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「米づくりがガチすぎる」で話題沸騰中の『天穂のサクナヒメ』が本当に本気だった。細部まで再現したお米作りを体験できる本作の稲作パートを紹介

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 同人ゲームサークル・えーでるわいすが開発し、マーベラスが11月12日から販売している『天穂のサクナヒメ』。“稲作アクションRPG”と銘打たれた本作には、「物語」、「アクション」、「登場人物」と並び「米づくり」というゲーム要素がある。その米づくりのあまりにガチすぎる内容から、いわく「農林水産省の公式ホームページが攻略wikiになる」など、発売当日からトレンド入りを果たし大きな注目を集め続けてきた。

 SNS上では本物の農家の人々が購入して話題に。Twitter上では「対人関係のいざこざがない農業ってこんなに楽しい」や「あまりにも原作再現をしすぎてゲームしているのに仕事をしている気分になる」などさまざまな反応がある。Amazonのレビューでは「周りの友人から攻略サイト代わりに使われ、連絡が頻発している」と書き込む人が登場。またまた全農の公式Twitterアカウントが稲作の解説冊子を本作に向けて紹介する事態となっている。

農具ライクRPG『サクナヒメ』がTwitterでトレンド入り。本格的な米作りが話題に、「農林水産省公式HPが攻略wiki」と注目集める

 「稲作へのわかりみ」で大きな話題となっている『天穂のサクナヒメ』。はたしてその稲作パートはどのような内容なのか紹介しよう。

文/コムラ
編集/ishigenn


神の娘がお米を作る。「田植え期」から作業工程は多数

 あらためて『天穂のサクナヒメ』について紹介しよう。主人公は武神と豊穣神の娘サクナヒメ。「家に込めを貢ぐだけで毎年のお役目がいただけるんじゃからぁ、まっこと高貴な血とは、楽なもんよ!」とのたまうようなエンジョイライフを送っていたが、人間を神の都へ侵入させてしまった上、神への貢物も台無しにしてしまい、罰として鬼が支配するのヒノエ島の調査に行くことになる。

 なんの因果化か、彼女は「楽なもんよ」と吐き捨てていたお米づくりをみずからすることになる。本作の米づくりは「ボタンを押して形式的にお米を作る」といったゲームデザインではなく、非常に細かい部分にまで気を配ることができるシステムが搭載されている。ゲームをプレイし始めると、その本気度をすぐに感じることとなる。

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 本作の稲作は、田植え期、育成期、収穫期に分けて構成されている。

 田植え期の最初の1年目は田植えをするだけでいいが、1年ごとに田起こし種籾選別育苗と少しずつやる工程が増えていく。まだ育成期、収穫期にも入っていない段階で、「田植えだけでこれほど多くのことをしなきゃいけないの?」というのがプレイしていたときの正直な感想だ。

 しかしお米をよりよく育てるためには必要な作業なので、稲の育ちが良くなり雑草が生えにくくなる田起こしや、低品質な種を取り除くことが出来る種籾選別などしっかりと行っていく。そして実際の田植えでは、育った苗を田んぼに植える。植えた苗の密度によって、稲の生育に関わってくるので気は抜けない。

待ち受ける「育成期」、肥料はただ増やせばいいもんではない

 育成期は、水やり、草むしり、肥料が存在する。水やりは水路を使って田んぼの水量と温度を管理する作業で、天気や稲の成長に合わせて管理していく必要があり、毎年同じようにはいかないので難しい。

 草むしりは田んぼに生えた雑草を取り除く作業。生えた雑草を抜けばいいだけではなく、生やさない努力も必要となる。

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 肥料は田んぼに養分を与えるため、堆肥を撒く作業だ。このパートに関しては、Twitterでも初回プレイ時の失敗あるあるが話題となっており、そちらを引用して紹介させてもらおう(参考ツイート)。

 本作ではただ単純に肥料を多数撒けばいいわけではない。肥料の三角形(三要素)を最大限にして雑草や虫や病気祭りになる「トライフォース農法」、防虫や防病や防草に効くからと塩をぶち込んで塩害まっしぐらの「カルタゴ農法」、植えられるからと冬に苗を植える愚行を犯すソ連式「ルイセンコ農法」。これらは実際にゲーム中で起きる可能性のある失敗例だ。

 筆者の米も肥料にある三要素を最大限にしていたせいで、いもち病や斑点米になどの病気になり、イネツトムシが湧いてしまった。

ようやく「収穫期」、米の出来を左右する脱穀

 そうして稲を悪戦苦闘しながら育ててようやく迎える収穫期は、稲刈り、稲架掛け、脱穀、籾摺りが存在する。読者の方はお気づきだろうが、収穫期になったからといって、お米が簡単に手に入るわけでない。お米が食べられるのはまだ先だ。

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 まずカマを使って稲を刈り取り、刈り取った稲を干す。雨が続いたときは仕方なく乾いていない稲を次の工程にまわすことになる。

 脱穀は収穫した稲の穂先から籾を外す工程。籾摺りは木臼などを使い、もみ殻を取り除き米にする工程。白米に近づくほど米の質は向上するが、食材にした時の栄養価下がるなど、ここでもお米に対する深い作り込みがうかがい知れる。

 とにかく多数のパラメータや要素が登場し、わけもわからないまま天候や気温に左右されながら奮闘して、サクナヒメようやくお米が食べられる。お米が完成しサクナヒメが成長し、キャラクターたちが白米を食べる姿を見れば、喜びもひとしおだろう。

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米づくりだけじゃない。稲作と探索アクションのマリアージュ

 なお稲作に注目される本作にはいわゆる回復アイテムが存在せず、食事の効果として付く自然治癒が体力を回復する手段となっている。そのため日々の食事や稲作に大事な肥料の元となるアイテムを集める探索アクションパートも重要となっている。

 SNS上で話題になっている稲作シミュレーターのみにフォーカスした作品ではなく、お米の質が上がればサクナヒメの能力が上がって探索で有利になり、探索でいいアイテムを見つければお米の品質に繋がるという、稲作と探索が互いに相関したシステムとなってゲームのよいテンポを生みだしている。

 その探索アクション自体も、羽衣による移動や敵の背後に回り込むのテンポのよさや、必殺技によるふき飛ばしで敵をまとめて倒す爽快感が気持ちいい。

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 実際に自分が食べているお米がどういう大変さで作られているのか、気軽に体験するだけではなく、ゲームとしても十分に楽しめる作品となっている。アクションと稲作にはそれぞれイージーの難易度が用意されているので、ゲームが苦手な人でも大丈夫だ。気になる方はプレイしてはいかがだろうか。

ライター
園児時代に押入れにあった神トラとFF4を遊んだことがきっかけでゲームにハマる。主にアクションゲーム、アドベンチャーゲーム、デジタルカードゲームを遊び、気に入ったゲームはトロコンまで遊ぶ派。思い出のゲームは『ロックマンエグゼシリーズ』『ぼくのなつやすみ2』『銃声とダイヤモンド』

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