3月14日は『ブシドーブレード』が発売された日だ。
初代PlayStation用ソフト『ブシドーブレード』は、1997年3月14日にスクウェア(現 スクウェア・エニックス)より発売された。打刀やナギナタ、レイピア、金槌といった刀剣を使って1対1の攻防を繰り広げる、いわゆる「武器格闘」と呼ばれるタイプの3D対戦格闘ゲームだ。
『ブシドーブレード』の最大の特徴は体力ゲージが存在せず、相手の急所に大ダメージを与えると「一撃必殺」となり、その時点で即勝負がつくところにある。また、体の各部にダメージを受けるとその部位の機能が低下し、動きが鈍くなったり武器が持てなくなったりといったことが起こる。
キャラクターは360度自由に移動できるフリーランニングとなっており、走りながら相手を斬りつけるといったことも可能。さらに、一人称視点でプレイできるモードも用意されており、2台の初代PSを通信ケーブルで接続することで、一人称視点で対戦することもできる。
『ブシドーブレード』をもうひとつ特徴づけているのは、タイトルにもある「武士道」の概念だ。ストーリーモード限定だが、本作ではプレイヤーが武士道に反する行動で相手を倒すと、バッドエンドになってしまう。対戦前に相手がセリフをしゃべっている最中に斬りつけたり、相手が段差を上り下りしている最中に攻撃したりするのは、卑怯な行動とみなされてしまう。
対戦前の無防備な状態で長ゼリフをしゃべる相手に、ついつい刀を振るってしまいそうになる衝動を抑えこむことが、武士道にとっては重要……なのかもしれない。
ここまでの説明からも分かるとおり、『ブシドーブレード』はかなりクセの強いゲームであり、発売当時から賛否両論があるタイトルだ。たしかにキャラクター間のバランスはあまり良くないし、フリーランを使って逃げに徹するといったプレイも起こり得るため、万人が楽しめる対戦ツールとしては機能しづらいだろう。
だが一方で、「一撃必殺」というシビアなルールが醸し出す独特の緊張感は、本作だけで堪能できる唯一無二のものであり、本作に慣れたプレイヤー同士だと白熱した攻防が楽しめる。また、現代日本の片隅でひっそりと、同じ道場の元仲間たちが命がけの闘いを繰り広げているという世界観も味わい深い。
3D格闘ゲームの黎明期のタイトルだけに先駆的すぎる面も多いが、それだけに他にない魅力が詰まっているゲームだと言えるだろう。
本作の発売から約1年後の1998年には、続編の『ブシドーブレード弐』が初代PlayStationでリリースされている。『弐』では新たな流派が登場して2つの道場が対決するという構図になり、操作可能なキャラが大幅に増えたほか、ゲームモードもより多彩になるなどボリュームアップされている。
『ブシドーブレード』『ブシドーブレード弐』はいずれも、初代PlayStation以外ではゲームアーカイブスとしてPSP/PS Vita/PS3でダウンロード配信されたのみであり、2024年現在ではプレイするのがやや難しいタイトルとなっている。とはいえ前述の通り、唯一無二の魅力を持つ作品だけに、機会があればぜひ、本作ならではの緊張感を味わってみてほしい。