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理不尽な死が次々と訪れる世界で、あえて食の醍醐味を求める。ついにPlayStation 5版が発売されるFPS「ストーカー2:ハート・オブ・チョルノービリ」で地獄の新生活を始めよう

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なぜ、今までリリースされていなかったのか?
『ストーカー2:ハートオブチョルノービリ』(S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl)PlayStation 5版が11月20日に発売されると聞いて、マジでそう思った。

本作は、チョルノービリ(旧名:チェルノブイリ)原子力発電所の爆発事故で汚染された、危険な立入禁止区域「ゾーン」を舞台にした、サバイバルオープンワールドFPS。プレイヤーは放射能汚染やミュータント、敵対勢力が跋扈する広大なゾーンを探索するのだが、この世界がもうとにかくヤバい。

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異常な物理現象で宙を舞う車や、目玉が飛び出たクリーチャーとの命がけの鬼ごっこをしながら、なぜか高値で取引される変な石(アーティファクト)を拾い集めるのである。いくら原発事故が起こったからとはいえ、そんなことってあるの……?

いや、そんな風に冷静に考えたらダメだ。
「放射能? ミュータント? 変な物理現象? 全部まとめてかかってこい!」というノリで受け入れれば、極限のサバイバル生活を、このうえなくエンジョイできるのだ。頭のネジがブッ飛んだコアなFPSゲーマーに向けて、全力でオススメしたい作品である。
そんな本作のPS5版が、ついに発売されるのだ。

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本稿では、これからゾーンで新生活を迎えるみなさんへ、食事をテーマにしたプレイレポをお届けしよう。
有意義な攻略法も序盤の稼ぎ方も出てこない、指南書としてはまったく役に立たないだろうが、本作ならではの過酷な世界観を感じ取ってもらえれば幸いだ。

文/澤田アツシ
編集/kawasaki

※この記事は『ストーカー2:ハート・オブ・チョルノービリ』の魅力をもっと広めたいセガさんと電ファミのタイアップ企画です

突然死が当たり前の世界で、ただただ食料を求めてクーポンを漁る

本作の難度は、もはや狂気と言っていいレベルだ。敵が強いとか弾薬が少ないとか、そういう次元の話ではない。というのも「アノマリー」と呼ばれる超常現象が頻発していて、この世界そのものがプレイヤーを全力で殺りにくるのである。

あっちで、突然、竜巻に巻き込まれて、死亡。
こっちで、いきなり地面から噴出した業火に焼かれて、死亡。
そっちで、なぜか凄まじい重力に吸い寄せられて、死亡。

装備も揃っていないゲーム序盤は、もう当たり前のように死ぬ。

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このゲームのプレイヤーは繰り返し死にながら、次第に自問自答し始める。
なぜ、こんな理不尽に死にまくっているのに、いまだにコントローラーを握り続けているのだろう?

それは他でもない。この世界における貨幣の「クーポン」をゲットするためだ。

ゾーンでのクーポン稼ぎは、アノマリーを避け、ミュータントの群れを潜り抜け、危険な残骸からわずかなガラクタ(ジャンク品)を回収して、拠点のトレーダーに売りつけるという命がけの作業だ。そう、このクーポンの裏には、筆者の血と放射能が染み込んでいるのである。

この血みどろのクーポンで購入すべきものは、普通なら命を守るためのAKM-74、グレネード、5.56弾といった武器弾薬だろう。これらの武器がなければ戦えないので、普通はこれを買う。普通は。

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しかし、筆者はあえてその常識に異を唱えたい。
だってクーポンと聞いて我々が思い浮かべるのは、お米券や肉の優待券ではないか。筆者はこの汗と涙の結晶を、新鮮な野菜(もちろんない)や本日のお買い得品(もちろんない)に使いたいのだ。

そこで今回のゲームプレイでは、稼いだクーポンのすべてを食料品につぎ込むことに。このクソみたいな世界で、敵を出し抜き、裏をかき、血で血を洗う骨肉の争いの末に手に入れたクーポンは、あの旨そうなメシとなって筆者の腹のなかに収まるべきなのだ!

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ゾーンでは、どうしてこんなに腹が減るんだろう

このゲーム内では、現実世界の100分ほどで1日が経過する。
つまりゲーム内の1時間=現実世界の4分余りだ。
パンを食べてもリアルで10〜15分くらい経過したら、もうハラペコなのである。

つまり、このゲームプレイヤーは、常に食料探しに奔走することになる。

だが、ここは慈悲無きゾーンである。コンビニはもちろん、手軽に腹を満たせる手段などそうそうない。

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ちなみに、空腹状態が続いても飢え死にはしないが、飢餓状態となる。
こうなるとスタミナの自動回復が絶望的に遅くなり、いざというときにダッシュもジャンプもできない。戦闘すなわち死、である。

しかも空腹状態で敵に見つかると、逃げることすら難しい。たとえ隠れたとしても、お腹が「グゥ〜」と鳴って、敵に居場所を知らせてしまうからだ。
だからゾーンでは、戦う前に食う。これが生きるための鉄則だ。

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そんなわけで、新規でゲームを始めた筆者は、初期装備のままでマップを開き、食料がありそうな場所に目星を付ける。廃屋や朽ちた工場、薄暗い廃坑などを探し、現実ならゴミ箱行きであろうカビの生えかかったご飯を食べる。

ちょっと高度な残飯漁りのような気もするが、なぜか、この妙なサバイバル感にワクワクしてしまう。

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地獄のゾーンで生きるためのグルメ旅

この世界で何をするかはプレイヤーの自由だ。
しかし今回の筆者のプレイ目的は、メインストーリーの攻略でも、約64平方キロメートルある広大な世界の冒険でもなく、グルメ旅である。
朝起きてパンをかじったら、死と隣り合わせのゾーンへ、何の肉で作られているか分からないソーセージを探しに行く。

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武器を手に取り弾薬をマガジンに詰める。
荷物は食料をはじめ救急キット、止血用の包帯、放射能を中和する(らしい)ウォッカ。
もっと色々と持っていきたいが、戦利品を持ち帰らねばならないため、必要最低限にせねばならない。

ゾーンの活動においては睡眠、出血、放射能など、さまざまなことに気を配る必要がある。どれも放置すれば死に直結するものばかりだ。そのうえ上述のアノマリーもある。
そうやって突然死の洗礼を受けながらも、少しずつゾーンの流儀を身につけ、一人前のストーカーへと成長していく。

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雨音に紛れて敵の喉をかききる最中も、放射能を検知するガイガーカウンターがガリガリと鳴っている最中も、筆者の頭にあるのは、いかにして食料を確保するかだ。

満身創痍で拠点に戻り、血と汗で獲得したとっておきの缶詰で腹を満たす。
この瞬間こそ、本作の醍醐味である。
これはただの食事ではない。生きる実感を味わっているのだ。

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食事中の様子をよく見ると、食材ごとに専用のアニメーションが用意されていて、なかなか芸が細かい。しかも、これがもう、心底旨そうに食べるのだ。

見るからに質素な食事で、缶詰に入っているのは肉なのか魚なのか、それすらわからない。
しかし筆者には、まるで「天空の城ラピュタ」のパズーとシータが食べていたパンと目玉焼きのような、特別な食事に思える。

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サバイバルを超えて「生活」へ

このゾーンには各地に、特別な力を秘めた石のアーティファクトが点在している。これを装備するとキャラクターが強化されるレアアイテムだ。

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今回のプレイ中、筆者は偶然これを見つけてしまった。
売却価格を確認したところ、武器や装備品が数百クーポンの世界で、3000クーポン以上であった。これまで缶詰1個を見つけるのにあれほど苦労したのに、アーティファクトをたった1個拾うだけで豪遊できるのである。

ここで筆者は気づいてしまった。
ゾーンで落ちているものを拾って、売ったり食ったりするだけで、案外生きていけるのでは? やっぱり俺は正しかった!

そうやって筆者はあっちこっちを徘徊しながら、ゾーンライフを存分に満喫していた。

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だがゾーンでは、持ち運べない大事なものがひとつだけある。
それが「ベッド」だ。

多くのサバイバル系のゲームと違い、この世界では寝袋やテントで野営ができない。
たとえどんなに遠くまで行けても、安全な場所で眠るためには、必ず拠点に戻らねばならないのだ。

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このシステムは、プレイヤーの意識を変えざるを得ないと感じた。

危険を乗り越えて、帰るべき場所がある。この場所が生活の中心となることで、私たちはゾーンを彷徨う「ならず者」ではなく、ここに暮らす「住民」へと変化するのだ。

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そう考えると、ゲームの面白さと直接関係のない食事のアニメーションに、なぜ開発陣はこだわったのかにも合点がいく。筆者はゲームを攻略しているつもりで、いつの間にかゾーンに暮らすようになっていたのだ。

突然死しても、ひもじい思いをしても、それでもなぜか胸が躍る。
あの奇妙なワクワク感は、新しい生活を始めるときのそれと同じなのかもしれない。

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何度死んでも、次こそが最高の瞬間だと期待してしまう

本作は本当に死にまくる。序盤は特にそうだ。
だが『ストーカー2』は、何度死んでも面白さが失われない。
何度死んでも、次のプレイが1番面白いのでは? そんな期待をさせてくれるのだ。

今回のPS5版の発売で、ゾーンの住人が一気に増えることを願ってやまない。だって食事は1人で食べるよりも、焚火を囲んで「仲間(みんな)」と噛みしめた方が、より旨く感じるものなのだから。

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ライター
フリーランス物書き。面白そうなことはとりあえずやってみる系ライター。趣味は子どもと遊ぶこと。子どもと一緒にゲームやって、ドーナツ食べて、バカみたいに笑うのが生きがい。コミュニティFM局「TOKYO854くるめラ」でパーソナリティーもしています。普段は塾講師。
Twitter:@Ashy256

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