コントローラーって選択肢が多くないですか?漠然とした書き出しで記事をはじめてしまいましたが、事実として最近はサードパーティ含めて多種多様なコントローラーが発売されていますよね。
私自身は基本的に、PS4でいうDUALSHOCK 4やPS5でいうDualSenseといった、ゲーム機メーカー自身のコントローラーを買っておけば問題ないと考えているのですが……。
困りました。最近はどのメーカーさんも複数種類のコントローラーを発売しています。コントローラーはユーザーからしてみれば頻繁に買い替えるものでもないですし、最初に買ったきり使い続けることがほとんどだと思います。
そうなんです、ほぼ一回限りの購入になることの多いコントローラーは、選ぶのが難しいんです。普段PCでゲームを遊ぶ私ですが、PCゲームだけでも8種類のコントローラーを所有しています。特定のジャンル専用コントローラーなんてのも考えてしまってここまで増えたわけですね……。
そんななか私のもとに刺客がやってきました、それが「DualSense Edge」です。「そろそろ新しいコントローラーを買おうかな〜」と思っていたところ、ソニーさんから体験会にご招待いただきました。
ただ、このDualSense Edgeなんですが……ぶっちゃけ高いです。
価格は税込で2万9980円。さ、3万……!このポイントに関しては発表当時から個人的に引っかかっていました。
コントローラーはPCで言うところのマウスやキーボードのように手と接するものなので、下手したらどのゲームタイトルよりも付き合う時間が長いですよね。となるとやはりレビューするしかない……!ということでソニーさんにお邪魔します。
到着してからあらためて製品映像を見せていただき、ワクワク最高潮で体験会にのぞみます。体験会は複数回用意されていたのですが、幸いにも私たちの時間帯には他メディアさんがおらず、電ファミの独占状態……!
いくつかのゲームを体験させていただいたうえで、気になるポイントの質問や、肝心の製品写真の撮影もさせていただきました。
なお、取材時点で筆者は、PS5はおろか、PS5のコントローラーであるDualSenseを触った経験すらありませんでした。そのため「ハプティックフィードバック」や「アダプティブトリガー」といった、既にDualSenseに搭載されている機能に関しても感動している可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
文・写真/Squ
DualSenseと何が違うのか?
さて、ただ単にDualSens Edgeと書いてもあまり伝わらないのでは?と思うので……まずはDualSenseとDualSense Edgeの何が違うのかを見ていきましょう。この点は担当者の方に素直に自分がDualSenseを触ったことがないのを伝え、明確にポイントを押さえつつ体験してきました。
写真右側のDualSense Edgeは、写真左側のDualSenseと比べて黒色の割合が強くなっているほか、黒色パーツが光沢感のある素材に変更されているなど見た目での違いが顕著です。
しかし、形状に関してはスティック下部に搭載されている「Fnボタン(ファンクションボタン)」や、背面に搭載された拡張ボタン以外に大きな違いは見られません。
担当者の方によれば「新機能の追加によって重量に若干の差異はあるが、持った時の感覚はDualSenseと近くなるように設計されている」そうで、既存のDualSenseユーザーの乗り換えやすさにも気配りされているようです。
「ハプティックフィードバック」や「アダプティブトリガー」といった既存機能にもバッチリ対応しているとのこと。上記機能に対応したゲームについても試遊させていただきましたが、クルマのエンジンや、弓を引き絞るなどの感触が微細な振動で表現されていることが直に手に伝わってきました。
誤爆も減って遊びの質が段違い、使いやすさの化身「背面ボタン」
本製品の最大の魅力といえば、通常コントローラーよりも純粋なボタン数が増えているところでしょう。
背面ボタンは写真1枚目の「レバー」型と、写真2枚目の「ハーフドーム」型から選べます。筆者のイチ押しはハーフドーム型です。
私はゲームが白熱するとコントローラーを強く握りこむタイプの人間で、従来製品でも採用されているレバータイプの拡張ボタンは誤爆することが多く、あまり得意ではありませんでした。そのため個人の好みに応じて背面ボタンの選択肢が存在するというのはユーザーにとって嬉しいものでしょう。
ハーフドーム型は、ボタンに接触することなくコントローラーを握ることができ、指に力が入っても誤爆することはありませんでした。
そして、今ここで押さえておきたいおきたいのが「なぜ2種類なのか」というポイントです。
この2つのボタンの違い、それはゲームの遊びやすさです。なぜなら、どのボタンを使うかで指の初期位置(ホームポジション)が大きく変わるからです。
PS2やPSP時代に『モンスターハンター』シリーズをプレイしたことのある方は「モンハン持ち」というワードを聞いたことがあるかもしれませんが、タイトルによっては独特なコントローラーの持ち方が流行することってありましたよね。
あれは「左スティックで移動」しながら「十字キーで視点移動」をする必要があるからこそ生まれた「持ちやすい」プレイスタイルだったわけですが、この背面ボタンの存在はまさに「自分にとっての持ちやすさ」を実現する機能です。
ただし、100人がその持ち方をして100人が使いやすいと思うかはまた別の話。そのうえで全く形状の異なるボタンの採用だったのでしょう。
いろいろ試行錯誤しているうちに、左右違うタイプの背面ボタンを使用する形に落ち着きました。
「レバー」型は左スティックを押し込んでのダッシュなどの長時間の使用で純粋に指がつかれるタイプの操作を、「ハーフドーム型」では攻撃や回復などといった素早い判断が求められる動作を割り当てています。
会場で体験させていただいたアクションRPGの『ウォーロン』ではダッシュ用のスティック押し込みが無くなったことでスティックの入力に迷いがなくなったほか、バトルロワイヤル系FPSの『Apex Legends』でも、中指で回復ボタンを押せることで人差し指への負担が減りました。
そしてなによりも、これらの操作をしている間に「左スティックから指を離す必要がなかった」ことには触れておくべきでしょう。
特殊な持ち方をせずとも「モンハン持ち」と同じ効果が得られる。そう聞くとウズウズしてくる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
スティックの先っちょを変更、高さを変えたり形を変えたり
背面ボタンの次は、スティックに注目してみましょう。PlayStationシリーズの歴代コントローラーに目を向けてみると、PS4と同時に登場したDUALSHOCK 4から現在の淵の盛り上がったスティックになっていることに気づくと思います。
DualSenseでも同じタイプのスティックが採用されていますが、この形状だと小さな力でスティックを倒すことができるそうです。
しかし、コントローラーを強く握りこむ自分にとって、中央が隆起した淵付きスティックは指に対しての圧が強く、DUALSHOCK 2やDUALSHOCK 3といった単純なドーム型スティックにくらべて手の疲れが顕著でした。
そこで役に立つのがスティックキャップの交換機能です。スティックの頭の部分を掴んで上方向に力を入れると……。
取れちゃいました。簡単に取れないようになっているので、ちょっと強めにスポッと抜きます。
そして筆者が好きなドーム型をパチッとハメていきます。ドーム型は高さが2種類あるので、こちらも背面ボタン同様使いやすい方をチョイスしましょう。今回は左を「ハイドームスティック」、右を「ロードームスティック」に変更してみました。左が若干高くなっているのがわかると思います。
外したスティックはキャリーケースのスティック収納スペースに差し込んでおきましょう。収納スペースの穴は結構固めなので、運んでる途中にポロっと抜け落ちちゃうなんてことはなさそうです。
急な故障にも安心、超簡単に交換できるスティックモジュール
激しい操作が要求されるゲームの競技シーンでは、同じコントローラーを複数台所持しているプレイヤーも見受けられます。近年では「消耗品」のような立ち位置になってきているわけですね。
DualSense Edgeはプロシーンでの使用も想定されているようですが、高級品といっても差支えない値段設定も相まって、故障は大きな壁になるでしょう。
コントローラーの故障で一番大きいのはどこなのか考えると、案外答えは明白だったりします。インターネットで「コントローラー 故障」などで調べると、“スティックが勝手に動く”など「スティック」に関する問題が多いようです。
実際にソニーさんがプレイヤーに実施した調査でもスティックが故障することが多いという結果が出ているそうで…
スティックを丸ごと取り換えられるようになっちゃいました。
……ヤバくないですか?一般ユーザーが手軽に工具なしでパチパチやるだけで交換できちゃう時代になってしまったんですよ。
文字だけで書いても説得力がないので、実際にパチパチしている動画を撮ってもらいました。
動画では左右のモジュール同士を入れ替えているだけですが、モジュール単品が税込2680円で市販される予定とのこと。「スティックだけで3000円もするの?」と感じられる方もいるかもしれませんが、あくまで「予備」や「修理」としての利用法だと考えれば、費用対効果を考えれば申し分のない価格設定だと思います。
瞬時に設定を切り替えて、状況対応力を見せつけろ
さて、次は自分好みに設定したプロファイルを瞬時に切り替えられる「Fnボタン(ファンクションボタン)」についても注目してみましょう。
DualSens Edgeを見たとき、何かでっぱりを感じませんでしたか?そう、スティック下部で存在感を放っているのが、Fnボタンです。
Fnボタンを使用すると、専用のファンクションメニューが表示され……。
対応するボタンを押すことで、事前に設定したプロファイルを呼び出すことができます。既定のプロファイルを含めた合計4つのプロファイルを〇✕△□のボタンに割り当てることが可能となっています。
コントローラー自体は、スティックの入力しきい値(デッドゾーン)から、トリガーが反応する深さまで細かく調節可能なため、FPSなどのゲームで「武器ごとにプロファイルを使い分ける」などの利用法が紹介されていました。
同時に登録できるのが3つまでという制限があるものの、プロファイル自体はPS5本体に30個程度保存しておけるそうです。そのため、ゲームタイトルごとにプロファイルを分けておくなんて使い方も出来るかもしれません。
そして、このFnボタンではゲーム音量やチャットの音声バランスを調整したりすることが可能とのこと。ちょっとした便利さが詰まった夢のボタンといったところでしょうか。
競技シーンを意識した、その他のアクセサリーたち
DualSense Edgeには、先ほどまでに紹介した以外にも付属品が存在します。コントローラーやスティック、背面ボタンを収納できるキャリーケースがあるのは嬉しいですね。SIE純正ケースってだけでワクワクしちゃいます。
なかでも、私が勝手に「三種の神器」と呼称している、素晴らしすぎる付属品がこちらです。
・USB 編み込みケーブル(Type-C)
・コネクターカバー
・携帯用ケース
「コネクターカバー」はこんな感じの一見すると謎のパーツですが…
エントリーNo.1「USB 編み込みケーブル」とエントリーNo.2「コネクターカバー」を合体させてロックをかけると……。
全然抜けなくなります。ビックリするくらいガチガチに抜けません。
実は無線接続によるコントローラーの使用は、ケーブルがかさばらない便利さを備える半面、電波同士の干渉に弱いのです。とくにスマホやWi-Fiなどが普及している現代では電波の無い場所を探す方が難しく、大会会場などではゲームプレイに支障をきたしてしまうことも。
そのため有線接続での利用が出来るといいわけですが、昨今のUSB端子はかなり小さく耐久性に不安が残ってしまいます。それを解決するのが「コネクターカバー」というわけです。
こちらも動画を回していただきましたが、なかなかに強固です。担当者の方は「振り回しちゃっても大丈夫ですよ!」的なことをおっしゃっていましたが、抜けにくさ以外にもケーブルの根本を保護してくれるなんてこともあるかもしれません。(危ないので試しちゃダメですよ!)
そしてエントリーNo.3「携帯用ケース」。なんでただのケースを推すんだ?と思うかもしれません。普通であれば「ただのケース」なんですが……。
真ん中の意味深なくぼみ、気になりませんか……?実は答えはこの記事の中にすでに登場しています。
そう、「スティックモジュール」です。ハマります。
これはお世辞でもなんでもなく、最高です。純粋に考えて、遊びや大会で持ち歩いてるのに壊れて途中棄権…なんて誰だって嫌なはずなんです。
それが見てください。ケースにいっしょに入れておくだけで、会場や友人宅がSIEの修理工場に早変わり。パチパチするだけでスティックが治せてしまうわけですね。
そんなこんなで、このレビューもそろそろ…と行きたいところですが。
そうでした。三種の神器なんて言っていたのにケースが先ほどの2種と合体してません。合体できそうな場所はというと……。
後ろがはがれた……!
あっ……!
……そうなんです、ケースに入れたまま充電ができちゃうんです。出先で充電が必要な時に、かさばらずに充電可能なほか、自宅でもコントローラーが出しっぱなしにならなくて良さそうですね。
約3万円という価格設定は高すぎるのか?
正直、この「DualSense Edge」が発表された際に私は「コントローラーに3万なんて値段は出せない」と感じていました。ゲーム機が1台買えてしまいますからね。
おそらく現段階で発表されている情報を鑑みても、同じように感じられる読者の方もいるのではないかと思います。そのため、今回の記事で重要なポイントは「使いやすさ」と「値段に相応しい」製品なのか?というところになってくるでしょう。
ただ、今回の記事で紹介した
・既存コントローラーからの乗り換えやすさ
・個々人に合わせた「持ちやすさ」を作り出せる
・交換可能なスティックモジュールによるコストパフォーマンスの向上
・ケースに入れたままの充電
といった要素は、とくに長期的な利用をすることを想定されたコントローラーであるからこそ存在しているのであり、3万円という価格に見合ったものだと感じています。
私自身体験している際に、本気で買おうか一生考えていたくらいなので「全然アリ」だと考えています。もし、今回のレビューを見て気になった方は購入を検討してみてもいいかもしれません。