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ピクセルアート作家が『あつまれ どうぶつの森』のマイデザイン機能を使って「バーチャル個展」を開く。大盛況のDIY展示会について聞いてみた

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 発売されてからさまざまな楽しみ方がプレイヤーによって発見されている『あつまれ どうぶつの森』。新たにピクセルアート作家が、マイデザイン機能で自宅を「バーチャル個展」の会場にDIYする試みに挑戦し、連日満員の大盛況となっている。

 手掛けたのは日本のアートプロジェクト「BAN-8KU」(バンパク)で、3月23日(月)よりバーチャル個展「こねこ展」として開催されている。特設ページに公開されるパスワードをゲーム内の空港で入力することで、個展が開かれている島へアクセスできる。なおパスワードは随時更新されているため、訪れたい場合は公式サイトをチェックする必要がある。

 「こねこ展」は、ドット絵の新しい表現を探求することを目的として、約20点の作品が展示されている。これらはすべて、シアンブルーのイメージカラーを持つキャラ「ドット絵こねこ」をモチーフとしたオリジナル作品。ゲーム内で個展を開く取り組みについては今回が初めてで、キシモト氏は「部屋の模様替えの機能がとてもよくできていて、ゲーム内で個展ができるんじゃないかと思った」と電ファミニコゲーマーに対し語ってくれた。

 バーチャル個展の客足については、ひとつの島への同時接続人数が最大8人となっていることもあり、オープン時間の間は観覧客がひっきりなしに入れ替わりながら訪れているそうだ。また、コミュニケーションについては「Nintendo Switch Online」のアプリに含まれるゲーム連携サービス「タヌポータル」を利用して、スマートフォンからの文字入力で自然にメッセージをやり取りできるため、実際の個展で話しているような感覚だという。

 観覧客のなかには実際の個展を訪れて販売されているグッズを購入した人や、遠方に住んでいるため個展を直接見ることができなかった人など、多くのファンが訪れているようだ。さらには、ベルや鉱石などのアイテムをチップに置いていく人や、“猫小屋”の代わりとして「いぬごや」の家具をくれた人もいたとのこと。

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(画像はTwitter「BAN-8KU」(@ban8ku)より)

 アーティスト目線で見たグラフィックエディターの使い勝手についてキシモト氏は「指定した色を一括で変更できるので、色の調整がスムーズ」な点や、Lボタン・Rボタンを同時押しすることで使えるカラースポイトの機能を高く評価していた。

 「ドット絵こねこ」のシリーズに限定すれば、「普段制作しているシリーズ作品の大きさがエディターで作成できる32×32マスのサイズにちょうどよく、また1ドットを2倍にした16×16マスで使う場合はキャラクターの顔がちょうど収まり、ツールと作品の相性がとても良かった」とも語っていた。

 くわえて、ニンテンドー3DS用ソフトの『とびだせ どうぶつの森』および『どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー』にて制作したマイデザインを、「タヌポータル」経由で今作へ送れる機能についても「ある意味での物体として取り出せるので、あえて前作でデザインしてから今作で公開する方法もアリ」だと感じていたようだ。

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(画像はTwitter「BAN-8KU」(@ban8ku)より)

 今回の「こねこ展」は3月25日(水)まで通常常設展が開催中だが、展示入替期間を経て3月28日(土)からは企画展「しまとこねこ」も実施する予定となっている。常設展では、今まで実際に展示していたこねこの作品をマイデザインで作り直したものが多かったが、企画展では島に登場するアイテムとこねこを組みあわせた新作を展示される予定だ。

 マイデザインの枠が限られているため、展示入替期間中にマイデザインのオリジナルはおおかた削除されてしまう見込みで、キシモト氏は「それも限定感があっておもしろいかな」と印象を語っていた。なお、仕立て屋の「エイブルシスターズ」にて使える「マイデザイン・ショーケース」の機能を通し、パーカーなどの洋服のデザインなどを中心に一部のデザインは公開される予定となっている。

 現状では3月29日(日)までの会期となっているが、4月以降は実際の個展が開かれるかは未定としているものの、『あつまれ どうぶつの森』を利用したバーチャル個展については単発での開催に「いろいろ遊んでみたい」と意欲をのぞかせている。

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(画像はTwitter「BAN-8KU」(@ban8ku)より)

 本個展を開催するBAN-8KUは、広い眺望やポップな色調が特長の作品を発表しているピクセルアートチームだ。ビジュアルを制作するキシモトシュウジ氏は、1983年生まれのアーティスト・デザイナーで、これまで企業やイベントとのさまざまなプロジェクトを成功させてきた実績を持つ。

 2月末には東京・渋谷PARCOで開催された、人気アーティストゆずによるニューアルバム「YUZUTOWN」の発売を記念したポップアップストアにて、ポスターやビジュアル、グッズデザインを手がけた。また、千葉・幕張メッセで例年開催されている「東京ゲームショウ」では、公式コラボTシャツのデザインも担当している。

 また、2018年にはYostarの『アズールレーン』と生活雑貨専門店のロフトによるコラボフェアにて、アクリルキーホルダーなどのドット絵グッズも手がけており、ゲーム業界とも遠からぬ縁がある。

 なお「BAN-8KUの作品をより楽しむためのポイント」として、実はBAN-8KUが制作した作品の多くには今回『あつまれ どうぶつの森』の展示されている「ドット絵こねこ」が一匹隠れているという。

 たとえば、「YUZUTOWN」の発売を記念したポップアップストアで広告に使われたビジュアルでは、最上段の右から2列目にいる女の子の頭のうえに「ドット絵こねこ」が乗っているのを確認できる。
 このほか、商業ビルであるSHIBUYA 109の1階に設置されているデザイン自販機の側面下部には、雲の背景にある木のうえから顔をのぞかせる「ドット絵こねこ」の姿がある。また、先ほど紹介した「東京ゲームショウ2019」のコラボTシャツなどにも「ドット絵こねこ」が隠れているので、実際に画像を拡大して探してみてほしい。

 BAN-8KUの作品を鑑賞する際には「ドット絵こねこ」を一度探してみると、大人はこまかく表現されたデザインから新たな魅力を発見し、子どもはひとつの遊びとしてより作品を楽しめることだろう。実際の個展ではアートブック、置物、詩集バッチ、ステッカーなどの「こねこグッズ」が販売されるほか、LINEスタンプも配信されているので、「ドット絵こねこ」に興味があればBAN-8KUの公式サイトから詳細をチェックしてみてほしい。

ライター/ヨシムネ

ライター
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ヨシムネ
2019年11月加入。小学生の時に『ラグナロクオンライン』に出会ったことがきっかけでオンラインゲームにのめり込む。
コミュニケーション手段としてのゲームを追い続けている。好きなゲームは『アクトレイザー』『モンスターファームアドバンス2』『新・世界樹の迷宮2』など。

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