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2022年にサービス終了した『歌マクロス』がクラウドファンディングで復活。プロジェクトを統括するのは、これまで数々の『マクロス』ゲーを手がけている広野啓氏。『歌マクロス』復活の経緯、なぜクラファンという手段を選んだのかを広野氏に聞く

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基本はオリジナルの『歌マクロス』に忠実な内容に。運営型から買い切りタイトルになることでの変更点も

──対応機種にiOSとAndroidがあるのが意外でした。

広野氏:
もともとiOS、Androidで配信されていたタイトルですので、オリジナルをプレイされていたユーザーには当時と同じ遊び方ができるようにし、そこに新たにSteamを加えた形です。なるべく広く遊んでいただきたいので、日本語と英語は対応するつもりです。できれば簡体字までは対応したいと思っています。

もともと国内配信のみの運営ゲームでしたので、最初は日本市場のみのリリースになると思いますが、徐々に言語数を増やしていきたいと考えています。

──ゲーム内容については、オリジナルの『歌マクロス』が現在の環境でそのまま遊べると考えてよろしいのでしょうか。

広野氏:
基本はそうなのですが、いくつか変更点があります。もともとはフリー・トゥ・プレイモデルだったこともあって、成長・育成要素がすごく多いんです。いわゆる買い切り型のゲームとは設計思想からしてまったく違いますから、パッケージ化するにあたり、最適化するべく整理しています。

リズムゲームとして高いクオリティで作られていますし、ゲームとしてもおもしろい。とくにライブ演出はものすごくこだわって制作されていますから、ライブシーンを見るだけでも価値あるものになっています。そのコアはしっかり残したうえで、いろいろとブラッシュアップして遊びやすくしていきます。

ガチャで手に入るプレートと呼ばれているスキルがつくアイテムも最初からほぼ全部手に入りますし、キャラクター、衣装もほぼすべて解放済みになります。

『歌マクロス スマホDeカルチャー』復活プロジェクトインタビュー:元スクエニ広野啓氏に、経緯と『マクロス』愛を聞いてみた_014

──『歌マクロス』の魅力はどういったところにあると思われますか?

広野氏:
『マクロス』を好きな方なら触っていただければすぐにわかると思います。かっこいい、かわいいだけじゃなくて、演出のクオリティが驚くほど高いんですね。カメラワークだったりキャラクターのモーション、演出だったりというのは相当こだわっていて、それを見ているだけでも楽しくなるんです。

『歌マクロス スマホDeカルチャー』復活プロジェクトインタビュー:元スクエニ広野啓氏に、経緯と『マクロス』愛を聞いてみた_015

YouTubeには『歌マクロス』の映像で構成された3Dライブの動画がアップされているのですが、そちらを見ていただければこだわりを感じていただけると思います。2026年のいま見ても遜色ないというか、「おおっ!」と思っていただけるのではないでしょうか。

また、『マクロス』の作品間で歌姫たちがクロスオーバーするゲームとなっているので、それぞれの世代にとって思い入れのある作品に親しめる仕組みとか、好きなキャラクターに自分の好きな曲や衣装を組み合わせるUGC【※】のようなカスタマイズ性があって、その点も魅力だと思います。

※UGC……User Generated Contentの略で、ユーザーが作り出したコンテンツのこと。

──なるほど。

広野氏:
ビックウエストさん、DeNAさん、xeenさんの協力をいただいていますので、今回のプロジェクト始動にあたって元データをご提供いただいています。「現在の機材で動くのか」、「どれぐらいの画質で見られるのか」といったことをひとつずつ検証しています。アプリタイトルですから心配もあったのですが、実際に大画面で見てもまったく遜色なく、非常に高いクオリティで作られていたことが確認できました。

『歌マクロス スマホDeカルチャー』復活プロジェクトインタビュー:元スクエニ広野啓氏に、経緯と『マクロス』愛を聞いてみた_016

多くの人の思いを形にするクラウドファンディング

──クラファンの期間は2ヵ月とのことですが、ゲームは最速でいつぐらいに遊べるようになる想定ですか?

広野氏:
クラウドファンディングはCAMPFIRE(キャンプファイヤー)さんでの実施となりまして、2026年9月から10月末まで募集を行います。実際に皆さんが『歌マクロス』を遊べるようになるのは、2027年春ごろを予定しています。

オールイン形式ですので、「復活します」と宣言した以上、どのような結果になっても必ず『歌マクロス』は発売します。

──Steamでの展開はビックウエストさんからの要望だったのでしょうか?

広野氏:
なるべく多くの人たちに遊んでもらって『マクロス』を知ってもらいたいという思いがあり、私からモバイルだけではなくPCでもやるべきだと強くおすすめさせていただきました。

──ちなみに、価格はどのくらいになるのでしょう?

広野氏:
現段階では詳細は言えないのですが、10連ガチャ回すぐらいの金額で収めたいと考えています。原作のあるキャラクターゲームは版権料があるから高価になりがちな傾向がありますが、手に取りやすい価格であるべきだと思っているんです。

インディーゲームが流行っている現在は価格もお手頃で良質なタイトルが山ほどあります。そういった中で、IPタイトルこそ気軽に手に取ってもらわないといけないというか。プロデューサーサイドの人間として、パッケージ構成を含めて整えさせていただいています。

──クラファンをやるにあたって、ビックウエストさんから「これだけは守ってほしい」といった要望はあったのですか?

広野氏:
作品とファンを大事にしてほしいということがいちばんでした。

──数々の「マクロス」ゲームを通じて積み上げてきた、「広野さんだったら大丈夫」という信頼関係があってこそですよね。

広野氏:
そこは本当にありがたいと感じています。これまでの信頼関係がなければ、今回のプロジェクトは成り立っていなかったかもしれません。当時のゲームに関わった多くの方にも協力いただいていますし、縁というか、これまでのつながりで成立しているプロジェクトだと強く感じています。

『歌マクロス スマホDeカルチャー』復活プロジェクトインタビュー:元スクエニ広野啓氏に、経緯と『マクロス』愛を聞いてみた_017

クラファンのリターンでゲーム内容がさらに充実。推しマイクや『歌マクロス』のイラストが見られる8メートルの巨大な巻物も!?

──リワードはどのようなことを重視されたのですか?

広野氏:
リターンに関してはかなり悩みました。クラファンを行うのは初めてということもあり、実際にどれぐらいの支援者がいらっしゃるのか予想できないというか……。ただ、お話したようにオールイン形式としていますので、どのような結果になっても作り切ります。

『歌マクロス』には、楽曲もあればキャラクターの衣装もあります。いちばん多いのはプレートと呼ばれる描き下ろしのイラストですね。このプレートは膨大な数で1,000枚以上(進化前、進化後を含めると2,000種類以上)が提供されていたんです。ゲーム外でも見ていただけるように、このプレートをまとめたアートブックを用意しています。

ほかにも、キャラクターを装飾できるデコルームという機能があるんですけど、それを手元で再現できるようなリターンを用意していたり。また、公式で3Dミニライブを先行して見られる権利や、ゲーム内で観られたクロニクル形式のイラストを巻物として用意しました。ちなみに、巻き物は長さが8メートルあります(笑)。

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──(笑)。

広野氏:
あとはお気に入りの歌姫デザインのマイクだったり、ゲームのモデルを3D出力するフィギュアなども考えています。いまサンプルを作っていて、うまくいけばそれもリターンとして用意したいです(編集部注:インタビュー取材は2026年7月に実施)。ほかにも、スペシャルイベントみたいな感じのお渡し会とか、バリエーションの幅を出すように考えています。

『歌マクロス』のグッズはこれまで限られた機会にしか作られていないので、それが手に入るきっかけになればいいなと。

──ゲームを買おうと思っている方は、豪華版を買うようなイメージで支援するのがよさそうですね。

広野氏:
ぜひそうしていただきたいです。クラファンの時点でゲーム本編が含まれる支援をしていただけると、我々としても非常にありがたいですね。

──新規の方にはどのように遊んでほしいと考えているのですか?

広野氏:
アニメを見たことがなくても、「どこかで聞いたことがある曲」というのが『マクロス』にはいっぱいあるんですよね。たとえば、去年『マクロス』が『モンスト』とコラボしたときに、「あ、これは『マクロス』の楽曲なんだ」という声が『モンスト』ファンから出ていたらしいんです。

今回、『歌マクロス』をきっかけに作品に入ってもらって、好きな曲が増える形になればうれしいですね。

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──歌に特化しているゲームだからこそ、手軽に聴けて楽しめるわけですね。

広野氏:
「手軽に遊べる」という点にはすごくこだわっています。操作が苦手な方もいらっしゃると思うので、オートプレイも入れる予定です。ふつうに遊んでいただいてもいいですし、ライブ映像や演出を「観て」楽しんでいただければと。

──オリジナルから削っている要素はあるのですか?

広野氏:
運営型を買い切りとするにあたり、調整を加えているところはいろいろとあります。たとえば、期間限定イベントの衣装やプレートは残していますが、キャラクターどうしの会話などは一部実装が難しいものがありました。

クラファンのページに、「オリジナルのこの要素はあってこの要素の実装は見送っています」とすべて記していますので、そちらを見ていただければ、当時のファンの方にも今回の買い切り版の仕様が具体的にイメージいただけると思います。

サービス終了時に遊べていたコンテンツはなるべく入れていきたいと思っていますので、あえてガチャ要素は残しています。

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──買い切りなのにガチャの要素があるのですか?

広野氏:
フリー・トゥ・プレイのガチャって、演出も含め、皆さん楽しく回しているじゃないですか。課金は苦しいけど、ガチャそのものは楽しんでいると思うんです。本作ではもちろん課金はなしでガチャが回せます。「ガチャを回す楽しさ」を残しているというか。ゲームをプレイすることによって手に入るアイテムでガチャを回し、プレートが手に入る演出が楽しめます。何が出るのかはランダムになりますが、プレイを進めていけばいずれすべて揃う仕組みです。

プレート自体は最初からほぼすべて持っている状態なんですね。ただ、重ねるときにもう1枚必要となるので、重ねる分だけガチャで出してね、と。とはいえ、たくさん重ねる必要はない仕様に変更していますのでご安心を。とにかくベースの数が1,000枚以上と多いのですべて揃えるのはたいへんだとは思いますが、継続プレイのモチベーションにしていただければと思います。

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『マクロス』シリーズ45周年の年に迎える『歌マクロス』の復活

──『マクロス』シリーズの魅力はどのように捉えていますか?

広野氏:
コンテンツの魅力は、やはりメカ、歌、三角関係の3つの要素ですよね。あの仕組みを当時に生み出して、それが綺麗にまとまっている作品になっているというのは、神業としか思えません。

ただ、ユーザーとして見ている分にはすごく楽しいのですが、作るのはめちゃくちゃ大変なはずなんですよね(笑)。お話から作るべきなのか、音楽から先に作るべきなのか。おそらく同時にやっているのだとは思いますけど、要素の絶妙な組み合わせが『マクロス』の魅力なのかなと。

3つの要素それぞれのクオリティが高く、重なるとさらにおもしろさが増すというのは、さすがとしかいいようがないです。

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──ちなみに、広野さんが『マクロス』シリーズでいちばん好きな作品は?

広野氏:
『マクロス7』です。中学生という多感なタイミングで触れたというのもありますが、すごい衝撃でした。ひたすら歌だけで戦わないこだわりだったり、男らしさだったり。あの時期のアニメコンテンツは、めちゃくちゃ男らしいんですよね。信念を貫いている感じに強く惹かれました。楽曲も本当によくて、アニメ系サントラをちゃんと聴いたのが『マクロス7』です。いまだにカラオケで歌いますからね(笑)。

ほかには、『マクロスF』も好きですね。『イツワリノウタヒメ』『サヨナラノツバサ』はゲームだけでなくHybrid Packというビデオグラムの発売まで関わらせてもらいましたので思い入れもあります。

『マクロスプラス』【※】も、AI歌姫の話でこれも衝撃的でした。AI時代のいまだからこそ観てもらいたい作品というか。『マクロスF』の音楽も担当されていた菅野よう子さんが楽曲を手がけられていて、音楽もすばらしかったです。

※『マクロスプラス』……1994~1995年に発売されたオリジナルビデオアニメ。ふたりの天才パイロットとAIアイドルのプロデューサーの3人を中心に物語が展開する。

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──2027年に『マクロス』シリーズは45周年を迎えますから、歴史の厚みがすごいですよね。

広野氏:
『マクロス』シリーズ45周年のアニバーサリータイミングで『歌マクロス』が復活する。記念のタイミングで関わらせてもらえることは光栄に感じています。

じつは今年が『マクロスΔ』【※】10周年なんですね。『マクロス』30周年のときは『マクロス30』にも関わらせていただいて、歌姫オーディションをやったり、30周年としての新機体「YF-30」というバルキリーを登場させたり。

このYF-30はその後『マクロスΔ』の主力機VF-31にそのコンセプトが活かされたりしているんです。周年の節目に『マクロス』シリーズに関わらせていただいて光栄なことばかりですね。

※『マクロスΔ』……『マクロスデルタ』。2016年4~9月に放映されたテレビアニメ。5人組の戦術音楽ユニット”ワルキューレ”が登場する。

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──最後に、『歌マクロス』復活プロジェクトに期待されている方々へ、メッセージをお願いします。

広野氏:
『マクロス』を観たことがある、聞いたことがある、歌を聴いたことがある人たち皆さんに、ぜひ遊んでほしいと思っています。まずは動画を観るだけでもかまいません。『マクロス』の歌に興味を持っていただき、そこから『歌マクロス』をプレイしてもらえればうれしいです。

オリジナルの『歌マクロス』をプレイしていた方々には、今回、ようやく手元にずっと残しておいていただけることになりますので、ぜひあの当時の熱狂を思い出しつつ、クラウドファンディングにもご参加いただければ幸いです。

私はこれまで10年以上、フリー・トゥ・プレイのゲームをプロデュースしていましたが、サービス終了によって何も残らない形になるというのは昔から危惧していました。価値あるコンテンツは、何らかの形で残すべきなんですよね。その状況に対してのアンチテーゼというか、挑戦が今回の「『歌マクロス』復活プロジェクト」です。

『歌マクロス』は、『マクロス』の魅力を世界中の人たちに楽しんでいただける素敵な作品です。皆さんのご支援でクラウドファンディンを成功させ、よりよい作品にしていきますので、ぜひ応援をよろしくお願いします。『マクロス』シリーズ45周年を、いっしょに『歌マクロス』でお祝いしましょう。(了)

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©2026 BIGWEST
©2007 BIGWEST/MACROSS F PROJECT・MBS
Original Game ©DeNA Co.,Ltd.
Produced by AUGUST Inc.
Developed by xeen.inc

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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