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『ゲーム・オブ・スローンズ』をまったく知らない素人が、前日譚にあたる『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第1話を鑑賞して感じたことを正直に書いてみた

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 先日、東京・六本木ヒルズで行われた『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(原題:House of the Dragon)の日本最速プレミア試写会にご招待いただきました。

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 「なぜゲームメディアの電ファミが?」と思うかもしれませんが、じつは『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の原作者であるジョージ・R・R・マーティン氏『エルデンリング』の世界観の構築に携わっています。

 壮大なスケール感を映像化した『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は、『エルデンリング』のようなゲームが好きな人と相性がいいかもしれない。ということで、試写会に参加させていただきました。実際にゲーム業界の方々も多く参加されていたようです。

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 一方で私はひとつ大きな不安を抱えていました。
 なぜなら『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は、『ゲーム・オブ・スローンズ』(原題:Game of Thrones)の前日譚を描いた作品だからです。

 『ゲーム・オブ・スローンズ』といえば、本国アメリカでは8年間にわたり全8シーズン(全73話)で紡がれた壮大な物語。さまざまな登場人物の群像劇が描かれる大人気テレビドラマシリーズです。日本では2013年から放送が始まり、第6シーズンからは日米同時公開されました。

 知ったかぶって書いても苦しいだけなので白状すると、私は『ゲーム・オブ・スローンズ』を見たことがありません。しかしながら、私のように見るタイミングを逃してしまった人は意外と多いのではないでしょうか。海外ドラマはタイミングを逃すとどんどん話数が増えていきますからね。

 全73話の壮大な物語に興味はあるものの、いまから『ゲーム・オブ・スローンズ』を全話見て『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』に挑戦するのはなかなか大変です。

 そこで、思い切って前日譚にあたる『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』から見てしまおうと踏み切りました。本稿では、『ゲーム・オブ・スローンズ』をまったく知らない私が感じたことを正直に書いていこうと思います。

 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は最速配信となる米HBOでの放送と同時刻の8月22日よりU-NEXTにて日本独占配信中。

文/柳本マリエ
編集/ishigenn


ドラゴンを操るターガリエン家の衰退を招いた内戦を描く

 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は『ゲーム・オブ・スローンズ』から200年前を舞台に、ドラゴンを操るターガリエン家の後継者争いと衰退を招いた内戦「双竜の舞踏」が描かれています。

 といっても、先述のとおり私はターガリエン家についてなにも知りません。

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 物語はターガリエン家の後継者問題から始まります。
 4代目の王「ジェヘアリーズ・ターガリエン」の後継者が大評議会によって選出され、数ある候補者の中から「ヴィセーリス」「レイニス」の2名が残りました。

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 ヴィセーリスとレイニスは、どちらもジェヘアリーズ王の孫にあたります。しかしながら、最終的に王の座を得たのはヴィセーリスでした。なぜならヴィセーリスは男性で、レイニスは女性だったからです。

 王となったヴィセーリスの悩みは後継者がいないこと。
 第一子の「レイニラ」は女性で、以降は子どもを授かっても流産や死産を繰り返していました。

 そこで後継者として名前が出たのが、ヴィセーリス王の弟「デイモン」です。しかしデイモンは野心家で気性が荒く、一家の危険分子として扱われていました。

 ヴィセーリス王は自分の娘と弟を天秤にかけなければならず、さらに苦悩します。

 しかし、そこで黙っていないのはレイニスでした。なぜならレイニスは「女性である」という理由で従兄弟のヴィセーリスに王の座を奪われているからです。

 こうして、怒涛の固有名詞とともに『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の幕が開けました。

 この状況はだれも幸せにならないのでは……?
 第1話目にしてこじれる人間関係から目が離せません。前作の『ゲーム・オブ・スローンズ』ってどれほどの規模だったのでしょうか!?

 というわけでさっそく濃密な本作の世界設定を味わった私が、印象に残ったシーンを紹介していこうと思います。

禁断の愛を匂わせる展開から目が離せない

 まず驚いたのが、家族間で色っぽい雰囲気になっていること。王の弟であるデイモンが、王の娘であるレイニラに背後からネックレスをつけるシーンがあるのですが、叔父と姪にしては距離が近すぎる気がしました。

 レイニラの首の角度がやたら色っぽいんです。叔父の前で見せる角度ではないような。しかもそのあとデイモンも「綺麗だ」なんて言ったりして。
 ……私の考えすぎかもしれませんが、なんとなくいい雰囲気に見えました。
  
 デイモンは気性が荒いため、兄のヴィセーリス王や側近たちからあまりよく思われていない存在であるものの、レイニラだけは好意を持っている印象を受けます。

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 とはいえどちらかが後継者に選ばれてしまうと、そういった関係性も崩れてしまうのでしょうか。今後の展開に注目です。

 また、「アリセント」の行動にも目が離せません。アリセントはヴィセーリス王の側近「オットー」の娘であり、レイニラの親友です。

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アリセント(左)とレイニラ(右)

 ヴィセーリス王にとある悲劇が訪れたとき、オットーは自分の娘であるアリセントに “母親のドレスを着て” ヴィセーリス王を慰めに行くよう指示を出しました。

 そしてドレスアップしたアリセントはひとりでヴィセーリス王(親友の父親)の部屋に入っていきます。つまりそれって、男女の関係を持てということ……? だとしたら全方位にめちゃくちゃ気まずくないですか……?

 しかしながら、ドロドロした昼ドラが好きな私にとっては前のめりになってしまう展開です。やっぱり、恋愛話は背徳感があるほど盛り上がるじゃないですか。これは重厚な恋愛模様を予感させてくれます。

 このような人間相関図については順調に把握できたのですが、ひとつどうしても理解できないものがありました。それが、「鉄の玉座」です。

 なんとこの玉座、めちゃくちゃ剣が刺さっています。

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鉄の玉座に座るヴィセーリス王

 実際にヴィセーリス王が玉座に座って怪我をしていました。しかも、第1話だけで2回も。危ないです。どうしてこのような形状になったのでしょうか。

 この鉄の玉座について今後なにか語られることがあるのかは個人的に気になるポイントです。

壮大なスケールと重厚な人間ドラマ

 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は『ゲーム・オブ・スローンズ』を知らなくても、物語にきちんと入り込める作品だと思います。

 私は王妃の出産シーンがあまりにも壮絶で泣いてしまいました。死産や流産を繰り返しながら、後継者の男児を産まなければならない使命に苦しめられる姿と、それを娘として見守るレイニラの心境を考えると胸が痛みます。

 このようにターガリエン家の人間関係については主要登場人物がひとりひとり丁寧に描かれているため、状況を把握することができました。

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馬上槍試合は圧巻の迫力

 しかしながら、鉄の玉座やドラゴンとの関係性についてはまだ詳しく語られていないため、前作を知っていたほうがより楽しめるかもしれません。

 前作をあとで見るか、同時進行で見るか、いまからでも先に見るか、選べるところはよいですね。
 第1話でこれだけの壮大なスケールと重厚な人間ドラマが描かれる本シリーズに時間をかける価値はあると思いました。

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イシイジロウ氏からのコメント

 さて、ここまで前作『ゲーム・オブ・スローンズ』をまったく知らない視点でのレポートをお届けしてまいりましたが、やはり前作を見ている人の意見も気になりますよね。

 そこで今回、『428 〜封鎖された渋谷で〜』『タイムトラベラーズ』を手がけたことで知られるイシイジロウ氏からコメントをいただけたのでぜひご覧ください。

 100年の時を超える物語を紡ぎ成立させるのは奇跡だ。そこには慣れ親しんだ主人公はおらず、都市や歴史そして血統など冷たくて重苦しい要素で積み上がる物語は視聴者の感情移入を阻むからだ。
 「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」では「ゲーム・オブ・スローンズ」から200年を遡り、ドラゴンを駆るターガリエン家の全盛期が描かれる。本来なら設定も物語もリセットされてゼロからのスタートだ。

 しかし前作「ゲーム・オブ・スローンズ」8シリーズ全73話で積み上げられた世界は、すでに現実の様に定かで、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」の1シーン、1カットの全てで、その世界は鮮明に蘇ってくる。

 まるで実際にあった歴史書に描かれた事実の様に。「ゲーム・オブ・スローンズ」の世界観は名作「指輪物語」や「スター・ウォーズ」の様に拡がり語り継がれていくのだろう。
 僕の目には「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」第一話はそう予言しているように映った。


 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は8月22日からU-NEXTにて日本独占配信中。毎週1話、全10話を4K/Dolby Vision(ドルビービジョン)/DolbyAtmos(ドルビーアトモス)対応の超高画質・超高音質で視聴することができます。
 U-NEXTでは『ゲーム・オブ・スローンズ』全8シーズンも配信中なので、この機会に視聴してみてはいかがでしょうか。

© 2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.本ページの情報は2022年8月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

編集部
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちでレベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著「デブからの脱却」(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto
編集
ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

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