Nintendo Switch、PlayStation 4版の米作りアクションRPG『天穂のサクナヒメ』が11月12日(木)に発売され、Twitterのトレンドに「サクナヒメ」のキーワードが登場した。本作は和風の世界設定を持つアクションゲームで、大変緻密な米作り描写がその話題の中心となっている。
実際にTwitterで「サクナヒメ」を検索すると、候補となるサジェストには「農林水産省」が出てくる。ユーザーの間では、『天穂のサクナヒメ』の米作りの攻略には農林水産省のページの「お米の作り方」(参考リンク)が攻略に使えるほどしっかりとしていると注目を集めている。
『天穂のサクナヒメ』は、稲を育てて主人公を強くする稲作シミュレーション&アクションRPGだ。プレイヤーは武神と豊穣神の娘サクナとして、鬼が支配する島を調査することになる。
農作ゲームは数あれど、稲作に絞ったゲームはほかにあまり見ない。それだけに、発売前からはたしてどのような稲作が楽しめるのか楽しみにしていた方も多いだろう。公式サイトで紹介されているように、ゲーム内では「田起こし」、「種籾選別」、「育苗」、「田植え」といった流れで稲作を進めていく。
そして実際に農林水産省の公式サイトでは、田起こし(参考リンク)や種籾選別(塩水選)(参考リンク)、現代的な稲作が始まる前の時代の害虫への対処法(参考リンク)など、ゲームの農耕描写の多くが解説されている。中には江戸時代、昭和、現在の稲作を解説するページ(参考リンク)もあり、ゲームの時代の稲作と比べるのにも役に立つだろう。
純和風のテーマで海外からも注目されており、海外メディアSiliconeraはゲームを開発する「えーでるわいす」のなる氏に米作りについてインタビューしている。
先日開催されたイベント「INDIE Live Expo Ⅱ」でも少し触れられたように、インタビューによると氏はゲーム開発のために農業協同組合(JA)が無料配布している稲作キットを手に入れ、バケツで稲を育ててみたのだという。インタビューのページには、種籾からご飯として食卓に上がるまでの写真も掲載されている。
現代農業についてはインターネットや国立図書館の学術論文から、稲の育ち方などを勉強。古い時代の稲作については農業大学や全国の歴史資料館を巡り、日本の伝統家屋を調べるために京都や古民家で有名な白川郷などを尋ねた。
そういった地道な調査が、『天穂のサクナヒメ』の現実の稲作が攻略本になるゲームプレイを生み出したのだろう。ゲームが発売されるまでには、ごはんソムリエで・森崎博之氏がゲームをプレイしたり、メガファームを経営する中森農産株式会社との対談が実現するなど、本作の開発をきっかけに他業種のプロと意見を交わすことで視野が広がったとなる氏は語っている。
ゲームをやれば稲作も学べる『天穂のサクナヒメ』は、現在PlayStation 4、Nintendo Switch、PC(Steam)で発売中。いつも食べているお米がどうやって作られているのか気になる方は、ゲームで学んでみてはいかがだろうか。
ライター/古嶋誉幸