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「当初は3部作を予定していたのでボリュームは『すごい』ものになる」──RGGスタジオ代表 横山昌義氏に『STRANGER THAN HEAVEN』(ストレンジャー ザン ヘヴン)のことを根掘り葉掘り聞いてきた

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RGGスタジオによる完全新作『STRANGER THAN HEAVEN』(以下、『ストレンジャー ザン ヘヴン』)。本作は1915年から5つの時代、5つの街を舞台に50年にわたる男たちのドラマが描かれる超期待作だ。

「Summer Game Fest 2026」では、発売日が2027年1月15日であることが発表されたほか、伝説のラッパー、Tupac(トゥパック)の出演がアナウンスされるなど、熱い注目を集めている『ストレンジャー ザン ヘヴン』。

6月17日、電ファミ編集部はセガ本社にて「Summer Game Fest 2026」出展バージョンの試遊、そしてRGGスタジオ代表 横山昌義氏にインタビューを行う機会を得た。

国内ゲームメディア各社が参加する合同インタビューだったのだが、タイトルに込めた意味やスヌープ・ドッグ、トゥパック出演の経緯、さらにはバトルやショウビズなどのゲームシステムに関することなど、『ストレンジャー ザン ヘヴン』のあれこれをうかがってきた。

RGGスタジオ代表 横山昌義氏に『STRANGER THAN HEAVEN』(ストレンジャー ザン ヘヴン)のことを聞いてきた_001
横山昌義氏

取材・文/豊田恵吾


──まずタイトルについてお聞かせください。『ストレンジャーザンヘヴン』というタイトルにはどのような意味や思いが込められているのでしょうか。

横山氏:
タイトル名は最後までなかなか決まらず、わかりやすい名称のほうがいいのではないかという議論もありました。『ストレンジャー ザン ヘヴン』ってものすごく商品名らしくない名称なんですよね。

たとえば映画だと『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のように、ひとつのことを言い表さないタイトル名がありますが、ゲームではあまり見ないパターンなんです。『ストレンジャー ザン ヘヴン』というタイトルには「天国よりも奇妙な場所」という意味もありますし、「ストレンジャー」という言葉が持つ、よそからやってきた部外者みたいな感じを入れたかったんですね。

海外スタッフに聞いてみたところ、アメリカのスタッフや海外のコーディネーターの方がみな「このタイトルが好きだ」と言ってくれて。なかには「横山らしくない」とか、「「ドラゴンパンチ」みたいなストレートなタイトルじゃないの?」といった意見もありましたが(笑)。

そういったあと押しがあったことや、作品の中身を表す言葉でもあったので『ストレンジャー ザン ヘヴン』というタイトルに決まりました。

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──長いスパンの時代の移り変わり、ひとりの人生を描いていくという発想は、企画の当初からあったのでしょうか?

横山氏:
ありましたね。そういうことをやりたいと思って考えたストーリーです。要は『龍が如く』の昔を描きたいというものではなく、『龍が如く』シリーズを長く作ってきた中で、ずっと解消できていなかった疑問、「彼らはどうしてこういう生き方をしたんだろう」という疑問に挑んだというか。

『龍が如く』は現代劇ですから、すでに極道組織などが現存する中で、そこに落ちていった人たちというか、ああいった世界に足を踏み入れざるを得なかった人間を描いてきたわけです。

でも、「そもそも最初の人たちってどういうところからこういう集まりを作ったんだろう?」とか、「そういうことがしたかったんだろうか?」という疑問があったんですね。

これまでRGGスタジオが作ってきた『龍が如く』シリーズの最初の部分というか、「こういうふうに人間の集まりができ上がっていったんだろうな」というものを描きたいと思ったんです。

じつは最初は3部作で考えていました。ひとりの男の人生、50年という年月を描くとなると長すぎるから前・中・後編の3部作にしようと。でも、いまの時代、あまりにも長いゲームはナンセンスというか、敷居が高いというか、重いかなと。あと、やっぱり作っていくうちに全部入れたくなっちゃうんですよね(笑)。

前・中・後編が一気に発売されるならいいですけど、あいだが1年とか空いてしまうと、プレイヤーも作り手側も途中でイヤになっちゃうじゃないですか。だったら全部ひとつに入れたほうがいいと考え、最終的に現在の形になりました。

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──プレイヤーは主人公である大東 真の50年間という壮大な半生をともに歩むわけですが、時代を経ての人間性の変化や、ゲーム全体のボリューム感はどのようになっているのでしょうか。また、本作のフィールドの広さや作り込みの密度についても教えてください。

横山氏:
ゲーム全体のボリューム感はまだ正しく測ってはいないですけど、すごいと思います。とくにボリュームがあるのはメインストーリー。さきほど話したように、3部作にしようかと考えていたものを1本にまとめていますので。

フィールドに関しては、これまでの『龍が如く』とあえて比較をするのであれば、それぞれの街のマップサイズは同じようなものだと思います。5つの時代の都市によって大きさはかなりまちまちではありますが、無理に大きくも小さくもしていません。作り込みに関しては、『龍が如く』と比べて入れる建物がかなり増えていますので、そういったところの作り込みは上がっています。

ただ、皆さんもおわかりだと思うんですけど、当時の建物と現代の建物って階層構造が違いますし、建物自体が低いんですよね。だから入れる場所は増えていても、すごく高いビルをずっと登っていくというのはないわけです。

それ以外の、たとえばサブストーリーの部分は……なんて言うんだろうな。『龍が如く』だとお約束的にインフレしてきたというか、広がってきたところがあると思っているんですね。そういったところを今回は一回リセットして、『ストレンジャー ザン ヘヴン』というゲームを成立させるために必要なことをやっているんです。試遊していただいた方はわかると思うのですが、バトルの操作感はもちろん、メニューから何から何までほとんど変わっていることがわかってもらえたと思うので。

ちなみに、『龍が如く』シリーズでいうところのプレイスポット的な遊びは少ないです。なぜかというと、あの時代は「遊び」そのものが少なかったんですよ。無理に遊びを入れてもしょうがないので、ある程度の嘘を含めながら時代に即したものを入れています。

たとえば『龍が如く6』にはRIZAPのプレイスポットがありましたけど、そのときに流行っているものとかは入っていないということですね。

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──1915年の福岡・小倉、1929年の広島・呉、1943年の大阪・ミナミ、1951年の静岡・熱海、1965年の東京・新宿、この5つの時代と舞台を選んだ基準を教えてください。また、ほかに候補となった舞台はあったのでしょうか。

横山氏:
時代に関しては主人公の設定で考えていったので、狙って「この年代」というのはないですね。もうひとつ補足すると、サンフランシスコから船に乗って小倉に到着するというところから最後に神室町に行くという流れを考えていたので、福岡と東京を線でつないだ結果、あいだにある都市でこうなったと。だから企画時点でもほかの舞台は考えてないですね。最初から「これでいこう」という感じでした。

──各時代は、主人公の人生の中で重要なエピソードがピックアップされているわけですよね?

横山氏:
トレーラーを見ていただければわかりますけど、大東は若くしてスヌープ・ドッグが演じるオルフェウスの密航船に乗って小倉にたどり着くんですね。その後、八島平吾(演・大塚明夫)のところで世話になりながら、日本での生き方を学んでいく。

そして歌・音に対しての才能に気づき、いろいろあって広島・呉へ行くことになる。じつは、トレーラーの中にヒントがあって、要するに広島でヤクザの組織に入ることになるんです。極道組織に入るエピソードで必要だった舞台が1929年の呉だったわけですね。呉といったら『仁義なき戦い』の舞台で有名なところですから、自然につながっていったというか。

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──この5つの時代と5つの街を描くにあたって、とくにこだわったところや制作に苦労されたことがあればお聞かせください。

横山氏:
すごく簡単に言うと、ゲームの中でどう嘘をつくのかが勝負なんです。リアルに街を再現しようとはまったくしていないので。「RGGスタジオが作るゲームは街を再現していて楽しい」とよく言われるんですけど、再現しているつもりはまったくなくて、あれは「表現」なんですよね。

再現するのであったら、リアルなデータを持ってきてそのままテクスチャを貼り付けて作ったほうがいいわけで。僕らはいつもオリジナルの空間として、いっぱい嘘をついているというか、フィクションをやっているんです。重要なのは、そのフィクションの入れ方をどうするかということ。

もし1915年の小倉にタイムスリップできたとしても、そこは『ストレンジャー ザン ヘヴン』の小倉ではないわけです。いまの僕らが遊んだときに楽しい1915年の小倉じゃないと、エンターテインメント作品として意味がないんですよね。ですので、そういう嘘のつき方をどう派手にやるかというのがたいへんなところでした。

調べていちばんびっくりしたのは、1965年の新宿に路面電車があったこと。そういったものは入れていますが、嘘のつき方がいちばん苦労したところですね。当時の写真とか映像も手がかりにはなりますけど、手がかりにしかならないわけで。たとえば、ゲーム内のお店の並びとか構成は隙間なく建物が並んでいますけど、実際はもっと隙間があるでしょうし。ゲーム的に作ってもおもしろくならないところは省いていますから、そういう意味でも「架空の街」なんですよね。

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──史実に忠実な部分とフィクションの線引きをどのように定めたのでしょうか。

横山氏:
マップやアドベンチャー部分はさきほど話したような考え方で作っていますが、ストーリー部分で言うと、大東の身の回りで起こることに関しては、いわゆる歴史的なところは描いています。

ただ、世界でその時代に何が起こっているとか、どんな事件が起こったなど、大東が関わってないものは、まったく描いていません。いわゆる「史実に基づいた話です」と言う気はなくて、「史実にはまったく基づいてない話です」と僕は言っているわけで。そこは明確に示しておきたいところです。

──本作のバトルは「コンバットシステム」として右半身、左半身それぞれを操作するシステムですが、『龍が如く』シリーズと比べた際の触り心地や爽快感、難易度の違いを教えてください。

横山氏:
誤解されないようにお伝えすると、プレイしていただいたバージョンは敵を強くしています。操作感をわかっていただけるように、すぐ倒せないようにしているんですね。ですから雑魚敵に関しては、製品版ではもっと体力が削れやすくなります。

あくまでも今回は操作方法や武器の使い分け、防御方法などを知ってもらうために敵の強さを調整しているので。あとは武器を使うとかなり強い、というのも理解してもらえるようにしています。

爽快かどうかはプレイする人の腕前に左右されるでしょうけど、武器を使えば戦力差が生まれるバランスになると思います。

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──大東の「円熟」や「老い」はゲーム中の一貫したキャラクターの強化体験になるのでしょうか?

横山氏:
詳細についての説明は避けますが、時代ごとに変化は出てきます。「時代」という話でいえば、特定の時代において獲得したものは、時代を越えて持ち越すことはできません。最初のプレイでは、過去には戻れない形になっています。

クリア後にどういうプレイができるかはまだ明言しませんが、たとえば呉に行ったあとに小倉に戻って何かをするということは、最初のプレイではできません。時間どおりに進んでいくというゲームスタイルです。

だからメインストーリーを進めるだけでも、人によって相当違うゲームプレイになっていくと思います。武器に関しても、種類によって戦力差が明確にあるわけではないので、テンポ感とか防御が自分に合っているかどうかで好きな武器は違ってくるでしょうし。たとえば、重量感と長さがある武器だと防御は強いけど両手が埋まってしまったり、振るスピードが遅めだったり。武器ごとに特徴が異なるので、プレイする人によって戦闘スタイルに違いが出ると思います。

だから実況プレイも、人によってぜんぜん違う内容になるでしょうね。じつはゲーム全体のシステムというか、制作コンセプト的に、今回はそこを目指していて。『ストレンジャー ザン ヘヴン』の実況者動画を観たときに「プレイ内容はいっしょで解説が違うだけ」というのではなく、プレイの絵が変わるようにしたいっていうのがあって。

イベントシーンとかストーリーが進むシーンは変わらないですよ。そのへんは変わらないですけど、たとえばアドベンチャー中の会話シーンでも、フィックスのカメラじゃなくて、キャラクターが動かせるようなところを多くしています。

試遊バージョンではほとんどお見せできていませんが、UIの作り方とかも含めてこれまでの作品とはすべて変えているんですね。まず見た感じがこれまでのシリーズとも違うし、遊ぶ人によってかなりゲーム中の絵が変わるというか、とくにバトルは変わることを意識して作っています。そこは全体的な設計コンセプトとしてありました。

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──操作難度やアクセシビリティをどのように調整されていくのでしょうか?

横山氏:
いまの形がフィックスというわけではなく、アクセシビリティなどはいろんな人の意見を反映させながら調整を続けていきます。カメラ操作に慣れている人と慣れていない人では反応は相当変わると思いますし、そこにどう合わせていくのかというのはチューニング中なので、いろんな人に対応できるようにはしたいと思ってます。

ただ、誰でもクリアできるように調整する気はありません。たぶん、こういうストーリーもののゲームを作っている人はみなさん、「ゲームでしか味わえないストーリー体験とは?」と悩んでいると思うんですね。世界中のクリエイターが悩んでる点だと思いますが、キャラクターを動かしてプレイヤーが一心同体となり、ともに苦労を乗り越えていくから感動できる。それが根っこにあるわけです。

RPGだったら、敵を倒してキャラクターのレベルが上がり、自分もいっしょに成長していく感覚がある。だから感動するわけですよね。アクションゲームの場合は、自分の操作が上手くなることで成長を感じたり、武器を強くして敵を倒しやすくなって爽快感が得られる。

ゲームによって感情移入できるポイントは違うと思いますが、『ストレンジャー ザン ヘヴン』においては自分の意のままに大東を操れるようになって、苦しい時代を生き抜いていくところを味わってほしい。難易度調整も含め、ストーリーが味付けになるゲーム設計を考えていきたいと思っています。

──意識的に『龍が如く』シリーズより難しくしているのでしょうか?

横山氏:
難しいか難しくないかということではなく、これまで『龍が如く』をプレイしてきた人たちが同じ操作感で楽しめるかどうかは意識していません。いま僕らが新作をイチから作ったときにいちばんおもしろい主人公設定とアクションにしよう、という考えです。

じつは右半身と左半身を操作で使い分けるというのは、何年も前から考えていた設計なんです。ここでしゃべっちゃうからもう作りませんけど、ずっとボクシングのゲームを作りたかったんですね。究極のボクシングゲームと究極のダンスゲームを作るのが僕の夢なんです。まあ、その夢はもうたぶん達成しないんですけど(笑)。

ダンスゲームって、ほとんどが音ゲーになっちゃうじゃないですか。おそらく、唯一それを覆したのはXbox360のKinectで発売された『Dance Central』くらいじゃないかな。まあ、自分で踊るというよりも振りに手足を合わせるものでしたが。

コントローラーだけでウィンドミルとかムーンウォークとかが自由に出せるゲームが作れないかなと思っているんですけど、たぶんコマンド入力になってしまったりと難しさがある。その夢の一端を入れたのが『龍が如く0』の真島のダンサースタイルで……と、話が逸れましたが、操作によって楽しめるとか、これまでにない操作感で、かつ納得感のある入力スタイルのゲームをずっと作りたいと思っていたんですね。そのいつかやろうと思っていた企画を『ストレンジャー ザン ヘヴン』に持ってきたというか。

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──街の音を集めて曲を作る「ショウビズ」の要素が発表されていますが、大東のバトルにどう連動していくのでしょうか?

横山氏:
基本的にショウビズはしのぎなんですよね。主人公の設定やストーリーを考える中で軸になっているのがショウビズです。大東はハーフで、この時代では見た目も目立つ……というか虐げられてしまう。スパイじゃないかと疑われたり、とにかく超過酷な場所に来てしまったわけです。大東は天国だと思って日本に来たのに、日本でそんな目に合ってしまうと。

アメリカだとアジア人っぽいと言われ、日本に来たら外国人だと言われるという……。そんな彼が見た目や言葉、国籍を越えたところで生きられる唯一の道がエンタメビジネスだったわけです。

歌や音楽は世界共通なので、「いいものはいい」と素直に言えるし、受け入れてもらえるんですよね。それを体現するために、ショウビズシステムが入っているということなんです。大東の才能として、音をプロデュースするとか、音を記憶する能力があって、それを気づかせてくれる人がオルフェウス(スヌープ・ドッグ)だったりすると。

ストーリーといっしょに自然と出来上がった要素なので、ストーリーのど真ん中にあるのがショウビズになります。大東が自分で歌うときもありますが、どちらかというと彼はプロデュース側。興行をしてお金を稼ぎ、そのお金で地位を築いて生きていくと。

でも裏を返すと、それがなければこの時代、彼らに地位はないんですよ。お金の力と成功によって地位は保証されるけど、そうじゃなければ地位は一気に失われる時代。そんな過酷な環境の中で彼らがどうやって生きていくのか。それを見届けてもらいたいと思っています。

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──人生の浮き沈みが激しそうな予感がします。

横山氏:
まだ発売前ですから詳細は言わないですけど、本当にすごいですよ(笑)。トレーラーで公開してるシーンだと成功しているように見えるかもしれないですけど、もう本当に……。どうやら僕はしんどい人しか描けないみたいで(笑)。まあ、ハッピーな人を描いても、みなさん興味を持たないですよね。

──今回の試遊はバトルがメインでしたが、その中でも風鈴の音や下駄のカランコロンという音、扇風機の音などを感じることができました。

横山氏:
じつはバトル中も音を収集できるんですよ。ちょっとだけトレーラーにも入れているんですけど、特殊な場合ですがバトル中でも「これだ」と思ったときに音を集められるんです。

だからそこもプレイする人の腕前が関係してくるんですよね。バトルがめちゃくちゃ上手い人は余裕が生まれますから、そういった音にも気付けるわけで。開発陣は「ディグる」と呼んでいるんですけど、バトル中も敵が発する音を収集できます。

ショウビズの詳細は今後説明する予定ですが、集めた音はそのまま使うのではなく、人を介して曲に変換していくことになります。音集めと曲作り、歌手集めと演奏者集め、そして興行までをひととおりセットでやっていくというのがショウビズになります。

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──『龍が如く』のプレイスポット的な遊びは、街と時代に即したものが用意されていると期待してよろしいでしょうか?

横山氏:
期待してもらってかまいません。ただ、厳密に言えば「この時代にはないものだよね」というものもあります。それは先ほど話したように、史実に忠実ではないからです。

たとえば、1951年の熱海。じつはここにニューアカオが実在のホテルとして出てきます。でも、厳密には1951年にはニューアカオはまだないんですね。もうちょっとあとなんです。ですから、そういうところは許してください、という感じですね。

ちなみに、『龍が如く維新!』には「宅配午前 釜寅」や「ドン・キホーテ」が登場していましたが、そういった時代があまりにもかけ離れたものはありません。

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──国内外、そして時代を超えた非常に豪華で異色のキャストが発表されて大きな話題となっています。この驚きのメンバーを起用するに至った経緯や狙いについて教えてください。

横山氏:
よく「話題性のためだけにキャスティングしているんじゃないですか」と言ってくる方がいらっしゃるんですね。でも、そう聞いてくる時点で「目立っている」ということ。キャスティングですごく勉強させてもらったのは、『龍が如く0 誓いの場所』のときなんです。『龍が如く0』には、小沢仁志さん(久瀬大作役)、竹内力さん(阿波野大樹役)、中野英雄さん(渋澤啓司役)に出演してもらっていますが、知名度ということだけで言えば、ワールドワイドではそこまで高いわけではないんです。

日本においても『JUDGE EYES』シリーズにおける木村拓哉さんのような知名度があったわけでもない。ただ、キャラに似合っているんですよ。似合うキャスティングに叶うものはやっぱりないんです。久瀬、阿波野、渋澤の3幹部に関しては、いまだに世界中で賞賛されていますし、ゲームを遊ぶ人にとっては彼らが実在する役者さんであるかどうかは関係ないんですよね。

ジェリー・ブラッカイマーのようなハリウッド映画のプロデューサーもそうですけど、キャスティングってユーザー側のワクワクとかを支配する要素なんです。ただ、一方でゲームクリエイターとしては、キャスティングばかりが騒がれるのは本意ではなく、いちばん注目してほしいのはゲームシステムだったりストーリー。でも、役者さんたちの演技や質感が作品全体をおもしろくしてくれるということを『龍が如く0』ですごく教わったんですね。

ですから、少なくとも僕がプロデューサーになってからのメインのキャスティングについては、そういうことを軸にやっています。知名度と話題性じゃなくて、メインのキャスティングはシナリオのキャラクターに合うかどうか。もっと言えば、最初から「この人を使ったキャラを作りたい」と思ったときは当て書きに近い形でシナリオを作っていく。そういうやり方も場合によってはあるぐらい、キャスティングは重要な要素だと思っています。ストーリーのクオリティをすごく上げてくれるのがキャスティングなんだろうなと。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』のストーリーを考える中で、これまで僕らが挑んでこなかったのが、簡単に言うと純日本人ではない主人公を使うことでした。以前も話したことがありますが、『ストレンジャー ザン ヘヴン』は本当にいろんな縁でつながっていったんですね。スヌープ・ドッグとの縁も本当にたまたまで……。

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──スヌープ・ドッグとたまたま縁ができることはないと思います(笑)。

横山氏:
いや、本当に(笑)。たまたま接点ができて「興味ありますか?」という話になったんですね。最初は別件だったんですよ。スヌープと別件で話す機会があり、その縁をきっかけに出演のお願いをしたところ、「たいへん興味がある」とお返事をいただいたところから話がはじまって。歌とか音楽といったカルチャーをバックボーンとして感じさせてくれる人をキャスティングしたかったので、本当にバッチリ合ったというか。

主人公に関しては、何人かの俳優さんに会って話をしていく中で、城田さんが大東と似た境遇を持っていらっしゃって、バックボーン含めてバッチリだったんですね。城田さんに大東のことを説明したら「え、僕の経歴を知ってて話してますか?」と本人も驚いていて(笑)。

城田さんは歌もうまいのでうまくハマりましたね。大東を演じるにあたっては、英語ができて、日本語ができて、歌も歌える必要があるわけです。声も「50年にわたる老い」を表現できる演技力がないといけない。だから、できる方ってかなり限られるんですよ。

真城 優を演じるディーン・フジオカさんもハーフではありませんが、英語もできるし歌もできる。だから『ストレンジャー ザン ヘヴン』のキャスティングに関しては、ほぼ100%、制作側の希望が叶っていますね。すごく幸せな状況が作れたと思っています。

これも前に言いましたけど、タイムスリップしてもう一度同じキャストを揃えろと言われても、できる気がしない。今回は本当に縁が舞い込んできてくれて……。

ディーン・フジオカさんと最初にお話させていただいたときに「詐欺師の書類に見えました」と言われたんですね。企画書に書いてあったのが夢のようなキャスティングだったので、「嘘の企画書ですよね?」と(笑)。たぶん怪しいプロデューサーが映像業界にはいるんでしょうね。「何も決まっていないけどこういうキャスティングでやるつもりです」というプロデューサーが(笑)。だから「大がかりな詐欺に遭ってる気分だ」と言う人はけっこう多かったです。「和装したスヌープ・ドッグが出演?」とみんな思うわけですよ(笑)。

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──スヌープ・ドッグの出演は制作の早いタイミングで決まっていたのですか?

横山氏:
キャスティングの順番としては主人公、スヌープ・ドッグが最初に決まりました。先日の龍スタTVに本宮泰風さんに出演いただいたのですが、泰風さんには役柄も決めず「あの時代のヤクザの役があると思うので出ませんか」とお願いしたら「出ます」と(笑)。これは別ルートの話ですね。

──Tupac(トゥパック)の出演はどのタイミングで?

横山氏:
トゥパックは、スヌープと深くコミュニケーションができるようになってからです。まあ、スヌープとトゥパックのふたりが揃っていると余計に「これは嘘だろう」となりますよね(笑)。トゥパックの役柄の詳細はまだ話せないのですが、スヌープに相談するところからだったので、出演が決まったのはかなり後半ではあります。

Summer Game Fest 2026でトゥパックの出演を発表しましたが、現地の反応はすごかったです。ただ、スヌープとトゥパックが同じ作品に出演していることのすごさって、日本ではなかなか伝わらないところなんですよね。

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──トゥパック出演の経緯をもう少し詳しくお聞かせください。

横山氏:
スヌープといろいろコミュニケーションしていく中で、「こういう役柄の人間がいるんだけど」と相談したところ、「トゥパックがいいんじゃないか」という話があって。Summer Game Fest 2026に登壇したスヌープ本人が語ってましたが、息子さんのコーデール・ブローダスがトゥパック側の関係者とつながりが深く、そこから紹介してもらって、というのがルートでした。ご遺族を含めた権利関係者の方々に監修をしていただきながらモデル作成などを進めています。

──大東の主人公像はどのように固まっていったのでしょうか?

横山氏:
もともとは別のキャラクター設定、別の舞台設定を考えていたのですが、自分の中でピンとこなかったんですね。さきほど話したように、「組織の始まりを作った人」を描くにあたり、いくつかのパターンがある中で、そのときは国籍などを考えていなかったんです。

1900年初頭、虐げられた人たちが事件に巻き込まれながら自分たちの居場所を作っていく……と考えたときに、「ふつうじゃん」と行き詰まったんですね。そこに感動もなければ、「がんばろう」というのも誰もがそうだし、復讐劇とか、親友が殺されての敵討ちとか、過去のエンタメ作品でさんざん描かれているなと。

でも、絶対にそうじゃない動機があって主人公はこういう生き方を選択した、と考えたときに、「もしかしたら主人公は混血だったのかもしれない」というのが頭に浮かんだんです。

じつは6〜7年前から考えていたストーリーだったので、考える時間はたくさんあったんですね。「見た目も言葉も違うけど日本に来た奴らがいて……」と思いついてからはどんどんキャラクター像が固まっていきました。

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──さきほど少し話がありましたが、Summer Game Fest 2026でのオーディエンスの反応について、もう少し詳しくお聞かせください。

横山氏:
ものすごかったですね。あまりにも反応がすごかったので、笑っちゃいましたから(笑)。あれくらい反応があると、登壇者はステージの音が聞こえなくなっちゃうんですよ。壇上の音もかき消されてしまって進行の指示が聞こえなくなり、隣りにいたジェフ・キーリー(Summer Game Fest 2026主催者 兼 司会)がしゃべり出せなかったんです。それくらい会場は大騒ぎでしたね。

『ストリートファイター6』にティファが参戦するという発表のときも歓声がすごかったですけど、そっちはもうちょっと黄色い声というか。一方、トゥパック発表のときは、黄色くない「ウオー!」という声があがって、しばらくのあいだざわざわが続いていたんですね。スヌープが出てきてからもずっとざわざわしていて。

あと、日本に帰ってきてからもいろんな人から連絡がありました。ただ、いちばん多かったのは「なんで「Tupac」という表記なの?」という連絡。僕の姉からも「なんで「2pac」表記じゃないの? 間違ってるよ。私、いまでも2pac超聴いてるんだけど」と(笑)。説明しておくと、アーティストのときは「2pac」、本人や俳優としては「Tupac」表記なんですね。だから姉にもそう説明して(笑)。

──スヌープとはショウの前後でどんな会話をされたのですか?

横山氏:
ショウが終わったあとにめちゃくちゃしゃべったんですけど、僕が着てた服がWILDSIDE YOHJI YAMAMOTOの大東の刺青柄デザインのジャンプスーツだったんですね。

スヌープ用にお土産として渡したら「なんで最初にくれないんだ。事前にもらってればお揃いで登壇したのに」と言われて。大喜びでその場で着てくれて、着たまま帰っていきましたから(笑)。

まだ公開していませんが、動画も撮らせていただいたりと、30分以上は話してましたね。会場のスタッフに「うるさいからどこかに行ってくれ」と言われるくらいでしたから(笑)。

今回、僕が20年ぶりに命をかけて渡米した理由(編集部注:横山氏は飛行機に乗れない体質)っていうのが、僕が行かないとスヌープも出れないというか、あのステージが成立しなかったんですね。ただ、これはいろんな人に伝えていますけど、これで飛行機に乗るのを解禁したわけではないということは、はっきりと言っておきます(笑)。

──(笑)。最後の質問になりますが、発売日が2027年1月15日と発表されましたが、発売までに一般の方が本作に触れる機会、体験会やイベントを実施される予定はあるのでしょうか?

横山氏:
絶対にやります。今日、みなさんがゲームを遊んでどういう感想を抱いたのかはわかりませんが、触ってみないとわからないところってかなりあるなとは思っていて。ですから、触れてもらう機会をたくさん作ることは大事だと思っています。

僕らは「新作」と言っていますが、『龍が如く』が好きだった人たちは『ストレンジャー ザン ヘヴン』に強く興味を持つと思うんですね。事前知識や触り心地がわからずに購入して遊んだときに、びっくりする人もいると思うんです。

そこは丁寧に接触機会を設けて、誤解がない形で遊んでいただければと思っています。「こうおもしろいんだ」というのを理解していただいたうえで手に取ってもらえれば。

『ストレンジャー ザン ヘヴン』はまだまだ理解されていないと思っていて、いまの感覚だと海外のほうが盛り上がっている感じもある。これは珍しい経験なんですけど、日本が少ないというのではなく、海外が規模感含めて異様に盛り上がっているだけなのかもしれません。

日本の方たちがついていきやすいというか、もうちょっと理解しやすい要素を伝えていくフェーズに入っているのかなと。伝わってる人には伝わってると思うんですけどね。『ストレンジャー ザン ヘヴン』という言葉自体にまだ馴染んでいないというか。

イベントや施策も考えているので、ぜひ楽しみに待ってていただきたいなと思います。あと、去年の東京ゲームショウのステージで「また来年お会いしましょう」とメッセージを書いてるんですよね。なので、その通りのことが起こります……というか、出ます、出します。東京ゲームショウで『ストレンジャー ザン ヘヴン』のことがすごくよくわかるというか、楽しんでもらえるように計画を練っていますので、ぜひご期待ください。(了)

副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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