアメンバーを中心としたチームが、1年5か月で作り上げたそうだ。

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10月16日17時(日本時間)より体験版を配信。プレイ時間の目安は15~30分。

そして、速く作ることと、いいものを作ること。濱田氏は、そのふたつは必ずしも相反しないとも話す。

いいものができるまで諦めない会社が、新しいブランドでどんなゲームを送り出していくのか。「CygamesEdge」の狙いについて、話を聞いた。

取材・文/竹中プレジデント
撮影/永山亘


なぜいま、小・中規模に特化した新ブランドを立ち上げたのか

──モバイルでもコンシューマーでも、サイゲームスは長年、大型タイトルを軸に展開してきた会社です。そのサイゲームスが、なぜ2026年のいま、あえて小・中規模を中心とした新ブランドを立ち上げたのでしょうか。

濱田氏:
サイゲームスは「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンを掲げ、これまで大規模な開発体制のもと、数年がかりで、より多くのお客さまに楽しんでいただけるコンテンツを追求してきました。

ただ、昨今とくに顕著になっているのが、プレイヤーのみなさんの価値観や遊びかたの多様化です。市場を見渡しても、大規模なAAAタイトルが存在感を示す一方で、少人数で作られたインディー作品が世界的な大ヒットを記録することもあります。

いまのSteamを見ても、個人開発者からAAAスタジオまでがひしめきあっていて、市場そのものが大きく変わってきているんです。

──そうした市場の変化に、どう向きあおうと考えたのでしょうか。

濱田氏:
いまのゲーム作りには、これまで以上に柔軟な発想と、変化に対応するスピード感が求められています。

サイゲームスがこれまで培ってきた開発力を活かしながら、小・中規模だからこその機動力で、実験的でちょっと尖ったゲーム体験に挑戦する。そのための場として立ち上げたのが「CygamesEdge」です。

将来的には、大規模プロジェクトのなかではなかなか形にしづらいチャレンジングな企画に取り組んだり、若手クリエイターのアイデアをより多く反映したりできる機会を作っていきたいと考えています。

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──いまのゲーム開発は、業界全体で規模が大きくなっています。そのぶん、若手クリエイターのアイデアを反映したり、新しいことに挑戦したりするのは難しくなっていますよね。

濱田氏:
そうですね。社内でも以前から「小規模なタイトルを作りたいよね」という話が出ていたんです。

やはり会社の規模がこれだけ大きくなると、大規模プロジェクトに長く専念しているスタッフも増えてきます。そのなかには、「こういうゲームも作ってみたい」「自分なりのアイデアはあるのに、なかなか形にできない」という思いを抱えている人もいると思うんです。

──小・中規模の開発に特化した「CygamesEdge」なら、そうした思いを持つ方々が挑戦できる場にもなりそうです。

濱田氏:
それでいうと、今回のブランド第1弾『崩落の国』は、社内スタッフが原案を手がけたゲームなんです。その誕生につながったのが、社内で開いているゲームコンテストでした。

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──社内のゲームコンテスト、ですか。

濱田氏:
有志のスタッフがチームや個人で自由にゲームを作り、それをみんなでレビューして表彰する。そういう取り組みです。

2年ほど前のコンテストで、優秀作品に選ばれたゲームがいくつかありました。それを見た上層部からも「かなりよくできているから、Steamでリリースできないか」「商品化できないか」という声があがったんです。

社内でも「そうした作品を新ブランドのタイトルとして展開してはどうか」という提案がありました。ちょうどブランドの立ち上げを検討していた時期で、以前から出ていた「小規模なタイトルを作りたい」という話とも、うまくタイミングが重なった形ですね。「CygamesEdge」という名前も、まだ決まっていなかったころの話です。

万人受けではなく、刺さる人にとっての「最高の作品」を目指す

──「サイゲームス」の看板のまま出すのではなく、あえて別ブランドを立ち上げたのはなぜでしょうか。

濱田氏:
先ほどお話ししたサイゲームスのビジョン(最高のコンテンツを作る)は、「CygamesEdge」でも根底にあります。

ただ、サイゲームス本体が幅広い層に楽しんでいただけるタイトルを狙うのに対して、「CygamesEdge」は万人受けを目指してはいません。その作品が刺さるユーザーにとっての「最高の作品」になるものを目指す。そこが一番の違いですね。

マス向けタイトルはサイゲームス、少しニッチで多様なジャンルに挑戦するのは「CygamesEdge」。そうはっきりとブランドを切り分けたほうが、プレイヤーのみなさんにとってもわかりやすいのではないかと考えたんです。

──ブランドイメージも本体とは明確に分けていくとなると、いわゆる「インディーゲーム」に近い立ち位置になるのでしょうか。

濱田氏:
我々から「インディー」とは名乗れないですね。個人や少人数で制作している本当のインディー開発者の方とは違って、我々はサイゲームスという会社の体制のなかで開発していますから。

──「CygamesEdge」のメンバーは、何名くらいなのでしょうか。

濱田氏:
『崩落の国』のチームでいうと、社内のメンバーは僕を含めて3名です。そこに開発会社のゼレオさんが加わり、コアメンバーは10名ほどですね。

いま並行して動いている複数のタイトルも、同じくらいの規模感です。今後はタイトルによって多少の増減があるかもしれませんが、基本的にはこのくらいの人数で作っていくことになると思います。

ただ、アートやカットシーンをスポットで手伝ってもらったり、プロモーションで協力してもらったりと、社内のサポートも受けられます。そこは、本当のインディーとは違うところですね。

──「CygamesEdge」としては、どれくらいのペースでタイトルを出していくイメージですか。

濱田氏:
年に2〜3本は、コンスタントに出していける体制を目標にしています。ゲーム開発なので確約はできませんし、本当にそのペースで出せるかは、まだなんとも言えません。

──1本の開発には、どのくらいの期間をかけるのでしょう。

濱田氏:
1年から1年半くらいを見ています。

というのも、『崩落の国』も最初は「半年で作ろう」と言ってスタートしたんです。でもさすがに厳しくて10か月に延ばし、そこまで作ったところで「もう少しここを詰めたい」となって……。そこからさらに調整を重ねた結果、最終的に1年5か月ほどかかりました。

なので、タイトルによっては2年かかるものもあると思います。ただ、中規模タイトルや少し大きめの企画であっても、長くても3年以内には出す。そこは目標にしたいと思っています。

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──小・中規模とはいえ、開発には意外と時間がかかるものなんですね。

濱田氏:
そこが難しいところなんです。なんだかんだで、デバッグや、多言語展開のためのローカライズに時間がかかるんですよ。サイゲームスから出すからには、QA(品質保証)はしっかりやらなければいけません。社内のQAチームにも関わってもらっています。

僕個人がいちゲーマーとして小・中規模のゲームを遊ぶ際には、そうしたゲームならではの荒削りなところも、味のひとつだと思うんです。ただ、作る側としては、「サイゲームスクオリティ」をお客さまに届けたい。そこはどうしても譲れない部分ですね。

──会社の看板を背負っている以上、そこは妥協できないところなんですね。

濱田氏:
はい。ただ、その点でいうと「アーリーアクセス」という形でのリリースも試してみたいと思っています。

いまは規模の大小にかかわらず、リリース後の数か月は、お客さまからのフィードバックに応じたアップデートや不具合対応が欠かせない時代になっています。

完成版の品質は譲らない前提のうえで、「CygamesEdge」でも、そこにできる限り対応できる形を模索していきたいですね。課題ではありますが、ポジティブに取り組んでいけたらと思っています。

「見たことのないおもしろい作品に出会える」。そう思ってもらえるブランドに

──「CygamesEdge」にとっての「成功」とはなんでしょうか。売り上げや市場への影響ですか? それとも、尖った作品を出し続けること自体が目的なのでしょうか。

濱田氏:
事業を継続していくうえで、売り上げは非常に重要です。ただ、それだけが「CygamesEdge」の成功の基準だとは考えていません。

とくにブランドの立ち上げ期は、リリースするすべてのタイトルで、ターゲットとなるお客さまに「確かな手応え」を感じてもらえるクオリティまで、しっかり作り込みたいと思っています。

そうすれば、たとえ爆発的なセールスに結びつかなかったとしても、評価は少しずつ積み上がっていくはずです。その積み重ねが、「CygamesEdge」というブランドへの長期的な信頼につながると考えています。

「CygamesEdgeのゲームなら、見たことのないおもしろい作品に出会える」。お客さまにそう思っていただける状態を作ること。それが、いま目指している成功の形です。

──まずは1本1本の作り込みが、ブランドの信頼になると。

濱田氏:
そうですね。いまの市場、とくにSteamでは、売り上げに新作が占める割合は半分にも届かず、大半が過去作によるものだと言われています。

他社さん、とくに大手メーカーさんには、ファミコンやPlayStationの時代から出し続けてきた膨大なタイトルが「アーカイブ」としてあります。それがセールなどを通じてロングテールで売れ続け、収益の強固な基盤になっているんです。

一方で、サイゲームスはコンシューマー業界ではまだ新参者なので、そうしたアーカイブの蓄積があまりありません。だからこそ、一定以上のクオリティの作品を着実に積み上げて、アーカイブとしてロングテールで売れていく基盤を作る。それが現実的な形なのかなと思っています。

──たしかに、セールをきっかけに昔の名作に出会う、という流れはいまや当たり前になっています。

濱田氏:
とはいえ、新作タイトルでヒットを狙いたい気持ちも、もちろんあります。

ここ数年のうちに1本でも100万本クラスのヒットが出れば、それがブランドの顔になる。「CygamesEdgeって、あのゲームを作ったところだよね」と言っていただけるような作品ですね。そこには当然チャレンジしていきます。

さらに大風呂敷を広げるなら、「CygamesEdge」から生まれた尖った作品が成長し、将来的にサイゲームスを代表する巨大なIPになっていく。そこまで目指してもいいのかなと考えています。

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──サイゲームスは、これまで数多くのヒット作を世に送り出してきました。市場は違えど、「CygamesEdge」でもヒットを狙っていきたいとのことですが、そのために企画の段階で一番大事にしていることはなんでしょうか。

濱田氏:
そこは本当に難しい問題で……。いまも試行錯誤していますし、これからもずっと続けていくのだと思います。「ジャンルとして成立するか」「コンセプトはどうあるべきか」「ターゲットは誰か」。常にさまざまな角度から考えていますが、明確な正解はなかなかありません。

ただ、ひとつ間違いなく言えるのは、プロモーションやセールスは、作品がもともと持っている力を最大限に引き出すためのものだということです。作品そのものに力がなければ、いくら予算をかけて宣伝しても売れません。

──シンプルですが、重い言葉ですね……。

濱田氏:
しかもこれからは、Steamを中心に競合タイトルがさらに増えていきますし、無料のゲームや、ほかのジャンルのエンタメもあふれています。表面的なプロモーションや「配信映え」だけでどうにかなる時代ではありません。

だからこそ、作品ならではの「尖り」を丁寧に作り込み、それをわかりやすくお客さまに伝えていく。地道ですが、それがヒットにつながると信じて、取り組んでいくしかないと思っています。

そもそも「尖る」ってなに? ブランドメッセージの「尖り続けろ。」に込めた思い

──ブランド発表時には「Stay on the edge.(尖り続けろ。)」というメッセージも掲げられていました。これは、どのように生まれたのでしょうか。

濱田氏:
ブランド名の「CygamesEdge」が決まったあと、このブランドがなにを大切にし、どこを目指すのかを考えました。その方向性をひと言で示すメッセージが必要だろうと思い、「Stay on the edge.(尖り続けろ。)」を考案したんです。

僕のなかで「エッジ」という言葉には、既存の枠に収まりすぎず、作品ならではの魅力を研ぎ澄ましていくという意味を込めています。

尖ったものを一度作って終わりにするのではなく、変化する市場やプレイヤーの価値観と向きあいながら、新しい表現や体験を常に模索し続ける。その姿勢を表したのが、このメッセージなんです。

──では、それをゲームに落とし込むと、どういう状態になるのでしょうか。

濱田氏:
僕なりの定義ですが、単に奇抜であることとは少し違うんです。

その作品が「一番届けたいおもしろさ」を明確にして、そこを徹底的に磨き上げる。たとえ万人受けしなくても、ターゲットとなる方々の心に深く残る体験になれば、それは十分に尖った作品だと言えるのではないかと思います。

大規模タイトルが、複数の魅力を「面」として全方位に高めて押し出していくものだとすると、「CygamesEdge」のゲームは、核となるゲームサイクルや原体験を「点」として極限まで凝縮し、その作品ならではの強さを生み出していくイメージです。

──「CygamesEdge」は大切にする価値観のひとつに「Speed & Agility」を掲げています。サイゲームスの看板を背負って、いいものを作ることと、速さを大事にすること。このふたつを両立させるのは、難しそうにも見えます。

濱田氏:
個人的には、こだわることと速く作ることは、必ずしも相反するものではないと考えています。

その「速さ」は、単に作業期間を短くするという意味だけではありません。早い段階で試作し、実際に触って検証することで、作品のコアとなるおもしろさを見極め、そこにリソースを集中する。そのための「速さ」なんです。

限られた時間と予算のなかで、なにを残し、どこを磨くか。そのサイクルを速く回すということですね。

──大きなチームだと、なかなかそうはいかないものですか。

濱田氏:
そうですね。サイゲームス本体の大規模開発だと、関わる人数が多いぶん、なにかひとつ仕様を変えようとしても、確認や調整のステップがいくつも必要になります。

みんながいいものを作りたいと思っているからこそ、さまざまな意見が出てきます。そのぶん、大きな方向転換となると、どうしても慎重にならざるを得ず、身動きが重くなりがちなんです。

その点、「CygamesEdge」は、いまのところ1タイトル10名以下の小規模なチームなので、意思決定がとても速い。「これを試そう」「違ったら変えよう」とすぐに判断できて、何度も試行錯誤をくり返せる。おそらく、これまでにないスピード感で開発を回せていると思います。

もちろん、ある程度形になった段階で、渡邊【※】のチェックも入ります。ただ、そこで指摘を受けても、すぐに方針を切り替えて修正できる。そうした「機動力」こそが、「CygamesEdge」の大きな強みだと考えています。

※渡邊耕一氏。Cygames代表取締役社長。

チームづくりに苦労したコンシューマー事業の立ち上げ期。当時の思いが「少人数で、スピード感を持って作る」につながっている

──ブランドの構想自体が動き出したのは、いつごろだったのでしょうか。

濱田氏:
具体的に動き始めたのは、2年弱前です。サイゲームスとして今後も新しいIPを継続的に生み出していくには、従来とは異なる規模感やペースで作品を世に送り出す仕組みが必要ではないか。そうした社内の議論が出発点でした。

そこで、数年がかりの大規模タイトルとは別のアプローチで、作品をプレイヤーのみなさんに届ける。そのための枠組みを検討していくなかで、「CygamesEdge」の構想が少しずつ具体化していったんです。

──濱田さんが新ブランドのプロデューサーを任されたのは、どういう経緯だったのでしょう。

濱田氏:
ちょうどそのころ、僕は『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!(ハチャウマ)』のマスターアップとリリースを終えて少し落ち着き、次の仕込みを始めていた時期でした。そこに号令がかかり、本格的にブランドの立ち上げに取りかかることになりました。

──ちなみに濱田さんに声がかかったのにはなにか理由が?

濱田氏:
いくつか思い当たることはあります。ひとつは、そもそも社内にプロデューサーがそれほど多くなく、任せられる人が限られていたこと。ふたつ目は、僕がサイゲームスに入る前に、開発会社や映像制作の現場を経験してきたことですね。

渡邊も、もともとはデベロッパー出身なので、「昔はこうだったよね」と若いころの開発の話をすると、通じあえるところがあるんです。

それと、『ハチャウマ』で企画からリリースまでをひととおり経験していたことも、少しは評価してもらえたのかもしれません。

──サイゲームスに入社されてから『ハチャウマ』 を担当されるまでは、どのようなお仕事をされていたのでしょう。

濱田氏:
入社したのは7年ほど前で、ちょうどコンシューマー事業本部が本格的に立ち上がったタイミングでした。

当時はすでに、『グランブルーファンタジー ヴァーサス』や『グランブルーファンタジー リリンク』、『シャドウバース チャンピオンズバトル』など、コンシューマーのラインが複数動いていたんです。僕は制作アシスタントのような立場で、複数のプロジェクトに関わっていました。

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──コンシューマー事業が本格的に立ち上がったばかりのころは、苦労も多かったのでは?

濱田氏:
そうですね。苦労という意味では、開発工程そのものよりも、チームづくりのほうが大きかったと思います。

開発チームには、他社でコンシューマーゲームの開発を経験してきた人が多く、よくも悪くもさまざまな会社のバックグラウンドを持つ人が集まっていました。「いいものを作りたい」という思いは共通していても、進めかたや判断の基準が噛みあわないこともあったと思います。

それに当時は、開発以外の、いわゆる制作やプロデュースを担う人員がほとんどいない状態だったんです。そのなかで僕は交通整理をする役回りが多かったので、チームをひとつの方向性にそろえていくことが求められていたのかなと思います。

──まさに手探りの立ち上げ期だったんですね。

濱田氏:
人手が足りなかったのは、セールスやプロモーションも同じでした。最初は、スマートフォン向けタイトルの担当者が兼任していたんです。でも、コンシューマーとスマートフォンでは、売りかたの常識がまったく違う。わからないことも多く、けっこう苦労しました。

そこで、セールスやプロモーションに詳しい人を少しずつ増やしながら、開発チームだけでは足りなかったパブリッシングの部分を、ひとつずつ整えていきました。

いまでは、ようやく形になってきました。開発と制作で考えかたが違っても、お互いの役割をつなぎながら、同じ目線で進めていける。企画からリリースまでを社内で一貫して担える組織に、近づいてきたと思います。

──そうした立ち上げ期の経験は、いまの「CygamesEdge」にもつながっているのでしょうか。

濱田氏:
先ほどもお話ししましたが、大規模なタイトルでは、どうしても実現しにくいアイデアがあります。

当時、僕は複数のプロジェクトを見ていて、「もっと早い段階でアイデアを試して、実際に遊んで、いけるかどうかを判断できたらいいのに」と、ずっともどかしく感じていました。

社内には優秀な人がたくさんいます。「この人とこの人で組めば、一気に進むんじゃないか」と思うことも多かったんです。そのころの思いが「少人数で、スピード感を持って作る」という、いまの「CygamesEdge」の考えかたに、少なからずつながっていると思います。

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編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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