2月11日は『ゼノギアス』が発売された日だ。
PlayStation用ソフト『ゼノギアス』は、1998年2月11日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売された。この当時のスクウェアからは『ファイナルファンタジーVII』をはじめ、『サガ フロンティア』『フロントミッションセカンド』『チョコボの不思議なダンジョン』など、今なお愛される人気シリーズの系譜に連なるRPG作品が、約1年の間に次々とリリースされている。そんななか、完全オリジナルの新作RPGとして発売された『ゼノギアス』は、やや異彩を放っていたと言えるだろう。
『ゼノギアス』はいわゆるファンタジーではなく、巨大メカが活躍するSFストーリーとなっている点も特徴的だ。キャラクターたちは「ギア」と呼ばれる人型兵器に搭乗して、戦闘を行ったりダンジョンを探索したりできる。ギア同士が戦うだけでなく、ときには生身の人間とギアが戦うことも。さらに、ギア同士で対決する「バトリング」と呼ばれるミニゲームも用意されている。
本作のバトルは、3種類の攻撃ボタンを押す順番の組み合わせで必殺技が変化する。背景やギアが3Dポリゴンで表現されているのに対して、キャラクターは2Dのドット絵で描かれており、格闘ゲームのような動きで必殺技を繰り出す姿を楽しめる。
『ゼノギアス』の物語は、主人公フェイがある事件によって辺境の村を旅立つところから始まる。彼が帝国の特務部隊に所属するエリィと出会い、やがてストーリーは意外な方向へと進展する。過去の記憶を失っているフェイ自身に隠された秘密はもとより、物語を通じてこの世界を巡る壮大な真実が紐解かれていく。
SFやロボットアニメへのオマージュに加えて、神話や心理学、生物学、哲学などの要素がふんだんに盛り込まれた本作の物語は、独特な用語が頻出するだけでなく伏線が緻密に張り巡らされており、複雑で難解な印象を受ける人もいるかもしれない。だが、それらを読み解いてキャラクターや作品世界のことを深く知るにつれ、その奥行きの深さに圧倒されていく。それこそが、本作が発売から20年以上を経た今もなお、熱心なファンに愛されている理由でもある。
ちなみに物語後半となるディスク2に移ってからは、ノベルゲームのように文章が主体のゲーム進行になってしまう。こうした特異なスタイルすらも、本作の密度の濃さをより強烈に印象づけることにつながっている。
本作の監督・脚本を担当した髙橋哲哉氏は、スクウェア退社後にモノリスソフトを立ち上げて、『ゼノサーガ』や『ゼノブレイド』といったシリーズを手がけている。これらの作品はタイトルに「ゼノ」とついているものの、本作と直接的な世界観のつながりはない。
『ゼノギアス』は初代PlayStation以外では、「ゲームアーカイブス」としてPSP/PS Vita/PS3向けにダウンロード配信が行われただけで、2024年現在はプレイするのにややハードルの高いタイトルとなっている。今なお熱心なファンの多い作品だけに、手軽にプレイできるようになることを期待したい。