「美少女とメカ」によるSF世界という黄金の組み合わせは、80年代に起きたアニメブームの頃から今に至るまで、決して過去のブームとして終わることなく、形を変えて新しい作品が生み出されている。
本稿で紹介する『有翼のフロイライン Wing of Darkness』もまた、その王道の組み合わせによって、オタク心をくすぐる美少女を主人公にしたSFシューティングゲームだ。
今回は本作を徹底プレイし、ゲームの魅力を伝えていきたいと思う。
文/風のイオナ
主人公である2人の美少女が織りなすストーリー展開
個人的に非常に惹きつけられる要素がある。冒頭で触れたことにつながるのだが、主人公が美少女2人という点である。
過去に2005年にグレフからリリースされた軍事系縦スクロールシューティング『アンダーディフィート』でも主人公が美少女2人だったし、更にさかのぼること1989年にジャレコからリリースされた『プラスアルファ』も主人公が美少女2人だった。2作とも筆者が大好きなゲームである。
その流れからの『有翼のフロイライン』における主人公、クラークとエーリカの2人。この設定に、筆者はゲームプレイ前から必要以上に感情移入してしまった。
ゲーム中のストーリー進行では2人のウマが合わないところから始まり、ミッションが進むに従って段々と打ち解けてくという流れも、お約束ながら微笑ましく思ってしまい、プレイしながらより本作に惹かれてしまう要因となっている。このあたり、共感してもらえそうな方は本作と相性が良いかもしれない。
シンプルな3Dシューティングが魅力。レトロゲーマーにこそ届け!
ゲームはシューティングパートとその前後に入るカットシーンパートの1セット が1つのミッションになっており、このミッションを攻略していくことでゲームが進行していく。ストーリーや世界観については公式サイトなどで確認してもらうとして、本稿で特に伝えたいことはシューティングパートのプレイ感だ。
今どきの現行機で遊ぶ3Dフライトシューティングというと、多数のボタンを使って操作方法をマスターすることで、初めてまともに楽しめる、というイメージがあるのではないだろうか。
特に筆者を含めて80年代の3Dシューティングに慣れ親しんだゲーマーにとって、そういうイメージが先行してしまうことで敬遠してしまう方が多いのではないだろうか。実際、筆者もいまだに『スペースハリアー』や『アフターバーナー』などのシンプルな3Dシューティングを令和になっても定期的にプレイしてしまうほど。
ついでに『スターブレード』や『ナイトストライカー』なんかもいいよな、という感じで完全にあの時代で止まってるプレイヤーの1人なのだが(もちろんそれ以降の3Dシューティングも定期的にプレイしてきてはいるが)、そんな層であっても『有翼のフロイライン』はとっつきやすくて遊びやすいゲームであると声を大にして言いたいのである。
移動方法と攻撃方法を覚えるだけ。複雑な操作は一切無しだ
まず、プレイヤーに求められる操作の解説だが「視点移動」、「高低移動」、「前方移動」の3種。
まずは高低移動と視点変更で敵をマークし、前方移動で敵に近づいて射程距離に入るという流れである。
レバーによる8方向移動だけで済むクラシックタイプのゲームと比べると手数は必要になるがプレイしていけば慣れると思う。ちなみに前方移動はブーストをかけて一気に敵に近づくことも可能だ。
続いて敵の攻撃方法。射程距離に入ったらロックオンボタンを押せば自動でロックオンしてくれる。あとはショットを撃ち込んで破壊すればOK、という寸法だ。
ショットは与ダメージの高いホーミングミサイルや連射が効くバルカン系のショットなどを切り替えて攻撃することが可能だ。ショットには全て残弾数があり、弾切れをしても時間で回復するようになっている。弾切れに注意しながら兵装を切り替え、効率よく攻撃していくことを覚えるとスムーズにミッション攻略ができるようになる。
これらの移動と攻撃の操作方法さえ覚えてしまえば、シューティングモードの基礎知識は覚えたも同然だ。後は接近してきた敵を破壊するか、こちらから敵に接近して破壊していくことを繰り返すことで攻略していける。ガンガン破壊の限りを尽くしていこう! ただし、ミッションによってはストーリーの演出上による、武器使用が不可になる制約などが発生することもある。
3Dシューティング魅力を再確認。プレイヤー層拡大を担う1作
ちなみに難易度は5種あるので、シューティングが苦手なプレイヤーは一番簡単な「予定調和」から初めて「イージー」「ノーマル」と挑戦していくのがいいだろう。ミッションはプロローグを除くと全6種。全ミッション攻略にはそれほど時間はかからないが、このあたりは低価格のタイトルということで体感的にはちょうどいいかもしれない。
それと一通りラストまでプレイし終えた後に思ったことなのだが、ビジュアルシーンを無くし、1ステージの時間数を短くして次々にステージが進んでいくアーケードモードのようなモードがあったら、遊んでみたかったなと思った。80年代のアーケードシーンを生きてきたゲーマーであれば同じ感想を持つかもしれない。
そして、7月にはパッチがリリースされ、主にシューティングパートのバランス調整が行われた。自機の耐久力や攻撃力に加えて、自機&敵機の発射する弾数や視認性に調整が入れられており、更にゲームが遊びやすくなったと言えそうだ。
ということで『有翼のフロイライン』を紹介してきたが、文中でも触れてきたように、今時の3Dシューティングについていけなくなった層に、特に遊んでほしい1作だ。逆にコアなプレイヤーには物足りないかもしれないが、シンプルな3Dシューティングの楽しさを味わえることはもちろん、それによって3Dシューティングのプレイヤー層拡大のチャンスを本作が担っている、そんな可能性を感じずにはいられないのだ。この思いを、筆者と同世代のゲーマーたちに届くことを願いたい。