カードゲームをやっている時って、どうしようもない感情の昂りを感じることがありますよね。手札の運やカードの効果で笑ったり、泣いたり、怒ったり……カードゲームのプレイヤー達はそんな風に、真剣勝負の中で一喜一憂し、感情豊かなプレイを楽しんでいます。
そう、感情豊かに。
2025年6月17日、デジタルカードゲーム『シャドウバース』の新作『シャドウバース ワールズビヨンド』がリリースされました。
僕は普段カードゲームをあまりやってこなかったのですが、上記のリリースがたまたまカードゲームがやりたくなるアドレナリンの分泌と重なったため、いきり立ってマウスの左クリックを駆使しながらインストール。それからというものの、ほぼ毎日遊んでいます。『シャドバ』楽しいですね。
初めて遊んでみた『シャドバ』は、強いカード、可愛いカード、ズル、格好良いカード、ズル、などなど遊ぶだけではなく鑑賞するだけでも楽しいゲームでした。
PPカーブ良くカードを出せれば、にこにこ。相手のズルカードが場に置かれれば、ぷんぷん。そんな感じで元気に遊んでいます。
しかし、個人的には「にこにこぷん」といったテレビ番組にありそうな割合で事が進んでほしいのですが、自分が覚えている中では、「ぷんぷんぷん、にこぷんぷん」といった33拍子くらいになっています。どうにも「ぷんぷん」が多い気がしてなりません。
これは数値にするとどうなっているんだろうか。そう考えたら気になって残念だけど止まらないとなったため、自分がプレイしている最中に「何にぷんぷん」しているのかを調べてみたいなと思いました。
ということを先日、超優秀な電ファミニコゲーマー編集部担当の方と打ち合わせで雑談のように話したところ、「それを記事にしましょう」というまさかの返答が返ってきました。こんなトンチキな企画を許してくれる編集部の方には頭が上がりません。本当にこの部署大丈夫なんでしょうか。
なお、今回の記事は1プレイヤーが何に感情を動かされたかを記録したものです。僕はカードゲームが得意でないプレイヤーなので「そんなことに?」と思われるかもしれませんが、ご容赦ください。また、感情はあくまでプレイ中の感想であって、ゲームやカードに本気で悪感情を抱いている訳ではございません。『シャドバ』自体は楽しいので好きです。
ということで以下「『シャドバ』をやっているときは何にどれくらいぷんぷんしているのか」検証結果をお届けします。
検証の概要
今回の検証方法は対戦中に感じた喜怒哀楽をカウントしていくというものです。まず、測定期間中の対戦は全部録画。そしてゲーム画面の横に電卓を4つ縦に並べ、「=」を押すことで加算されていく状態にしておきます。
また、それぞれがどの値かをサクラエディタで改行しながら「喜怒哀楽」と書いて2m先からでも分かるように視認性を良くします。
測定期間は第3弾の拡張パックが来る前にしたかったため、2025年8月25日〜2025年8月27日としました。対戦数は100戦。それだけあれば十分だろうというか、それ以上感情の起伏が起こると自分の体調に異常をきたしかねないので100戦にしました。
喜怒哀楽の判定は以下のような、この記事以外ではまるで役に立たないざっくりとした僕の感情を基準にしています。
喜 勝ち確定、トップ勝ち
怒 手札事故、出されたカード
哀 相手の事故、その場で分かるミスプレイ
楽 なんか楽しい、激震のゴリアテかキャラバンマンモスが場に出る
湧いた感情の大小は関係なく、何か感じた気がしたときに加算するだけです。1PPから動けたときも、相手のズルカードに蹂躙されたときも同じ1です。
また、今回使用したデッキは以下のものになります。いわゆるアグロナイトメアですね。
せっかくなので、開催中だったグランプリとランクマッチに潜って100戦やってきました。途中休憩をはさみながらだったのですが、100戦は思ったよりも多い数値だったなと思います。休みなくやっている人たちは凄いなーと思いました。
では、100戦プレイの内容を細かくお伝えするのも冗長なので、早速検証結果を見ていきましょう。
「怒299」というキレすぎな検証結果
ケルベロスちゃん、喜怒哀楽の感情と共にモリモリと対戦をして検証が終わりました。以下が各クラスとの対戦数です。
対戦クラスの結果
総試合数:120
ロイヤル:45
ウィッチ:26
ナイトメア:19
ネメシス:14
ビショップ:10
ドラゴン:5
エルフ:1
総試合数が120なのは感情が昂りすぎて連コしまくったためです。いつの間にか20戦多く対戦していました。
こう見ると、ロイヤルとの対戦が断トツで多かったですね。3位のナイトメアと2倍近い数値です。ウィッチもやはり多く、環境という神秘的な2文字が腕組みながらこっちを見ているのが窺えます。
では、お待ちかねの喜怒哀楽カウンターを見ていきましょう
怒が多い。あまりにも多すぎる。120戦で299回も怒の感情が昂っている。平均1試合に2.49回、怒の感情が昂ったらしい。これはもはや怒の感情が快感となってゲームをやっているとしか思えない。いざ数値化してみると中々に内なる化け物を感じます。
そもそも喜と楽って何が違うんだろうか。ナイトメアも旧作のヴァンパイアとネクロマンサーが合わさったらしいし、喜と楽の感情を合わせてしまって良いんじゃないか。それなら喜65+楽30合わせて喜楽は95。怒299の足元にも及ばねえ。3倍って界王拳かよ。
そうは言っても検証なので出てきてしまったものは仕方がありません。ゲーム中、僕の感情がろくなものじゃないことが分かっただけですが、当初の目的である「何にぷんぷん」なのかをまとめました。
結果、「怒」の感情を感じた回数は手札事故などが38回とトップ。また、カード単体で言えば「王断の天宮・スタチウム」と「サイレントスナイパー・ワルツ」がともに30回以上と圧倒的な存在感を放っています。
いっぽう、出されると楽しいカード「激震のゴリアテ」は1回のみと寂しい結果に。念を押しておきたいのですが、『シャドバ』自体は楽しいゲームです。本当に。
ロイヤルとウィッチは対戦数が多いというものありますが、この2クラスが怒の感情が昂ったカード枚数2トップでした。
対戦中も怒の感情が昂ることが多いなと薄々感じていたのですが、出してみるとそりゃ平均2.49回も怒の感情が昂るわと納得してしまいました。僕の顔はリコピン2.49倍のトマトのようになっていたことでしょう。
怒の感情を昂らせたカードたち
楽しくゲームで遊んでいたはずなのに、なぜ僕はこんなに怒っているのか。数値だけ見ても仕方ないので、結果を詳しく見ていきます。
まず前提としてこのデータですが、使用しているデッキが長期戦に弱く、手札事故が起きやすいというアグロナイトメアだったために、他のデッキだと気にならないようなカードでも怒の感情が昂っていた可能性があります。個人の感情なのであまり当てにはなりませんが。
また、初期手札やマリガンでの事故、ディスティニードローが魅惑のサキュバス・リリムだったみたいな、モノクロで見たリンゴと梨の違いくらい些細なものでも手札事故としてカウントしていることも怒カウンターの優勢に貢献しているかもしれません。それにしたって喜+楽の3倍は多すぎですが。
では、上記の表に登場する、僕の感情を昂らせてくれたカードたちを紹介しましょう。

カード部門の栄えある1位は「王断の天宮・スタチウム」さん。進化時に「ナイト」2枚を自分の場に出し、自分の場の他のフォロワーすべては+1/+1するという分かりやすく強い効果。
絡め手もなく正統派で、真っ当に強いカードでした。進化後が可愛いのがまた憎い。このデッキで対抗するにはいくつかの条件が必要なのですが、スタチウムを処理した次のターンにスタチウムかルミナスメイジが出てくるとお手上げです。
また、これらに対処しているターンはダメージを与えられないことが多く、そうこうしているうちに後続のカードたちに蹂躙されました。ずっとお面被っててほしい。
(画像は『シャドウバース ワールズビヨンド』公式サイトより)
自分でも意外だったのですが、2位は「サイレントスナイパー・ワルツ」さんでした。場に出た時に相手の場のフォロワー1枚を選び、5ダメージを与えるという強烈な除去力に加え、エンハンスで潜伏も獲得できるというまさにスナイパーなカードです。
よく思い出してみると、こちらのエースカード2PPの「ナイトメア・ヴェリィ」さんを3ダメージくらいながら出したのに返しのターンで処理されたうえで2/1が並ぶことに怒の感情が昂っていました。
ならば縦に強いカードじゃなくて横に並べていこうと思えばランダム2枚に1ダメージを与える「トリガーメイド・セリエ」さんの射撃精度に蹂躙されます。この二人はロアナプラでも平気な顔していそう。

3位はウィッチのスペル「ストームブラスト」。使用したスペルカード毎にダメージが増えていくという面白い仕組みですが、何故かダメージ初期値が2と高く序盤のカードは大体吹き飛ばされます。
こちらのエースカード2PPの「ナイトメア・ヴェリィ」さんやエースカード3PPの「ブラストウィング・ピユラ」さんがやられてしまいました。大いなる力には大いなる責任を伴わせてほしい。

カードの可愛さは間違いなくトップクラスの「マナリアフレンズ・アン&グレア」さんですが、僕の怒りの感情の昂らせ方もトップクラスで4位でした。
運よくストームブラストを掻い潜って場を展開したのに、ちょっと殴りたいから殴らせろと言わんばかりに、こちらの3枚を消し炭にしてきます。これにはかなりやられました。
返しのターンも効果によって召喚される5/5の守護持ち「アンの大英霊」がハッサンの如く「におうだち」していてダメージに繋げることができず、相手の有利をとられてしまう展開が多かったです。可愛ければ何でも許されると思わないでほしい。
そのほか、印象的だったカードは以下の4枚です。
- アダマントアルケミスト・ノーマン
- 理光の証明
アグロデッキの宿命ですが、回復はやはりきつい。この2枚は回復量も多く中盤以降のこちらのスタミナ切れを狙われました。対戦後の詳細を見ると、与えたダメージが20〜だったりして秩序の無い現代にドロップキックな気持ちでした。
- 勇猛のルミナスランサー
- ミリタリードッグ
これも意外だったのですが、対戦中は怒の感情が昂っていたらしいです。
1枚で高めな総スタッツ、盤面処理もできるというところが、僕の粗末なプレイングに刺さったみたいです。ミリタリードッグ可愛いよね。
では、どうして以上のように怒の感情が昂ってしまったのかを考えてみます。
どうして怒の感情が昂ったのか
こうして色々と書いていたら、全体的なゲームの流れにおいてどのような点が僕にダメージを与えていたのかを思い出してきました。まず第一に、
- 召喚酔いがあるゲームで盤面を有利にしてダメージを出すことが思ったより大変だった
ことが挙げられます。そのうえで、倒されるだけでなくそのまま場を展開されたり回復で無かったことにされるのはきついと感じました。当たり前ですが、カードゲームにおいて盤面のコントロールは最優先事項であることを身をもって経験しましたね。
また、
- 進化ができる辺りのターンで、強いカードの差が分かってしまう。対処の労力に差を感じる
ということもありました。相手の1枚に対して2枚以上のカードを使って対処していたのでは、やはりジリ貧になってしまいますね。それを数ターン続けてやるとなると、手札がなくなるのとカードをドラッグして操作する手間の多さに差が出て負けることが分かってしまいます。
主な原因はこの辺りかなと思っています。しかし個人的に面白かったのは、対戦数の差があるにしてもロイヤルとウィッチ以外にはあまり感情が昂らなかったことです。これに関しても何故だろうと色々と考えました。恐らくですが、
- 相手のカードに対してこちらのカードパワー、労力が同じくらい(だと思っている)
- 自分も使っているので、何が強くて何に弱いか多少分かる
ということが理由だったんじゃないかと思います。つまり、自分が使っているクラス相手だと冷静になれて、使っていないクラスほど怒りを覚えやすいということです。
もしこの理屈が当たっているなら全クラスを使ってみると極めて冷静にゲームができるのかもしれませんね。

検証を終えて──対戦ゲームにおける感情との付き合い方
この検証で、上記のような具体的な事柄以外にも色々と自分の中で思ったことがありました。まず第一に、感情は連鎖するということです。
ある感情が昂ると続けて昂りやすくなるので、楽の感情が昂ると一生楽しい。逆に怒の感情の昂りは紛れもない負の連鎖を生みます。対戦ゲームを楽しくプレイするには感情のコントロールが必要不可欠ですね。
また、感情が昂った後は休憩をはさむとある程度リセットされるということも学べました。アンガーマネジメントの6秒待てなんてのは遠い祖先を猿とする僕には無理だったので、試合が終わったら一旦ゲームを閉じて別のことをしました。
ボーっとしていると思い出してしまうので違うことに集中すれば、よほど根に持つタイプでもない限りある程度は解消されると思います。
さらに、場合によっては感情に慣れてしまうということも起きます。これが自分の中で一番困ったことなのですが、勝ったときに出るであろう喜の感情を当たり前に思ってしまうと、喜を感じることができません。
そのくせ怒の感情は受けてしまうので、相殺されず怒が蓄積されてしまいました。常に90度傾いているシーソーに乗っているようなものです。これは意識することで改善できるなら改善してみたいですね。
さて、検証中はブチギレ……じゃなくて感情が昂りながらゲームをしていましたが、振り返ってみると自分でも意外だった結果やその後の整理はとても楽しかったです。ゲームのプレイで楽しめるのも勿論ですが、このような検証や振り返りでも楽しめると1つで2倍楽しめるのでお得ですね。
『シャドウバース ワールズビヨンド』はiOS、Android、Steam、Epic Games Storeにて配信中。誰でも楽しめるスーパー楽しいゲームなので、皆さんも感情を昂らせながら是非やってみてください。
