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『アナザーエデン』シナリオチーム座談会──王道RPGの“感動”について聞いたはずが、「いかにキャラクターの心を折るか」の美学を聞かされた件

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ついにファントムとの決着へ!? 新外史「望郷の魂と逆星の旅人」では『アナザーエデン』最大級の謎に迫る

──新外史「望郷の魂と逆星の旅人」【※】についても質問させてください。今回は「重要な選択」というストーリー分岐のシステムが導入されましたが、これを採用した理由を教えてください。

※2026年4月12日から配信開始となった新外史「望郷の魂と逆星の旅人」については、本多氏が全体構成とプロローグ&第1弾の企画・執筆を、第2弾の企画・執筆をTsumu氏が担当している。

本多氏:
理由はいろいろあるんですが、まずひとつは「外史」というコンテンツの構造上の理由です。

今回の外史も前回のノーナ外史と同じように、バラバラのオムニバスが最後にひとつに収束する構造になっています。前回が「タイムループ」だったように、今回も全体を貫く共通の軸となる仕掛けが必要でした。

もうひとつは、テーマに関する理由ですね。9周年を迎え、10周年という大きな節目を前にした今、これまで積み重ねてきた『アナザーエデン』のど真ん中をもう一度振り返りたくて、「ファントム」をテーマに選びました。

ファントムはメインストーリーでずっとアルドの前に立ち塞がってきましたが、「どういう存在で、どこで生まれ、最終的に何をしたいのか」は、いまだに謎のベールに包まれたままです。だからこそ、10周年を迎える前にここで彼らとの決着をつけようと。

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──長年の謎であったファントムに迫り、決着をつけると。非常に熱い展開ですが、それが今回の「重要な選択(ストーリー分岐)」というシステムにどう繋がっていくのでしょうか?

本多氏:
その「ど真ん中」のテーマを描くにあたって、プレイヤーのみなさんにはただ外から見届けるのではなく、「自分の物語」として没入してほしかったんです。

取り返しがつかないからこその緊張感を持ってもらうために、今回はあえて「重要な選択(ストーリー分岐)」という挑戦的なシステムを入れさせてもらいました。

ファントム自体が「ストーリー分岐」とニュアンス的に関わりのある存在です。プレイヤー自身の選択が、どうファントムとの決着に繋がっていくのか。新しいゲーム体験として、これ以上ないほど今回のテーマに合った仕掛けになったと思っています。

──『アナザーエデン』は直前セーブで「別の選択肢の結末をロードして見直す」ことができない仕様ですよね。そこであえて「ストーリー分岐」を作るとなると、シナリオ設計はどのように変わってくるのでしょう。

本多氏:
これまでにも細かい分岐や、エンディングが複数あるパターンはありましたが、「取り返しのつかない分岐」は初めてのことです。そのため、シナリオ設計の難易度はかなり高かったですね。

私自身、第1弾を書きながら「これは過去最大規模に難しいぞ」と痛感しました。

そのうえで一番気をつけているのは「正解・不正解を作らない」ということです。どの選択をしても、プレイヤーが悩んだ葛藤にしっかり見合うだけの結末を用意する、というところですね。

──選択肢の先の「結末の描き方」については、あらかじめ共通のルールなどは設けているのですか?

本多氏:
そこも明確には決めていないというか、その選択に見合った結末にたどり着ければいいと思っています。

オムニバス形式で担当ライターが変わるからこそ、いろんな世界観を楽しんでほしくて、あまり制約を作りたくなかったんですよ。

最終的なふたつの結末が同じくらいの温度感になる話もあれば、トゥルーエンドとビターエンドのように読後感に差がある話があってもいい。いろんなパターンがあっていいと思っています。それも含めて、まさに人生と同じ「選択」ですよね。

──プレイヤー間で「自分の選択」について議論が交わされるのも、分岐ならではのおもしろさですよね。

本多氏:
正直、ストーリー分岐という仕組みにはおそらく賛否両論あるだろうと思っています。それでも一本道のシナリオでは味わえない、今回の外史ならではの楽しみ方をしていただけたら幸いですね。

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新外史では、悩んで自分なりの答えを出す、その過程を楽しんでほしい

──あらためて今回の新シナリオを通して、プレイヤーにどのような体験をしてほしいとお考えなのでしょうか?

本多氏:
今回は「ファントム」をテーマに扱うということで、長く『アナザーエデン』をプレイしてくださっている方にとって、満足していただけるものにしたいと思っています。

また「選択」というシステムについても、たくさん悩んで自分なりの答えを出していく、その過程を楽しんでいただけたらうれしいですね。

もうひとつ、オムニバス形式は各ライターの強みや作風が色濃く出るところでもあります。「次はどんなテーマが来るんだろう」とワクワクしながら楽しみにしていただけたらと思います。

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ファントム。

──Tsumuさんが担当された第2弾のシナリオについては、どのようなテイストに仕上がっているのか気になります。

Tsumu氏:
第1弾とはガラッと毛色を変えて、「真実に迫るサスペンス的な物語」に挑戦しています。

ゲーム体験もそのテーマに沿った形になっていますし、「選択」についてもかなり緊張感のある仕上がりになっているので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

──今回の制作においては、本多さんとTsumuさんの間で密にやりとりをする機会は多かったのですか?

Tsumu氏:
はい。最初の段階で、本多さんには「第2弾でこういうことをやりたい」「分岐や選択はこうしたい」という企画を直接相談させてもらいました。

本多氏:
Tsumuさんはやりたいことがはっきりしている方なので、最初からすごく完成度の高い資料を準備してきてくれましたね。

Tsumu氏:
未来の時代のなかでも、わりとSF寄りというか、ミリタリーに近いような雰囲気ですね。

少し複雑な設定を散りばめつつ、先ほどもお話しした「真実に迫り、謎を解き明かしていく」という方向性を突き詰めたいと思っていました。

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──Tsumuさんがそのジャンルや世界観を今回のテーマに選んだのは、どういった理由からですか?

Tsumu氏:
「自分が書くならこれだ」という直感ですね。執筆するなかで「こういう要素もほしいな」というものが次々と出てきて、それらを盛り込んでいきました。結果的に、自分のやりたい世界観をそのまま形にさせてもらった感覚です。

本多氏:
外史のオムニバスは、ライター陣のやりたいことを表現してほしいと思っていますし、それができる数少ない貴重な場でもあるんです。

私としては、外史全体の建て付けや、最低限のガイドラインは用意していますが、そこさえ守ってもらえれば、あとは本当に自由に作ってくださいというスタンスです。

今回は「選択と分岐」という特大のシステム上の制約はありますが、それ以外は自由。Tsumuさんのやりたいことがこれだけハッキリしているんだから、絶対にその熱量をそのまま形にしたいと思っていました。

「適度に絶望しつつ、幸せな未来を見てほしい」平澤Pが語る、10周年に向けた意気込み

──これだけ個性の強いみなさんが集まっていますが、現在のシナリオチームは全体でどのくらいの規模になっているのですか?

藤代氏:
ライターで言うと、ざっくり10人前後います。4、5年前、私たちが入った時期で一気に増えて、そこからは徐々に増えている感じです。

──4、5年前に一気に増えたとのことですが、そこにはどのような方針や狙いがあったのでしょうか。

平澤氏:
彼らが入ってくれたのは『アナザーエデン』4周年のころで、私がプロデューサーになる少し前くらいでした。

当時、中長期を見据えて「まだまだここからIPを大きくしていくぞ」という方針があったんです。

さまざまなプロジェクトを並行して動かすためには、どうしても最上流工程にあたる「シナリオライター」が一定数いないと実現できないんですよね。

──とはいえ、その当時で4年以上続いているタイトルですし、単に人数を増やせばすぐに解決、というほど簡単なお話ではないですよね。

平澤氏:
おっしゃる通りで、何年も運用しているタイトルに加入して「明日からいきなり書けるか」というと決してそうではないんです。一定の学習期間が必要になりますし、どうしても向き不向きもあります。

そうした期間を経て今この体制になり、やっと並行してコンテンツを作れるようになりました。……みんな心の底では「忙しすぎる、ふざけんな」って思ってるかもしれないですけどね(笑)。

──そうやって盤石な体制が整ったからこそ、新たな挑戦にも踏み出せるわけですね。

平澤氏:
年明けにコンソール版の『アナザーエデン ビギンズ』の発表とあわせて、「スタジオプリズマ」という新たなゲームスタジオを立ち上げました。ここは『アナザーエデン』はもちろん、未来に向けていろんなRPGを作っていくスタジオです。

『アナザーエデン』シナリオというと、どうしても加藤さんが看板として目立ちますよね。

でもじつは、今日集まってくれたような強烈な個性を持ったすばらしいメンバーたちが、一緒に物語を作り上げ、みなさんに感動を届けてくれているんです。

──頼もしいクリエイターのみなさんが、今後どのような物語を見せてくれるのか、いちプレイヤーとしても心待ちにしています。

平澤氏:
はい。これからもそれぞれの強烈な個性で、いろいろなお話がみなさんのところに届くと思います。適度に絶望しつつ、その先にある幸せな未来を見ていただけるとうれしいです。

『アナザーエデン』についても、これから10周年に向けてまだまだ盛り上げていきますので、ぜひよろしくお願いします。

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「曇らせ」「心をバキバキに折る」……事前ヒアリングの回答を見たときは、いったいどんな恐ろしい開発秘話が飛び出すのかとヒヤヒヤさせられた。

しかし実際に話をうかがってみると、根底にあったのはキャラクターに対する愛情と、チームとしての揺るぎない矜持だった。

キャラクターを地獄に突き落とすのも、すべては感動する物語を描くため。だからこそ彼らのシナリオは我々の心を打つのだろう。

そんなシナリオチームが手がける最新コンテンツが、2026年4月に幕を開け、先日第2弾が配信された外史「望郷の魂と逆星の旅人」である。複数のライター陣がリレー形式で織りなす全5弾のオムニバスストーリーであり、今からプレイすれば、リアルタイムで物語に追いつくことが可能だ。

今回のインタビューで明かされた裏話を踏まえつつ、ぜひ彼らが紡ぐ新たな物語へと足を踏み入れてみてほしい。

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ライター
江戸時代より古くから文化の変遷を見続けており、現在広く遊ばれるスマホゲームに強く興味を持っているゲーマーエルフ。ゲームの基盤としては『ダライアス外伝』、『バトルガレッガ』などアーケードシューティングに熱中しており、いくつか全一なども持っているほど。スマホゲームをはじめとした運営型タイトルは、「推しキャラを数年という長期間使える」ということで悠久の時を生きるエルフの大好物。吟遊的な種族でもあるため、音楽にもこだわりが強く、素晴らしい楽曲のゲームも好む傾向にある。
Twitter:@Hagre_Elf
編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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