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『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)

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Twitterスペースをお聞きの方へ:
本コンテンツはリアルタイムの興奮をみなさんと共有するため、声優さんにもあえて脚本を事前にお渡しせず、皆さんとおなじ画面を直接読んでいただいております。
そのため、つっかえや読み間違え等が発生することがあります。
ご不便をおかけしますが、コンテンツの性質としてご承知いただければ幸いです。

第五の分岐

選択肢:ウルヴル
が選択されました!

End 04に分岐します。

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_061

 「『我らを導く死体の乙女よ!
 信心と結束をいま示します!
 ご照覧あれ!』
 」

 これで2人が僕を指さしたら
 笑っちゃうかもな。

 「血と肉と骨にかけて──
 
  みっつ!
 
    ふたつ!
 
      ひとつ!」
 ……

 おいおいおいおい?

「……ぶっ、ったははははは!!
 
 アーッハッハッハッハハハハ!
 
 マジかよ! マジっすか!!
 
 あんだけカッコつけといて!
 
 ハズしてんじゃねーか!!!
 僕ったらァアアハハハハ!!」

「なんと!
 ウルヴルジジイは狙い通り
 ゴニヤを指さしましたが!
 ゴニヤが指さしたのは!?
 僕でしたァアアア──────
 ──────────────
 ──────────!!!!」

「分かる!? つまりね!?
 僕を指さしたのが1人!
 ジジイを指さしたのが1人!
 ゴニヤを指さしたのが1人!!
 
 指名は失敗で────す!!!
 今日は誰も殺せませーん!!!」

「おっとォ約2名すんごい目で
 僕を見てますが何でしょうか!
 あっなるほどこういう感じは
 僕が『狼』の本性を出したとか
 そういう短絡的な憶測に
 繋がっちゃいますかァ──!
 
 駄目だ。
 何やっても
 一つも楽しくねえわ」

「やめよう。やめやめ。
 今夜また『狼』が一人殺す。
 残り2人じゃ『儀』は自動失敗
 するから、『狼』の勝利は
 既に決定しましたー。
 
 つーかそれ以前に今夜の吹雪で
 全員凍死だろ。
 人じゃない人は知らんけど。
 ハハッ」

「……
 
 何とか言えよ。
 とくに『狼』のやつ」

「……小僧、もうええ……
 分かった……
 もうよく分かった……
 お前の怒りと悲しみ……
 
 いや……
 もうそれすら無いんじゃな……」

 ……だから、やめろよ。

 分かったようなこと……
 じゃないな。

 実際、分かってるんだろ、
 アンタには。
 人間ってものが。
 本質ってものが。
 僕ってものが。
 きっと、本当に。

 職人の目だか何だか
 知らないけど、

 そういうところが
 時々無性に嫌だったから
 つい指さしてみたけど、

 やっぱ凄い人だよ。
 昔から変わらない。

 変わったのは、

 いや、やめよう。
 僕にその『人を見る目』
 って奴は備わってないから。

 僕は喋るのをやめた。
 2人を見るのもやめた。

 何もかも終わりだ。

 森にでも入って、
 気持ちを落ち着けよう。
 そして、体とか心とか、
 ぜんぶ消えてしまう時を、
 せめて穏やかに迎えて──

「──なれ」

「──いなく、なれ。かいぶつ」


 …………あ?」

「あなたなんか、
 フレイグじゃないっ!!
 
 いなくなれ!
 いなくなれえっ!!」

「ウルじいもおかしいわ!
 おかしいのよ!
 いつものフレイグと
 ちがうじゃない!!
 フレイグはもっとやさしくて、
 おだやかで、いいひとよ!!」

「ゴニヤ……そうじゃあない……
 小僧のそういうのは全て、
 ビョルカを信じる心から
 生まれとったもんじゃ……
 
 幼いおまえには、
 わからんかもしれんが……
 
 いや……くそう!
 もう分からん!
 どっちが『狼』じゃ……!」

 ジジイは頭が悪い。
 だから今さらそれを悩んでも
 何にもならないと分からない。

「わたしはかわってない!
 わたしはおこってる!
 
 みんなをころした『狼』も!
 
 ウルじいをだまして
 ころそうとしてる、
 フレイグのにせものも!!」

 それよりも、
 そんなことよりも、

「にせものは、いなくなれ!!」

 なぜだろう、

 その、稚拙な言葉一つ一つが、


     フレイグは、
     いらない!!」

────この上なく、

 むかついたから、

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_062


      ぴっ
             」

 声ともつかない音を残して、
 小さな頭はきれいに割れる。
 無骨な剣は鋭く重く、
 幼い体を縦に割く。

 なんだ。

 殺せるじゃないか、俺は。


 小、僧、
 
 きさまァアアア!!!」

 金槌(かなづち)を振り上げた老人が迫る。
 あまりにも鈍重な動きで。

 大雑把に、大振りに、
 剣を振ってやった。

 刃は老体にぶち当たり、
 ほぼ抵抗なく振り抜かれた。

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_063

 あっけなく、奴は倒れた。
 派手に命をまき散らしながら。

 2度目。ふうん。
 間違いない。
 信仰の鎖は機能していない。

 だから何だ?
 無意味な状況は変わらない?
 確かだ。

 体力の消耗、体温の低下が、
 妙に客観的に感じられる。
 この夜は、越えられない。

 しかし、退屈ではなくなった。

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_064

 ……

 …………

 ………………

 素晴らしい。

 俺は今や、
 前よりもずっと早く走り、
 前よりも正確に追跡できる!

 垢と薬湯(やくとう)の臭い。
 煙と香草の臭い。
 鉄と蝋燭(ろうそく)の臭い。

 人里だ。

 これで助かった?
 否だ。
 既に俺の体は壊れ始めている。
 変化、といってもいい。

 結局、俺は自由じゃない。
 別の何かに囚われただけ。
 本質的により自然な、
 『何か』になった、だけだ。

 だから、

 あとはもう、
 より強い衝動に
 身を任せるだけだ。

「──お願い、フレイグ。
 
 優しいあなたを、
 見失わないで──」

「──そんな言葉が、
 幻聴ででも
 聞こえてくれれば
 よかったのにな」

 さあ。

 皆殺しだ。

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_065

 【ゴニヤ死亡】

 【ウルヴル死亡】

 【フレイグ脱落】

 【巡礼者が全滅しました】

End 04「覚醒」

『ギ・クロニクル』第三夜(End 04「覚醒」)_066

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