松田優作さんの3Dモデルは、奥様の松田美由紀さんに監修いただきながら仕上げられていった
──『鬼武者2』は主人公の柳生十兵衛のモデルに松田優作さん、今は亡き名優を採用されたという点で、ゲーム業界全体で見ても異色の試みをされたゲームだと思っています。江城さんは当時の反響として、印象深い思い出というのはございますでしょうか。
江城氏:
そもそも優作さんを起用するに至った経緯ですが、開発中は主役を誰にするかが決まっていなかったんです。
それで当時、東京にあった「フラグシップ」【※】という会社でシナリオの打ち合わせをしていまして。杉村先生とご一緒にシナリオを作っていく中で、「これ、主人公は決めたの?」って聞かれたんですね。それで「いや、実はまだ決まっていません」と回答したところ、たまたまその時にフラグシップに所属されていた映像監督さんが同席されていたんです。
その映像監督さんが「亡くなった俳優さんって、CGだったら復活できるの?」って聞かれまして。当時はまだ、フェイシャルキャプチャーの技術が無かったんですけど、「多分、写真とか映像とかの資料があれば、モデルとして制作して登場できると思います」って話をしたんです。
その時にたまたまその方が過去の映像作品で優作さんの事務所と繋がりがあるって話から「もしよかったら紹介するけど、どう?」って提案をいただいたんです。それでプロデューサーに連絡しましたところ、「すぐに優作さんの事務所に話して交渉してみよう!」ってなり、許可していただいたというのが経緯でした。
※フラグシップ:シナリオ制作を専門とするカプコンの子会社。1997年4月に設立。『バイオハザード2』『鬼武者』『ゼルダの伝説 ふしぎの木の実』といったカプコン開発タイトルでシナリオを担当。後年にはゲーム開発にも進出し、『星のカービィ 鏡の大迷宮』などのタイトルを手がけた。2007年解散。
──昔、なにかの雑誌で優作さんの起用に関しては最初、奥様の松田美由紀【※1】さんが難色を示されるも、息子さんの松田龍平さん【※2】と松田翔太さん【※3】のお二人が背中を押されたとのエピソードを耳にしたことがあるのですが……?
※1 松田美由紀(まつだ みゆき):旧芸名・旧姓は熊谷美由紀。女優、写真家、シャンソン歌手。1979年にテレビドラマ『探偵物語』で松田優作さんと共演し、後に結婚。2025年現在は芸能プロダクション「OFFICE作」の代表取締役も務める。
※2 松田龍平(まつだ りゅうへい):松田優作さんと松田美由紀さんの長男。1999年より俳優として活動。代表作に『悪夢探偵』シリーズ、『探偵はBARにいる』シリーズ、『あまちゃん』、『泣き虫しょったんの奇跡』、『東京サラダボウル』など。オリジナルのPlayStation 2版『鬼武者2』のテレビコマーシャルに出演。
※3 松田翔太(まつだ しょうた):松田優作さんと松田美由紀さんの次男。2005年より俳優として活動。代表作に『花より男子』シリーズ、『篤姫』、『SICK’S 〜内閣情報調査室特務事項専従係事件簿〜』など。
江城氏:
「ポジティブなコメントをもらったよ」というのは当時のプロデューサーから聞いたことがありますね。
当時、事務所さん的にもいろいろ検討中とされていたなかで、前作の『鬼武者』をプレイしてもらい、「こんな感じのゲームなんです」ってプレゼンをさせていただいたんです。その時にたまたま龍平さんがゲームが凄く好きな方で、『鬼武者』もプレイされていたんです。
それで美由紀さんが龍平さんに「こういう話が来ているんだけど、どう思う?」って意見を聞かれたみたいなんですよ。それで「ああ、このゲームは凄くよく出来ているし、面白いからいいんじゃないか?」ってコメントしてくれたというのは当時、伺いました。それが決定打になったかはちょっと分からないんですけどね。
──その時のことがあって、テレビコマーシャルにも龍平さんが出演される流れになったんでしょうか。
江城氏:
そうなのかもしれません。龍平さん自身、『鬼武者』に対しては凄くいい印象を持っていられたんじゃないのかなと思いますね。
──ちなみに『鬼武者2』の話からは完全に脱線しちゃうんですけど、その後、龍平さんに続いて翔太さんも『逆転検事』のテレビコマーシャルに出演されましたよね(笑)。【※】
※『逆転検事』:2009年にニンテンドーDS向けに発売された、『逆転裁判』シリーズのスピンオフタイトルに当たる推理アドベンチャーゲーム。イメージキャラクターとして松田翔太さんが起用され、当時のテレビコマーシャルや広告に登場した。2025年現在は続編『逆転検事2』とセットになったリマスター版『逆転検事1&2 御剣セレクション』が発売中。
江城氏:
『逆転検事』は僕がプロデュースをしていましたんで、松田家の方々とはなんと言いますか……非常にゆかりがありますね、はい(笑)。
──当時、松田さんサイドとのやり取りで記憶に残ったことはございますか。今回のリマスター版で再び優作さんに出演していただくに当たってどのような苦労があったのか、3Dモデルにリテイクが加わっているとしたら、どんな所に加わったのかを教えていただきたいです。
江城氏:
当時の3Dモデルを作っていくなかでのエピソードですと、美由紀さんが大阪の開発現場まで来られて監修いただいたことがありましたね。
優作さんの3Dモデルを作っていた当時の3Dモデラーの座席の後ろで目の形、大きさであるとか細かく監修していただきまして。それで作り上げたというのは、非常に思い出深いエピソードですね。優作さんの事務所への交渉につきましては、プロデューサーにお願いしてもらっていまして、その結果、実現しているところでした。
あと、今回のリマスターに当たって作り直したみたいなことはなかったです。元々の3Dモデルが非常にクオリティの高いものだったんですね。今回はテクスチャーも含めて高解像度化をしていますので、より表情や肌の質感がいい形で表現されているんじゃないかと思います。
──そうなりますと、オリジナルの3Dモデルを何パーセントぐらい、今回使っている感じなのでしょうか?
江城氏:
テクスチャーを高解像度化したいから3Dモデルを修正したとかはないですね。いじったというのはないです。
──先ほど、美由紀さんが後ろに付かれて監修いただいた話がありましたが、それはどのくらいの期間だったんでしょうか。
江城氏:
1日で見てもらいましたね。お忙しい方ですから、当時は休みの日に大阪に来ていただき、それでほぼ1日監修していただきました。「この方向で大丈夫です」と決まって戻っていかれた感じでした。
最終調整の、確認段階で来ていただいたという感じです。モデルとしてはほぼ完成していた状況でした。
──その時の修正箇所というのはどこだったんでしょうか。
江城氏:
結構、目と鼻の辺りをポイントとして言われていたような気がします。やっぱり特徴があると言いますか、美由紀さんから見て「優作さんはこうだった」ということがありまして、目と鼻の辺りが修正では多かったように思います。
オリジナルに忠実な形でリマスターしたい思いから、キャラクターボイスから「一閃」の判定も当時そのままに移植
──前作のリマスター版は主人公役の金城武さんを除いて、声優さんがほぼ一新されていましたが、今回の『鬼武者2』のリマスター版は、オリジナルキャストのままとなっています。これはどういった経緯から決まったのでしょうか。
江城氏:
『鬼武者2』のリマスターに当たっては、極力、オリジナルに忠実な形でリマスターしたい思いがあったんです。ですので、声優さんに関してもオリジナルから変えず、そのままにさせてもらっています。
──今回も武器がすぐに切り替えられるようになっていたり、コントロールスティックでの操作が可能になっていますが、こうしたところは前作のリマスター版のフィードバックも反映されているのでしょうか。
江城氏:
はい。リマスターにあたって、前作のリマスター版もプレイしまして、良いところはもちろん採り入れていきたいと思いました。あとはオリジナル版をプレイした結果、「今だったらここはこういう形に調整したよね」と、自分で気づいた部分に関してはプレイアビリティの向上を図って調整をかけました。
『鬼武者2』ならではの要素ですと、鬼武者への変身をボタンで任意にできるようにしたいとか。あと、『鬼武者』ってカット切り替えのゲームなんですね。そのカットの切り替えで「ちょっと見えずらいな……」って部分は、切り替えの調整をしたりしています。
──今回は難易度にも「修羅」が新たに追加されていますが、これはどういった経緯から追加を決められたのでしょうか。
江城氏:
「修羅」に関しては非常にチャレンジングなモード、いわゆる一般的なゲームのプレイヤーの方々ではなく、腕に自信があるプレイヤー向けの要素ですね。「オレ、こんな難しいモードをクリアできたよ」みたいな、他人に自慢したくなる要素として実装したという経緯です。なので、一撃を喰らったら即刻絶命しちゃうモードになっています。
ただ、セーブポイントでのセーブはできますので、慎重にやれば一歩一歩進んでいけるようになっています。これでセーブができなかったらかなり厳しいものになっちゃいますので(笑)。
ただ、本当に自信のある人はタイムアタックで斬られることなくやれば、とても素晴らしいゲームプレイになるだろうなと思いまして。そういうイメージのゲームモードとなりますね。
──先日公開された動画では、スタッフの中で一部の人しかクリアしていないと江城さん自身コメントされていましたが……。
江城氏:
そうですね、ひとりぐらいです(笑)。僕からは「ひとりでもクリアできればOK」っていうオーダーで作ってもらっているんですね。
──『鬼武者』シリーズは先ほどお話に出た「一閃」が触り心地の良さのコアだと思うのですが、それを現在の環境で再現することって、普通に当時のフレームなどのデータがあればできるものなのでしょうか。そもそも、当時のデータは残っていたのでしょうか。
江城氏:
はい。基本は移植ですので、ソースコード上にフレームのデータとかは残っています。
けど、今回のリマスターに当たってその辺を再度、調整するようなことはやっていないです。そのまま移植した上でリマスターしているんです。ただ、フレームレート自体は60fpsに上がっており、滑らかに動きますので、アクションの手触りはよくなっていまして、いい形で遊べるんじゃないかと思っています。
──今のユーザーさんや時代に即して合わせていくとの話がありましたが、今回、「一閃」を簡単に出せるようにするモードとかも、やろうと思えばできたんじゃないのかなと思うんです。判定を緩くして、アバウトな操作でも一閃が出せる……のような。そのような案は今回、出たのでしょうか。その上でやらなかったのはなぜなんでしょうか。
江城氏:
実際に社内のチューニング班と協議している中でも、「「一閃」自体の判定をゆるくしたらどうか?」みたいな案は出たんです。けど、今回のリマスターに当たっては当時の難易度も含めた「一閃」のシビアさが『鬼武者2』の良さと言いますか、面白さにもつながるとの僕の思いがありまして。
いろいろ練習しながらチャレンジしてもらって、自分でタイミングを覚えてもらった結果、「一閃」を出せた時の嬉しさというのがあるんですね。それを簡単にしちゃうと、それはそれで歯ごたえがなさすぎますし、それを踏まえた上で調整をかけているんです。
なので、「そこを含めた部分が『鬼武者2』なんだ」との思いを知ってもらいたくて、あえて触らず、当時のままリマスターしています。
──フレームとか、そのまま移植できたとのことで、敵の動きも全く同じまま移植されたとのお話をお聞きしたのですが、あれも全く苦労することもなくREエンジンに移植できたのでしょうか?それとも何か苦労があったのでしょうか。
江城氏:
基本的にはREエンジン上で、元のソースコードからプログラム自体が書かれていますので、それを開発会社のプログラマーさんがかなりしっかりと移植、コードを書いてくれました。
特にプログラミングの際に敵のアルゴリズムを変えたりはせず、忠実に移植をしてくれましたので、チェックプレイをしている時も「本当によく再現してくれたな」と思いましたね。
──なるほど。じゃあもう、本当に当時の素材をそのままの形で苦労もなく……?
江城氏:
僕の知らないところで開発の現場は苦労していたみたいなんですけど……(笑)。そこはかなりよく対応してくれまして、僕からしますともう「ありがとうございます!」としか言うことがないですね。
──当時の素材のことに絡みまして今回、特別画集とサウンドトラックが特典として追加されていますが、それを作られていった時の印象深いエピソードであったり、込められた思いみたいなものがございましたら教えていただければと思います。
江城氏:
『鬼武者2』って、雨宮慶太さん【※】にキャラクターデザインをお願いして、本当にかなりの数のデザインを描いていただき、実装させてもらっているんですね。
それを厳選してギャラリーの方に実装しているのですが、今回はその画像自体も高解像度化していて、拡大・縮小ができるようになっています。結構、細かいところまで描き込んでもらっていますので、その雨宮慶太さんのこだわりみたいなものも含めて、見てもらえると嬉しいですね。
※雨宮慶太:映画監督、イラストレーター、キャラクターデザイナー。有限会社クラウド代表。代表作に「ゼイラム」シリーズ、「牙狼-GARO-」シリーズ、「仮面ライダー」シリーズなど多数。カプコンタイトルでは『鬼武者2』と同年に発売された『クロックタワー3』でもキャラクターデザイン、モンスターデザインを担当。
──ちなみに新たに発掘された資料みたいなものはあるのでしょうか。また、今回のリマスター版のためにスキャンをし直されたところもありましたか?
江城氏:
もともと、いただいたデザイン画自体はカプコンに保存していますので、その中で未収録のものも含めて掲載している感じです。今回のリマスター版のためにスキャンし直されたものもありますね。
──今回のリマスター版の制作で、オリジナル版と同じ江城さんがディレクターをやられたからこそできた部分みたいなことはあるのでしょうか。
江城氏:
結構、開発会社さんとお話しする中で細かな部分、手触りとかも含めて「これって当時、どんな感じだったんですか?」と聞かれたりしたんですね。そういった部分についての資料というのが、攻略本しかない状態ではあったと思うんです。
それで実際に触ってみて、「今回、リマスターするに当たってどうでしょう?」と、ジャッジする上では、やっぱり原作のディレクターがディレクションするというのは一番やりやすいんじゃないのかなと、やりながら思っていましたね。
やっぱりディレクターが変わってしまうと、どうしてもそのディレクターの方の思いであるとか、やりたいことが反映されると思うんです。ただ、オリジナルをやっていた人間だからこそ、当時の考え方が活かされるところがあります。一閃の話もそうなのですけど、「今回はこれでいきましょう」という風なジャッジができたんじゃないかなとは思います。
──当時のほかのスタッフの方に聴き取りみたいなことはあったのですか?
江城氏:
特に何かに困って聞きに行ったことはなかったですね。細かい部分で言いますと、リマスターですので「基本の方針は忠実にやりましょう」ってところは変えてはいませんでした。
──今回はベテランの江城さんと、プロデューサーに転向されたばかりの田中さんという結構、異色のタッグの印象を受けたのですが、今回のリマスターに当たって、このタッグだからこそ実現できたことというのはありましたか。
江城氏:
僕からはもう、今回のリマスター版でも優作さんの起用は絶対にやりたいという、凄く強い思いがありまして。そこの交渉はプロデュース側にお願いして実現してくれたのは凄く助かったと言いますか、ありがたかったですね。
田中氏:
実現できたのとは少し違うかもしれないですけど、プロデュース経験も豊富な大先輩と一緒にやるに当たって、あえて江城がディレクターとしてのスタンスでぶつかってきてくれる瞬間があったんです。「ディレクターはこういうことがしたいんだよ。それはプロデュース側の気持ちだろ?」みたいなことを指導するため、あえて厳しく言っていただけることがあったんです。
しかも、ちゃんとぶつかり合える関係にしてくれますので、なんかリマスターではあるのですけど……本当にモノづくりをしているっていう感覚が凄くありまして。いい経験をしたなと思いましたね。
タイミングを見計らい、パリィを決めるアクションゲームの先駆けにも当たる『鬼武者』をぜひこの機会に
──おふたりから見て、今回のリマスター版『鬼武者2』で「ここに注目してほしい」というポイントはございますか。
江城氏:
『鬼武者2』は、カットシーンのフェイシャルアニメーションを当時担当してくれたクリエイターが凄くこだわって作ってくれていたんです。
それが今回、高解像度化でアップスケーリングされたことにより、非常に細かな動きが見られるようになりました。キャラクターの表情とか、目の動きとかの辺りはぜひ、見ていただきたい注目ポイントですね。
田中氏:
客観的に見て『鬼武者』は、タイミングを見計らってパリィを決めて遊ぶアクションゲームの走りとも言える作品だったのかなと思っていました。それが今回の『鬼武者2』のリマスターでもしっかりその良さが出ていて、多分、昔のゲームを知らない方でも普通に楽しめる、洗練されたアクションゲームになっているんじゃないのかなと思っています。
ですので、オリジナル版を知らない方にもぜひ、触っていただきたいですし、その手触りのところに注目してほしいなと思っています。
──最後になりますが、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
江城氏:
『鬼武者2』は僕にとって初めてディレクションをさせてもらった非常に思い出深いタイトルでもあります。今回のリマスターに当たって、今、オリジナル版を改めてプレイして気になったところは調整をかけてもらい、より遊びやすく、手触りもよくしたつもりです。
特に『鬼武者』シリーズのファンの方はもちろんなんですけど、今まで『鬼武者』を触ったことがないユーザーさんにも楽しんでもらえるゲームになっていると思いますので、ぜひ手に取ってもらえたら嬉しいです。
田中氏:
『鬼武者2』は学生時代、本当にいちユーザーとしてやっていた凄く大好きな作品です。
それをオリジナル版のディレクターと一緒にリマスターしたのもあって、思い入れのある作品になっています。今、客観的にやっても面白いゲームで、今まで『鬼武者』のことを知らなかった方にも楽しめる作品になっていますので、ぜひプレイしていただきたいです。
長らくリマスター版の開発候補として挙がりながら、人員の確保や社内環境の整備が難しい状態にあったとの背景には、改めて『鬼武者』に限らない、多数の人気タイトルを抱えるカプコンならではの事情も感じられた。
ゲーム開発の大規模化による影響や、実在する俳優さんをキャラクターモデルにしているなりの課題も少なからずあったと思われる。そのような高いハードルを乗り越え、今回の『鬼武者2』のリマスター版を実現させた田中氏と江城氏を始めとする開発スタッフの方々へは、労いと感謝の言葉を送りたい。
オリジナルのPlayStation 2版に引き続き、江城氏がディレクターを担当された点でも、リマスター版『鬼武者2』は極めて貴重な機会が活かされ、仕上げられたタイトルと言ってもいいだろう。
インタビュー中に江城氏がおっしゃっていたように、昔関わったタイトルにもういちど、同じ役職で関われるのは滅多にあったことではない。そんな当時のディレクターの考え方が忠実に反映されつつ、現代に即したアレンジが加えられているだけに、オリジナル版を遊びこんだプレイヤーなら必見も必見だろう。
実際にオリジナル版では強制発動だった「鬼武者化」の仕様が変更されるなど、着実によくなっている箇所が多数ある。故・松田優作さんがモデルの主人公「柳生十兵衛」の3Dモデルも、まだフェイシャルキャプチャーの技術が無かった23年前のものとは思えないほど完成度が高く、リマスターによってさらに美しく、リアルなものに進化。
今回のインタビューで明かされた、奥様の松田美由紀さんも細かく監修されたからこそのこだわりの数々が、より実感しやすくなっている。少しでもこれらの特色に興味を持ったのなら、プレイしてみていただきたいところだ。「ゲームは2度つくるとよくなる」という、ある著名クリエイターのひと言が脳裏をよぎることをお約束する。
オリジナル版の経験がない、『鬼武者』自体が初めてなプレイヤーにも、『鬼武者2』は冒険譚風のストーリーに個性の強い仲間、そして「ゴーガンダンテス」に代表されるインパクトのある強敵といった明るい要素を持ち合わせているのもあって取っつきやすい。
売りの「一閃」も、最初はなかなか出せなくて手を焼くかもしれないが、タイミングを把握して自分のモノにできた時の快感はひとしお。「一閃」は今後発売予定の新作『鬼武者 Way of the Sword』にも引き継がれるかもしれないと予告されているので、同作に興味があればこの『鬼武者2』で予習しておくのがオススメだ。
ちなみに『鬼武者2』のリマスター版発売にあわせて、前作の『鬼武者』がセットになったバンドルパッケージも発売される。せっかくなら最初から『鬼武者』シリーズを辿りたいとお考えであるなら、こちらをぜひ。