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『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)

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Twitterスペースをお聞きの方へ:
本コンテンツはリアルタイムの興奮をみなさんと共有するため、声優さんにもあえて脚本を事前にお渡しせず、皆さんとおなじ画面を直接読んでいただいております。
そのため、つっかえや読み間違え等が発生することがあります。
ご不便をおかけしますが、コンテンツの性質としてご承知いただければ幸いです。

第一の分岐

選択肢:僕を好きなのか……?
が選択されました!

発端(d)に分岐します。

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_015

「なんだよ急に気持ち悪い。
 僕のこと好きなのか?」

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_016

 コンマ1秒で
 銃声が響いた。

「覚えとくといい
 
 この世には
 
 言っていい軽口と
 
 言ったら死ぬ軽口があるって」

──心得た。

 その声も出ず、
 僕はひたすらにうなずいた。
 吹雪のなかのカカシのように。

 死ぬかと思った!
 死ぬかと思った!
 死ぬかと思った!!
 じっさい頭上を飛んだ銃弾は、
 僕の髪ひとつかみの命を
 奪ってった!
 ちょっと待て、僕の正気!
 仕事しろ!生きるために!!

懸念

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_017

「おっと、そいつは
 『虫の知らせ』
 ってやつかもなあ、
 お二人サンよ」

 と、レイズルさんがいきなり
 僕ら2人の首を両腕で
 抱きかかえるようにしてきた。

 ヨーズの肩が
 猫みたいに跳ねる。

 ちょっと後ろを見たけど、
 視界は広く、
 気になるものは見えない。
 後方に危険はなさそうだ。

「……捕まってる時、
 看守どもから聞いたんだ。
 なんでも連中、
 囚人の中に『狼』ってのを
 潜り込ませるのが
 常套手段らしい。
 
 『狼』ってのは奴らの符丁(ふちょう)で、
 分かりやすく言えば
 『潜入工作員』ってトコだ」

「『狼』……?
 謎。意味不明。
 狼は気高い森の狩人。
 なんで『潜入工作員』?」

「んな事情知るかよ。
 なんか経緯があんだろ。
 
 とにかく、
 『狼』は潜り込んだ先で
 内輪もめを起こすとかして、
 崩壊させちまうらしい。
 
 ちっとばかり、
 心配なんだよな。
 俺らの中に、
 『狼』がいねえかって」

「……いやいや、
 あり得ないでしょ。
 
 普通の雑居房ならいざ知らず、
 僕らは捕まる前からの
 知り合い同士ですよ?
 
 敵の手先が
 入り込む余地なんて……」

「おい、忘れたか?
 俺らの敵のこと。
 
 そもそも俺らは
 なんで逃げてる?」

──息をのんだ。
 そうだ。僕らの敵は……
 人間じゃない。

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_018

『村』を襲った俺らの敵は、
 怪物だった。
 
 気味の悪いグチャグチャした、
 話に聞く『黒の軍勢』
 みたいだった、な?
 
 そいつらが『村』のみんなを
 ブチ殺した後、
 なぜか俺ら6人をとらえ、
 連れ帰っただろ?」

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_019

「やつらの拠点で、
 俺らは囚われ、いたぶられた。
 あそこの連中は一見ヒトにしか
 見えなかったが、
 ときおりヒトとは思えない
 雰囲気を出してやがった。
 
 ありゃあ、
 人間に化けた『黒の軍勢』だ」

「ビョルカの決断で
 牢を抜け出した俺らは、
 脱出に必要なもんを
 倉庫で漁ってるとき、
 大量の『聖域』の装備品を
 見つけた……
 
 それで、結論づけただろ?
 『聖域』は『黒の軍勢』の
 巣窟(そうくつ)だって」

「そうだった」

「そうだった。
 ん、待って。『狼』……
 
 聞いたことある。
 昔話。
 旅の吟遊詩人(スカルド)。
 
 尻男(けつお)。覚えてる?」

「そんな名の奴いねえし
 昔話に聞き覚えもないけど」

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_020

「あー、もしかしてアレか?
 古い伝説でホラ、
 ババアを食っちまった狼が、
 その服だか皮だかを被って
 ババアに化けおおせて、
 その孫娘までだまして
 食っちまうって胸糞悪い話」

「そうだった。それそれ。
 
 私らの皮をかぶる。
 外見をそっくり真似る。
 または、乗りうつる。
 
 で、そいつは私らに化け、
 すでに紛れ込んでる……?」

「……レイズルさん、
 『狼』のこと、
 ビョルカさんには……」

「したした、真っ先にな。
 したら、
 
 『あり得ないですー、
  心配しすぎー、
  ゴニヤが怖がるから
  やめて下さいー』

 
 とかで一刀両断よ」

「まー要らん心配とは思うよ。
 ノーガードもどーなのよ?
 
 ってなわけでお前らには
 バラシてみた。
 警戒よろしくゥ!」

「……だっる。
 
 前方注意。私の役目。
 『狼』はそっちの役目。
 
 しっかりやれ。
 森の使いの落とし物」

 は? 森の使いの落とし物?

 ……あ、僕のことか。
 誰がシカのウンコだよ。
 何だ、しっかりやれって。
 お前の鉄砲はすごいけど、
 僕だって役目はある。
 最近のヨーズの
 暴言はあんまりだ。

 ……胸の中にこみあげる、
 黒くて熱いものに気を取られ、
 気付いたら2人とも
 いなくなっていた。くそ。
 ……ヨーズのことは無視だ。

 僕は巫女の盾であり、剣。
 僕にもみんなを守る役目が……

 と口にしかけて、気付く。

 『みんな』を守る。
 その『みんな』の中に、
 『狼』がいるかもって話だぞ?

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_021

 え……僕はどうすればいい?
 いったい誰から、
 誰を守ればいいんだ?

 『村』の闇を担うのは、
 僕の役目ではある。

 でもこれは、どうすれば……

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