ホラーはお好き?
そう聞かれたら僕は、いやまあ普通だよ、と答える。
家にある小説の3割がスティーブン・キングだったりするし、机の上には『ストレンジャー・シングス』のデカいデモゴルゴンフィギュアが鎮座していたりするけれど、それくらいはいたって平均的な、どこのご家庭でもみかける風景だろう。
それはそれとして、僕はいま京都に来ている。【※1】
7月19日から開催されている日本最大級のインディーズゲームの祭典、「ビットサミット」の取材のためだ。ここには世界中から低予算少人数で作られたインディーゲームが集まってくるわけだが、どいつもこいつもどこか尖ったイロモノ揃いで、ある種の情熱と、狂気のるつぼと化している。
それにしても、夏の京都は暑い……
まとわりつくような暑さ、という言葉があるが、まさにその通りだ。ここは地獄の蒸し風呂。よほどの用がない限りは、絶対に夏に来てはいけない。
なのだが今回は、もう来てしまった。来てしまったのだから、仕方がない。
こうなったらどうにかして、体を冷やさねばなるまい……そう、ホラーゲームでだ!
というわけで今回は、現地を歩いていた時にふと目に留まったインディーホラーゲーム『Haunted Streamer』の試遊レポートをお届けしていこう。
【※1】京都に来ていると書いたが、正確には生まれてからずっと京都住まいなので、単に地元から覗きにきているだけである。
見た目は怖いけど怖くない、でもちょっぴり怖いホラー。「馬マスク」の配信初心者として幽霊屋敷を歩き回る
『Haunted Streamer』は、馬の頭をかぶった配信者となって、不気味な廃屋を生配信しながら回るホラーアドベンチャーゲームだ。
ゲームは、いかにもという感じの「何か出そうな」廃屋に到着するところから始まる。主人公は今回が初配信で、近所なのでとりあえず来てみたという感じらしい。
馬「みてよ!この良い感じの廃屋~~!」
ストリーマーあるあるだが、なんというか主人公のテンションの軽さは少々鼻につく感じだ。でも17年くらい前のストリーマーとしての自分を思い出すと、あんまりいろいろは言えない。
とりあえず、中に入ってみよう。
人魂デカすぎんだろ。
家に入ってさっそく最初の心霊現象に遭遇。
いわゆるチュートリアルなわけだが、ああなるほど、察した。
「あ、これギャグだ」
その後も繋がってない電話は鳴るし、扉からいきなり手は出てくるし、ソファに人影が見えたりする。出るわ出るわ心霊現象のオンパレード。しかもどれもこれも、妙に大仰だ。
画に雰囲気があるので身構えていたけど、これはただのホラーじゃない。ホラーコメディのノリだ。
でもとりあえずリスナーは喜んでいるし、投げ銭ももらえているのでヨシとする。
と思ってたら、たまにマジで怖い瞬間もある。
とくに音に関するものは、ヤバい。
見えているものは半分ギャグ方向に足を突っ込んでいるから、B級ホラー映画を見ているくらいの気持ちでいられるけれど、音には瞬間的に何かわからない怖さがある。
そしてなんだかんだでゲームの絵面自体は完全にホラーのそれなので、不意に背後で何かが鳴ったりすると、本気で背筋が凍るのだ。
アアーッ、やっぱり普通にホラーじゃないか!
そんなこんなで10分ほど廃屋を巡ったあと、気になる謎を残しながらも試遊は終了となった。
また、本作はいわゆるウォーキングシミュレーターっぽい雰囲気に見えるかもしれない。しかし、心霊現象を見続けると主人公は頭痛を感じ、徐々にそれがひどくなっていくという仕様があり、ゲームにおける「体力」の要素も入った作品になっているとのこと。探索を無尽蔵にできるわけではなさそうだ。
本作はアルファ版を完成させたところで、これからユーザーフィードバックなどを取り入れた検証を進めつつ、要素の追加をしていく予定。完成版では今回の廃屋を含めた4つのステージを回れるようにし、このほか配信中に得た投げ銭で主人公のアップグレードを行うといった要素の追加も計画しているとのことだ。
『Haunted Streamer』は、2024年12月のリリースを目指して現在開発中。最新情報は開発チームであるPrank Makerの公式Xアカウントより随時発信中だ。