「自分の思考が現実にピタリと一致する瞬間」というのは、めちゃくちゃ気持ちいい。
と言っても、テストでヤマカン張ったら大当たりした!みたいなことではなく、厳密でロジカルな思考演算の結果、それまでは机上の空論でしかなかったものが、にわかに実体をもって現実にハマってしまう……つまり、「狙い通り!」な瞬間だ。
そうしたロジカルな気持ちよさを存分に味わえるのが、現在開発が進められている新作ゲーム『Net.Attack()』だ。ごく簡単に言ってしまうと、知識ゼロでも遊べるプログラムのコーディングをテーマにしたタイトルだ。
今回、9月26日から行われている東京ゲームショウ2024で本作を試遊することが出来たので、その内容についてぜひご紹介させてください。筆者も全然知らなかったんですが、プログラミングって、実はハマるとめっちゃ気持ちいいみたいです。
プログラミングでビルドするヴァンサバライク
『Net.Attack()』はドイツに拠点を置くスタジオ、ByteRockers’ Gamesが開発を進めているタイトルだ。
いわゆる「ヴァンサバ」ライクのゲームであり、プレイヤーはキャラクター化されたウイルスを操り、押し寄せる敵をしのぎながらフィールドのあちこちにあるデータを集め、自身のウイルスをどんどん強力にしていく……というのが基本的な流れ。
そんな本作の大きな特徴は、ウイルスを成長させていくためのビルドのシステムに、「ノード」をベースにしたプログラミングの仕組みを持っていることだ。
本作の「ノード」とはウイルスの行動を指定するためのプログラミングコードのことで、ゲームではこれを組み合わせることで、ウイルスに多種多様な強化を与えられるようになっている。
ゲームはデータ集め(戦闘)とコーディング(強化)のパートに分かれており、一定のデータを集めることで戦闘から離脱し、集めたデータをコストとして消費することでウイルスを強化するための新たな「ノード」を獲得できるようになっている。
戦闘パートの操作は基本的に上下左右の移動のみと非常にシンプル。フィールド内のあちこちに散らばった黄色いチップを探し出し、ウイルスがその上に一定時間乗っていることができると「データ」が得られる。
本作における「データ」はウイルスを強化するためのコストになるもので、チップが大きければ大きいほど得られるデータも多いが、取得までにかかる時間も長い。
もちろん、ヴァンサバライクらしく四方八方から大量の敵が押し寄せてくるため、同じ場所に留まり続けるのは危険だ。そのためにウイルスの攻撃を強化して敵を素早く倒せるようにしていく必要があるのだが、本作の攻撃は基本的に全て自動。そしてその内容は、コーディングパートで行う「ノード」の配置によって決まるのだ。
例えば下の画面では3つのノードが並んでいるが、それぞれ左から「定期的に実行」「繰り返し実行(3回)」「近くの敵を攻撃」という意味になっている。これらを組み合わせることで、実践では「近くの敵を定期的に3回攻撃する」という命令として実行される。
自分自身でコードを書く必要がないため、プログラミングの専門的な知識が全く無くても様々な処理をウイルスに命じることができ、例えば「攻撃がヒットしたら範囲攻撃を発動」「複数の攻撃を同時並行で行う」「一体に当たったら近くの敵にも追加攻撃」などなど。組み合わせ次第でまさしく無限に等しい可能性があるのだ。
ただしなんでもできる分、「どんなノードをどのように配置すれば求める結果が起こるのか」をロジカルに考える思考力は非常に重要になる。
ノードはそれぞれ「入力」と「出力」を持っており、複数のノードを適切に連結させることでより強力な攻撃の指示を出すことができる一方、組み方によっては全く攻撃が出なくなってしまうような自体もありえるからだ。
そのため基本的には普段からコードを書くのに慣れている人のほうがプレイしやすいだろうが、前述の通り全く知識がなくても問題はない。ノードにカーソルを合わせればどのような効果なのかはちゃんと説明が出るし、ウイルスの挙動は「デバッグ」ボタンでいつでも確認できるようになっている。
試行錯誤を乗り越えて自分の思い描いた通りにウイルスが動いた瞬間は、正直めちゃくちゃ気持ちいい。プログラマーの人たち、いままでこんなに楽しいことをやってたんですか!?
さらに、倒した敵が落としたアイテムを拾うことで得られる経験値が貯まると、ノードによる強化とは別のランダムなアップグレードも選択できる。これらを組み合わせていけば、作られるビルドはまさしく無限大と言っていいだろう。
TGS2024の試遊版では難易度の異なる3つステージと、それぞれに大きく性能が異なる5体のキャラを選択して遊ぶことができる。
ステージやキャラクター数については、今後開発を進めていく中でさらに追加されていくという。また既に開設されているSteamストアページ上では日本語非対応となっているが、プレイできる体験版は翻訳されており、今後も日本語の対応は続けていくとのことだった。
なお、本作の開発を行っているByteRockers’ Gamesのブースは幕張メッセのホール7, 07-NO2番で展示されている。気になった方はぜひ一度プレイしてみてはいかがだろうか。