舞台は、水没した奇妙な水族館。しかも、主人公は“ゼリー化”した不思議な女の子。
『リクイッド・アビス』は、彼女が世界の秘密を暴いていくアドベンチャーゲームです。
世界は暗く深い深淵に包まれているのに、どこか美しい。幻想的な海の世界が眼前に広がっていきます。
ということで今回は、筆者の心にグッときた『リクイッド・アビス』の魅力をご紹介していきましょう。
暗闇の「水没した水族館」で幻想的な風景に包まれる
本作は、気になる場所をポイント&クリックで調べながら探索を進めていくアドベンチャーゲームです。ゲームを起動してすぐ、「ここから、出さないで…」という意味深なテキストとともに、不思議な丸が浮かんだ空間が現れます。
ここはどこなのか、自分は何者なのか。なにもわからない。
唯一動かせるのは、画面上のカーソルだけ。
ポイント&クリックのアドベンチャーゲームらしい、あちこちをとにかくクリックしてみる「手探りのプレイ」でマップのギミックを解き明かしていくことで、閉ざされた世界がすこしずつ、さまざまな姿を見せてくれるようになります。
しばらく画面上の気泡をクリックしていると、私はイカの姿に進化したようです。
……と思ったら、大きな魚に食べられて次のステージへ突入。
まだなにがなんだか掴めていませんが、新たなマップには暗闇のなかで光り輝くクラゲが生息しているようです。
暗い海に浮かび上がる、連鎖する光の輪。その周囲をピンクや紫、白といった光のクラゲたちが、ふわふわと浮かんでいます。ピクセルアートだからなのか、水族館という舞台だからなのか。どこかノスタルジックな深淵の風景は、思わず息を呑むほど美しい。
プレイヤーは光の世界へと静かに足を踏み入れ、とあるギミックの解明に挑戦します。
ギミックを解き明かして進んだ次のステージは、水族館のエントランス。青白いネオンのような光に包まれた、これまでとは違う人工的な空間。
そこには、クラゲのような“ナニカ”がいました。

……な、なんだ???
ゆる〜いキャラと終末感が混ざる、しずかで安らかでちょっと不気味な世界
エントランスで出会った謎の存在の名は、「メルトン」。ぷかぷかと漂いながら、ぼんやりとこの世界のことを教えてくれるクラゲ?のようです。
彼が教えてくれたのは、
・ここは水没してしまった水族館であること
・主人公(私)はゼリー化した少女であること
・そして、私自身も、この世界も「溶け続けている」ということ
文字にすると恐ろしく不気味な世界ですが、彼の気の抜けた語り口やふわふわと漂う姿のせいか、不思議と恐怖は感じません。なんならかわいさすら感じます。
さらに探索を進めていくと、クラゲ?の「メルトン」に続いて、今度はアナゴが登場。彼もなんだかマイペースで、ぽつりとギミックのヒントを教えてくれます。かわいい。

私は、こんな世界に住みたい。本作の試遊は、思わずそう感じてしまうほどの、唯一無二の静かな体験でした。
本作ではこのキャラクターたちのゆるさと、「溶け続けている」世界の終末感が絶妙に混ざり合っています。
水族館に漂ううっすらとした不気味さを、チャーミングな彼らの存在がやさしく中和している──このゆるく美しい世界観こそが、プレイヤーを不思議な安らぎへと導いてくれるのです。
今回の試遊で遊べたのは、まだまだ序盤です。『リクイッド・アビス』はPC(Steam)にて年内リリース予定。製品版でまだまだ続く、彼女の溶けゆく探索の先を見届けるのが楽しみです。


