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『龍が如く8』“King Gnu”井口理さんの起用は「ランニングに短パンで走っている姿」にスタジオ代表・横山昌義氏が惚れ込んだから!?

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チーム全体が“お祭り好き”のエンターテイナー気質

──今回、セガ/アトラスのステージでは横長のLED大画面があり、『龍が如く8』のキャラクターを用いた「最後の晩餐」モチーフの映像が映し出されていました。すごくインパクトがあると同時に、「ワンオフでよくこれを作ったな」とも思いました(笑)。

横山氏:
 じつはあれ、1週間くらい前に僕が「やろう」と言い出したもので。もともと今回はステージに巨大LEDがあるという話があり、「素材を用意してください」とステージ制作を担当している部署からお願いがあったんですね。ロゴやキービジュアルだけで良いと言われていたんですけど、それが静止画で出ているだけじゃ「つまらないな」と思ったんです。

 で、『龍が如く8』のキャストを並べてみら13人だと気づいて。じゃあ「最後の晩餐」みたいに並べようか、と言ったらみんな「いいっスね!」って言ってくれて。「ユダの位置に怪しそうな奴を置いて、考察がはかどるように作ればいいんですよね」とすごく理解を示してくれました(笑)。

 それでワンパターンじゃ面白くないから、正解をふくめて4パターンを用意したんです。試遊の待機列ができることは予想していましたので、待っているお客さんにも楽しんでもらいたいと思って、1週間くらいで用意しました。

──それをやろうとする、それができてしまうというのが『龍が如く』チームだな……と感じるエピソードですね。

横山氏:
 みんなが嫌がらないでやってくれるのはウチくらいかもしれませんね。これは現場の人間に聞いた話なんですが、我々のチームって「無駄なことをやらされている感じがしない」しいです。やったぶんだけちゃんと効果が出ると思えるから、やれると。

 あと、単純にみんながゲームショウみたいなイベントが好きなのもあるかもしれません(笑)。

堀井氏:
 みんなお祭り好きですから(笑)。

横山氏:
 やれば「目立てる」というのが大きいですよね。がんばっても注目されなかったらやる気は出てこないけど、ちゃんとユーザーさんに見てもらえて、それを実感できるので。

──『龍が如く7 外伝』のキャラクターが勢揃いした映像でも、真島がおかしなアクションをしていたり。エンターテインメントとして「楽しませよう」という感覚を徹底して持たれていますよね。

横山氏:
 上の人間だけではなくて、チーム全体がその意識を持っているというのは大きいと思います。試遊のアテンドスタッフ全員が開発の人間で成り立っているブースってなかなかないでしょうね。

 プログラマーとかデザイナーとか、職種に関わらず若手の開発スタッフがアテンドで入るじゃないですか。すると横のつながりが生まれるし、みんなでイベントをやり切ったっていう一体感、達成感も生まれる。バカみたいな話かもしれませんが、こういうのがチームには大事なことだと思っています。

 あと、ゲーム開発ってBtoBの工程が多いじゃないですか。でもゲームショウは貴重なBtoCの場なんですよね。若手にはステージに立ったり、アテンドをやってBtoCの感触を掴む貴重な機会にしてもらえると良いなと考えています。

 プレイしている人たちの楽しむ姿や、どんなところにひっかかるのかを直接見ることができる絶好の機会ですからね。みんなで仕事して、ゲームショウを見て、飲んで帰るんですよ(笑)。
 
阪本氏:
 現地での反応ってウソがありませんから、スタッフ側にも深く刻まれるんです。リサーチとしては非常に価値のある機会だと思います。

“ランニングと短パンで走っている姿”を見て井口理さんの起用を決断

──話は変わりますが、『龍が如く8』のキービジュアルの上半分にいるキャラクターは春日チーム、下半分が桐生チームのメンバーになるというのが話題となっていました。

横山氏:
 思った以上に話題になって驚きましたよ(笑)。ただ全体を通してこのチーム構成で分かれるわけではなく、話の途中途中で入れ替わります。春日チームと桐生チームというよりは、日本チームとハワイチームといったほうが正しいかな。

龍が如く8』開発者インタビュー【TGS2023】_002

──これはあえてお聞きするのですが、『龍が如く7』では後半の敵が硬すぎるといった声もありました。そのあたりは改善されているのでしょうか。

阪本氏:
 もちろんです。ただストーリーが長いので、その中で一番良いバランスというのを意識しています。前作よりも突破口は見つけやすくなっているかと思います。

堀井氏:
 バトル中にキャラクターが動けたりとか、本作ではいろいろな戦略を取れるようになっています。前作ってそのあたりの自由度はなかったじゃないですか。今回は強い敵でも後ろを取れれば楽に倒せたりしますので、バトルが単調にならないように仕上げています。テンポ面も改善されていると思います。

──これは念のための確認となるのですが、トレーラーに出ていたとおり、『龍が如く8』ではソンヒがプレイアブルキャラクターになっている、ということですよね?

横山氏:
 操作できます。『龍が如く8』のソンヒはかわいいですよ(笑)。裏社会の超すごい先輩である桐生にちょっと憧れている、という描写があるので、そこにグッとくる人が多いんじゃないかな。『龍が如く7』では一番に対してツンツンしていたキャラクターでしたが、イメージが一変した姿が描かれます。

 『龍が如く7』のメンバーって、言うなればこれまでは“対春日”の描写が多かったわけです。そこに今回は桐生が入ってくることによって、関係性に変化が生まれているんです。同じキャラクターでも別の面が見えてくる面白さというのはあると思いますね。

堀井氏:
 桐生と春日、各キャラクターがそれぞれに対する態度ってまったく違っているので(笑)。

──当然のように発表されていましたけども、ファンとしては「『龍が如く7』のキャラクターのうち、次回作には誰が残るんだろう?」とヤキモキしていたと思うんです。それがまさかの全員続投だったのでとても驚きました。「ヤスケン(安田顕(難波悠役))さんの続投は難しいのでは……」と勝手に思い込んでいました(笑)。

横山氏:
 横浜にみんないるわけですから、『龍が如く8』で出さない理由がないんですよ。ヤスケンさんについても、当たり前のような感覚で続投を決めましたね。

堀井氏:
 春日に何かがあったときに、ナンバが助けに来ないわけがないというか。『龍が如く7』の後日を描くとなれば登場させないわけにはいかないですよね……と、自然に登場が決まっていました。

横山氏:
 むしろ面白いのは、ナンバが桐生と絡んだときの描写かもしれません。トレーラーにも出していますけど、カラオケでナンバがオタ芸をやってるじゃないですか。あれは「桐生が歌ってるから盛り上げなくちゃ!」ということでやってるんです(笑)。春日が歌ってても絶対にそんなことはしませんから(笑)。

阪本氏:
 そういったところでも、ヤスケンさんの人間力の深さが現れたのかなと(笑)。

堀井氏:
 ナンバにしても、対桐生と対春日ではぜんぜん話し方が異なっています。

──キャラクターの話ですと、エリック・トミザワ役のKing Gnu井口理さんの話題も外せないかと思います。あれは横山さんからオファーをかけられたのかと思うのですが、もともとご面識があったのでしょうか?

横山氏:
 いや、面識は一切なかったです。自分はただ『Teenager Forever』のPVを見て惚れ込んでしまい「あの人が欲しい」と感じてオファーをかけた形ですね。あのランニングと短パンで走っている姿を見て「見た目的にはベストなんだよな~」と感じていたので、じゃあ本人に頼んでみようとなって。

 じつはKing Gnuの楽曲で言うと『白日』しか聞いたことがなかったんです(笑)。

阪本氏:
 それ、言っちゃう?(笑)。

横山氏:
 いやいや、歌手としてお願いしたわけじゃないから良いんじゃないですかね(笑)。本人に話す際にも「あのサンダルと短パンのやつを見て……」と話したんですよ。

 そのとき「紅白で『白日』を歌っているときに見つけました」と話したら、「割と最近なんですね……」と言われちゃいまして(笑)。

──では井口さんのキャラクター性とかをご存じだったわけではないんですね。井口さんのファンからすると『龍が如く』に出演するのは納得の人選だと思ったのですが。

横山氏:
 でもラジオは聞いていました。汚さと清潔さが絶妙なバランスで混同していて、これはいけるんじゃないかなと感じましたね。嫌われない汚さというか……何というかナンバに近いものを感じますよね。

 井口さんが演じるトミザワも、ちょっとナンバとポジション的な近さがあって。彼はハワイにいた一番と最初に知り合う人間なんですよ。

 あと、今回最初にキャスティングしたのが井口さんだったんですが、『龍が如く7』で最初にキャスティングしたのはナンバだったりとか。『龍が如く7』は一番とナンバの構成からはじまり、『龍が如く8』は一番とトミザワからすべてのキャスティングが決まっていった……という流れなんですね。

龍が如く8』開発者インタビュー【TGS2023】_003

──その後に伊波杏樹さん(不二宮千歳役)などが決まっていったわけですね。他の新キャラクターたちはどのようにして登場が決まっていったのでしょうか。

堀井氏:
 「こういうキャラクターを出したいからストーリーをこうしましょう」というのはないですね。「ストーリー上、必要だから出す」というのを徹底していて、最終的なパーティー人数も計算せずに物語を作っていましたから。

──え? 計算していなかったんですか?

横山氏:
 ちょっと前に僕自身「パーティーメンバーって何人になったんだっけ?」と確認したくらいなので(笑)。8人だったらナンバリングに合わせたクリエイティブを作ろうかなとか思っていたんです(笑)。

──ちなみに、不二宮はどういった立ち位置のキャラクターなのでしょうか。紗栄子のようなヒロイン的な立ち位置ではないんだろうな、というのは感じ取ったのですが……。

横山氏:
 恋愛云々はないですね。一番ってそういうタイプじゃないというか。

堀井氏:
 ヒロイン枠でとか、女性キャラクターがひとり欲しいとか、そういう意図はまったくありません。ストーリー上で必要だから入れていますので、紗栄子とパーソナリティはだいぶ異なると思います。

──そういえばトレーラーでは「遥」も出ていましたが、彼女の扱いというのは……。

横山氏:
 桐生が見る、遥の夢みたいなものがいくつかありまして。該当のシーンは全部いまのドラゴンエンジンでモデルから作り直しています。

阪本氏:
 ある種、最新の遥ですね(笑)。

『龍が如く8』の桐生はこれまでなかった“弱さ”も描かれた、一層魅力的なキャラクター

──せっかくの機会なので、皆さんのお好きなキャラクターをお聞きしてもよろしいでしょうか。横山さんはずっと足立が好きと仰っていますが、今回はどんなイメージですか?

横山氏:
 そうですね、僕はずっと足立が好きで……。新作発表会で大塚明夫さんが話していた通り、彼は何も変わらないです(笑)。何がかわいいって、一番を助けにハワイに来たシーン。気づいている人もいると思いますが、ナンバがアロハシャツ、足立が「アロハ ハワイ」とプリントされたTシャツを着ているんですよ(笑)。ナンバとふたり、空港とかで服を買っている姿を想像するとサイコーだなと。

 そんな遊びに行くようなシチュエーションじゃないんですよ。「一番がパスポートを無くしたらしいぞ!」って助けに行くのに、しっかり楽しもうとしている。アホなんですよね(笑)。

阪本氏:
 デザインも最初に“バカっぽさ”を意識して作ったものがそのまま採用になりました。直球のダサさが良いんだなと(笑)。

──阪本さんがお好きなキャラクターは?

阪本氏:
 僕はナンバが好きですね。渋いポジションですし、彼がいないと話が回らないので。トレーラーでもちょっと映っていますけど、桐生に対して親身になって話せるというのもナンバだからこそできるポジションですよね。

龍が如く8』開発者インタビュー【TGS2023】_004

横山氏:
 究極のサポートキャラクターだよね。

阪本氏:
 そうですね、彼がいることでみんなの考えが変わったりとか、何かのきっかけになっているような人物だと思います。

──堀井さんはいかがですか。

堀井氏:
 僕は『龍が如く8』の桐生がすごく好きなんですよ。彼は今までずっと孤独で、ひとりですべてを背負いこんできたような人物なんですけど、今作では仲間に頼らざるを得ない場面も出てくる。いままでひとりで解決できた問題も、できなくなってしまったような面があるんですね。

 そういう“弱さ”みたいなところが描かれた『龍が如く8』の桐生がとても好きです。これまでよりもちょっと身近に感じられる人物になっているんじゃないでしょうか。

横山氏:
 いままでで一番生きている、って感じがするよね。

──街を移動する際、パーティーメンバー4人いっしょに移動するじゃないですか。桐生があの中にいるっていうのが、すでにちょっとグッとくるんですよね。

堀井氏:
 確かに4人でいるのも『龍が如く8』では自然な一幕なんですが、それにうれしさを感じる部分もありますね。

横山氏:
 プレイしていると違和感はないんですよ(笑)。

阪本氏:
 ふつうに泳いでいたりしますし(笑)。

──それも伝えようと思っていました。「水の中に入れるじゃん!」と(笑)。

横山氏:
 元気に泳いでます(笑)。海外だから刺青も見せられるしね。

 桐生について言えば、これまでの作品では共闘と言ってもバトルのときだけで、AIの助っ人が画面の端のほうで相手を殴っている……といった感じだったじゃないですか。本作ではフィールドを歩いているときから戦闘にいたるまで、つねに仲間といっしょにいるというのを実感していただけると思います。

龍が如く8』開発者インタビュー【TGS2023】_005
(画像はSteam『龍が如く8』ストアページより)

堀井氏:
 もちろんパーティーチャットもあるので、しょうもないダジャレで笑うようなシーンもあったり。これまでの桐生とは違った一面を見ていただけると思います。

阪本氏:
 だから発表会とかいろいろなところで「桐生が好きな人は絶対に遊んでくれ!」という話をしているんですね。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。

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