新規ユーザーが感じる敷居の高さと、既存ユーザーの疲労感。『カオゼロ』が直面する課題と今後のアップデート方針
──リリースからこれまでの反響を踏まえて、現在、運営チームとして認識されている本作が抱える課題と、解決に向けたアプローチについて教えてください。
前田氏:
課題はたくさんあるのですが、強いて挙げるなら「新規ユーザーから見た敷居の高さ」ですね。
初めて触れる方にとって、『カオゼロ』はどうしても「難解で時間がかかるゲーム」という印象が強いようです。リセマラで疲れてしまったり、独自のルールに戸惑って離れてしまう方もいらっしゃいます。
エンドコンテンツの「カオス」も、1プレイの時間が長くかかってしまう。現状の『カオゼロ』は、そうした壁を乗り越えて理解が深まるほど楽しくなっていく構造なのですが、そこに至るまでの道のりがまだ長すぎると感じています。
ここをケアしなければ新しい方には楽しんでいただけないので、大きな課題だと捉えています。ユーザーさんが躓きやすいポイントをしっかり解析し、おもしろさが実感できるラインまでスムーズに到達できるよう改善していくつもりです。
李氏:
育成のハードルについては以前より緩和されましたが、新規の方がより入りやすい環境作りはさらに進めていきたいですね。
具体的には、長時間のプレイを強いられることなく、デイリーのミニゲームなどをこなすだけで着実に強くなれるような、隙間時間を繋ぐ仕組みを導入したいと考えています。
──時間がとれない層でも無理なくコツコツ進められるような、遊びの選択肢を増やしていくということですね。
李氏:
はい。それと同時になんとしても解決したいのが、既存ユーザーと新規ユーザーの間に生まれている育成資産の格差です。
ローンチから遊んでくださっている方は、育成素材が潤沢にある状態、いわゆる富裕層になっています。一方で、今から始める方はゼロから集める必要があり、この差を埋めない限り追いつくのは困難です。
この格差を緩和するため、新規層や復帰層に向けた施策を準備しています。2月末に実装したキャラクターレベルの同期化システムも、その解決策のひとつです。
前田氏:
補足しますと、これまでもイベント限定で育成していないキャラクターをお試し利用できる「歪み適応」という機能が存在しました。
しかし、これは他コンテンツには適用されないため、結果的に複数キャラクターの育成が必須という課題が残っていたんです。
そこで育成負担を抜本的に軽減するため導入したのが、キャラクターレベルと潜在力を一定まであげられる「ファースト同期化」システムです。これはコンテンツを限定せず、育成済みの状態で使用できるようになる機能となります。
まずは3人編成での戦闘メカニズムを手軽に体験し、楽しんでいただくための大きな緩和策として導入しました。

──新規ユーザー向けの遊びやすさが整備されていく一方で、すでに深く遊びこんでいる既存ユーザーに向けた課題感などはあるのでしょうか?
前田氏:
既存ユーザーのコンテンツに対する疲労感も大きな課題だと捉えています。
先ほどもお話しした通り、私たちの想定を遥かに上回る熱量で長時間プレイしていただいているんですよね。とくに「カオス」は遊ぼうと思えば無限に遊べてしまうため、短期間で集中しすぎてしまい、疲労が蓄積している状況が見受けられます。
かといって「カオス」の体験を安易に調整すれば、ゲームの根幹が破綻しかねません。しかし放置すれば、疲れから離脱を招いてしまう……。このバランス調整には、非常に慎重に取り組まなければならないと感じています。
──無限に遊べてしまうがゆえの疲労感ですね。
前田氏:
まだ検討段階のものも含まれますが、ライトユーザー層へのアプローチは急務だと個人的に感じています。
メインコンテンツの「カオス」は、1プレイに約1時間を要します。そのため、バトルに挑むための「セーブデータ」を構築すること自体がハードルとなり、離脱要因になってしまうケースもあるんです。
李氏:
私たちのようなサラリーマンは、平日にガッツリと『カオゼロ』を触る時間はなかなかとれませんからね。
前田氏:
その解決策として、ワンタップで簡易的な育成データを作れる機能や、戦闘をスキップできる軽量版モードなどの実装を考えています。
まずは他社タイトルにあるような「完成済みキャラクター」で手軽にバトルを楽しんでもらう。そのうえで、SNSなどで他プレイヤーの突き詰めたセーブデータによるすさまじい火力を目にし、「自分もカオスをやり込んで、こんな強いデータを作りたい!」と思ってもらえるような導線を作れればと考えています。
※検討されていた機能は追加されたハーフアニバーサリーで実装された。
◤新規コンテンツ【出撃】◢
— カオスゼロナイトメア公式(カオゼロ) (@CZN_Official_JP) April 29, 2026
本日より、
新規コンテンツ【出撃】がついに開催!
カオスゼロナイトメアをプレイして
純粋なローグライクバトルを楽しもう!#カオゼロ #カオスゼロナイトメア pic.twitter.com/joMf7BOQTL
──なるほど。いきなり複雑な育成に放りこむのではなく、まずはバトルの爽快感を味わってもらい、「もっと強くしたい!」というモチベーションに火をつけるわけですね。
前田氏:
まさにその通りです。実際にユーザーさんからも「しっかりセーブデータ(ビルド)を構築したら、別ゲームのように強くなって驚いた」という声をいただいています。
まずは手軽にその「強さ」を実感していただき、そこから「カオス」での奥深い育成へと誘導できるサイクルを構築できれば、序盤での離脱は防げると考えています。
腹を括ってユーザーとコミュニケーションをとらないと現在の日本市場では戦えない
──公式生放送を拝見していると、運営とユーザーの距離がとても近いですよね。出演されている前田さん自身、現在のユーザーさんとの関係をどう感じていますか?
前田氏:
自分で言うのも少しおこがましいのですが、ユーザーのみなさんとは近い距離感で、良好なコミュニケーションをとらせていただけているな、と日々感じています。
──リリース当初から、そうした温かい雰囲気だったのでしょうか。
前田氏:
リリース前後は疑心暗鬼の空気感があったように思います。
じつは、リリース直前の公式生放送に出演した際、緊張のあまり私自身が滑り散らかしてしまって……(笑)。ユーザーさんからすれば「スマイルゲート? この会社、本当に大丈夫なの?」と思われても仕方ないスタートだったんです。
それでも定期的に生放送を行い、コミュニケーションをとり続けることで、徐々にポジティブな意見を寄せてくれる方が増えていった。そんな手応えを感じています。
ハーフアニバーサリー #カオゼロ 公式生放送
— カオスゼロナイトメア公式(カオゼロ) (@CZN_Official_JP) April 28, 2026
みなさまご視聴ありがとうございました✨
明日のアップデートをお楽しみに‼ pic.twitter.com/2tlfscLTMB
──ユーザー側が前田さんをあえていじって楽しんでいるような、かなりフレンドリーな空気を感じます。
前田氏:
ありがたいことに、すっかりいじられキャラみたいになりつつありますね(笑)。
でも、こうしたラフなコミュニケーションって、土台となる信頼関係がなければ成立しないと思うんです。その点において、現在のコミュニティ運営は非常によい状態であると自負しています。
──最近は誹謗中傷のリスクを考慮して、運営担当者が顔を出して矢面に立つスタイルを避ける傾向もあります。それでもあえて前に出る判断をされたのはなぜですか?
李氏:
私自身、他社に在籍していたころから、月次の公式生放送を80回以上実施してきました。
その経験の中で学んだのは「運営側が定期的に顔を出し、ユーザーさんとコミュニケーションをとる姿勢そのものが、強力な信頼構築に繋がる」ということです。
もちろん私たちも人間ですから、ときには生放送で失言をしてしまうかもしれません。でも、普段からしっかりとした信頼関係が築けていれば、多少のトラブルも許容していただけるケースがあるんです。
逆に、そのくらい腹を括ってコミュニケーションの場に出ないと、現在の厳しい日本市場では戦えないんですよ。
──そういった「前田さんを運営の顔として前に立たせる」というスタイルは、他社の成功例を分析して取り入れたのでしょうか?
李氏:
少し生意気に聞こえるかもしれませんが、私自身の過去の成功体験に基づいた戦略なんです。プロジェクトが発足した当初から、韓国本社に対しても「必ず生放送をやります!」と宣言していました。
前田をただのいち運営担当としてではなく、スマイルゲート日本運営チームの「顔」として前に立たせる。「前田という人間が担当しているタイトルなら安心だ」と、ユーザーのみなさんに信頼していただける状況を作りたかったんです。
日本市場での目標は「スマイルゲートのゲームは、他とはどこかひと味違っておもしろい」と思ってもらえること
──日本市場での本格始動の年となった2025年を経て、来たる2026年はスマイルゲートとしてどのような展開を見据えているのでしょうか。
李氏:
2025年は、東京ゲームショウへの出展や『カオゼロ』のリリースを通じて、日本市場でのスマイルゲートの動きを知っていただくきっかけの年になったと思います。
運営としてまだまだ至らない点や未熟な部分は多いのですが、スマイルゲートとしては一貫して「ユニークなゲーム性を通じて、新しい体験や感動をお届けしたい」という目標を大切にしています。
2026年は『カオゼロ』の継続的な運営に加えて、新たなタイトルの展開も予定しています。具体的には、漫画『デッドアカウント』の世界観を活かした新しいゲーム、そして昨年の東京ゲームショウでも展示した『MIRESI:視えない未来』 を、日本市場で展開する計画です。
『MIRESI:視えない未来』キービジュアル公開!👀
— MIRESI:視えない未来 (@Miresi_jp) August 22, 2025
様々なサブカルチャーゲームで魅力的なキャラクターを多数描いてきた
イラストレーター兼、ゲーム原画家
【#血羅 @hyulla_kot様】
彼の指先から誕生した
MIRESIメインキービジュアルを大公開!✨#MIRESI #視えない未来 pic.twitter.com/h4n5fXjGaW
──新規タイトルの展開も含めて、今後スマイルゲートとして日本市場でどのようなポジションを確立していきたいとお考えですか。
李氏:
私たちが目指しているのは「スマイルゲートのゲームは、他とはどこかひと味違っておもしろい」と感じていただけるポジションを日本市場で築くことです。
そして同時に「スマイルゲートのゲームなら、安心して遊び続けられる」「運営が信頼できる」と、日本のユーザーのみなさんから評価していただけるよう、日々悩み、考えながら準備を重ねております。
──少し気が早いですが、『カオゼロ』のハーフアニバーサリーに向けての仕込みについて、お話しできる範囲で教えていただけないでしょうか。
李氏:
すでに計画を立てて動き始めているんですが、ネタバレを避けてどうお伝えすればいいのか迷いますね……。
まずお伝えできるのは、『カオゼロ』を楽しんでくださっているみなさんに新しい体験をお届けするための準備をしているということです。
たとえ好きな食べ物でも、毎日毎日食べているとさすがに飽きてしまいますよね。たまには新しいメニューを楽しみたいと思うのは当たり前ですし、新たな味を求めるのは人間の本能的な部分だと思います。
そういう意味で、『カオゼロ』のハーフアニバーサリーでは、みなさんに驚いていただけるような「新しいメニュー」をご用意する予定です。ぜひ期待して待っていてください。
──ありがとうございます。それでは最後に、本作を楽しんでいるユーザーのみなさん、そして記事の読者に向けてひと言ずつメッセージをお願いします。
李氏:
まずは、『カオゼロ』を日々楽しんでくださっている日本のユーザーのみなさんに、心からの感謝をお伝えしたいです。
これからも開発と日本運営チームが一体となって、『カオゼロ』が長く愛されるゲームになるよう努めていきます。
また、ユーザーのみなさんとのコミュニケーションを何よりも大切にし、さまざまなアプローチを通じて「信頼できる運営」であり続けたいと考えています。
みなさんに飽きを感じさせないよう、ゲーム内の新規コンテンツはもちろん、オフラインでのリアルイベントなど、ゲームの内外を問わず楽しめる企画を絶賛準備中です。情報公開できるタイミングが来ましたらしっかりとお届けしますので、もう少しだけお待ちいただければうれしいです。
前田氏:
公式生放送でも常々お伝えしておりますが、やはりユーザーのみなさんへの「感謝」のひと言に尽きます。星の数ほどあるスマートフォンゲームの中から『カオゼロ』を選び、プレイしていただき、本当にありがとうございます。
私自身、普段から寄せられるご意見にはすべて目を通しており、キャラクターや育成、コンテンツへのご要望もしっかりと把握しています。できることとできないことは当然ありますが、みなさんから届いた声には最大限お応えしていく覚悟です。
ぜひ今後の展開に期待していただきつつ、これからも日々のプレイを楽しんでお待ちいただければと思います。
(了)
トラウマをえぐる精神崩壊イラストや、なんだかんだで止まらないむちむちキャラ攻勢。韓国開発チームの隠しきれない「業の深さ」には思わず笑みがこぼれてしまう。
けれど、そんな「尖り」をただ持ってくるだけでなく、日本のユーザーが納得できるかたちへローカライズし続けた日本運営チームの苦労には、本当に頭が下がる。
「男主人公のオネエ化」の危機を救い、難易度をめぐって議論を交わす。もし不具合が出れば表ではユーザーに向き合い、裏では開発に現状を伝える。プレイヤーからの信頼を築くため、恐らく胃薬が手放せない日本運営チームの奮闘を知ると、『カオゼロ』の世界やキャラクターたちへの愛着もさらに深まるのではないでだろうか。
ハーフアニバーサリーを迎えた『カオゼロ』。ここから1周年に向けて、我々の性癖をさらに“悦ばせて”くれるであろう新キャラクターたちの登場に期待しつつ、最前線で矢面に立つ李氏と前田氏の胃に、どうか平穏が訪れることを祈って本稿の結びとしたい。
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