「え、もうコレでよくね?」
Valveが開発中の新型PCゲーム機「Steam Machine」を触っていて、思わずそんな声が漏れた。
インテリアとしても馴染みやすいビルドクオリティの高さ、ソフトウェアによる拡張性、そしてAAAタイトルもバッチコーイな本体性能。あらゆる面で高バランスのつよつよゲーミングデバイスと言わざるを得ない。正直ナメていた。
Steam Machineは、PCゲームの販売および配信を行うプラットフォーム「Steam」の運営会社Valveが開発中の製品だ(記事執筆時点で、価格は未発表となっている)。
既に携帯可能なゲーム機としてValveが展開中の「Steam Deck」と比較して、実に“6倍以上ものパワー”を持つとされているこのSteam Machine。実際に幾つかのタイトルを遊んでみて、そのパワフルさに大いに納得させられた。
「ゲーミングPC、もうこれで良いじゃん」というのが、記事執筆時点での筆者の偽らざる本音である。とはいえ、「よくね?」だけで記事を終わらせるわけにもいかない。ということで、世を忍んでひっそりと筆者の自宅に届けられたSteam Machineを、早速使ってみた。
本稿では、製品の外観やサイズ感、そして実際の使用感にいたるまで、Steam Machineを触ってみてわかった「ゲーミングPCもうこれで良いじゃん感」の正体について、お届けしていきたい。なお記事後半には、開発チームとの質疑応答も掲載しているので、ぜひ最後までお読みいただきたい。
見た目はただの黒い箱。中身はゲーマーの夢が詰まった宝箱
Steam Machineの性能や使い勝手の話をするまえに、まずはその外見や佇まいについて触れておきたい。

見てほしい、この無駄がないシンプルな造形美を。そこに装飾なんてものは一切なく、見ようによってはただの黒い立方体でしかない。もはや箱。だが、ただの箱ではない。中にはもちろんゲーマーの夢が詰まっている。
- 正面
- 背面
無骨過ぎるというか、あまりにミニマル。
あらゆる無駄を削ぎ落とし、ただSteamのゲームを遊ぶためだけに特化したかのような黒い箱には、もはや美しさすら感じる。この中にCPUやらGPUやらメモリやら電源やらがギュギュッと詰め込まれているワケだ。
俗に“ゲーミング”と名の付くハードウェアと言えば、七色に光るLEDが象徴するような「ディテールを目立たせる製品」が多いなか、このSteam Machineのスタンスはまったく逆を行っている。
だが、それは決してSteam Machineの欠点ではない。むしろ、「リビングに溶け込むデザイン」という偉大な強みの現れではないだろうか。
そのデザイン以上に筆者を驚かせたのは、Steam Machineのサイズ感である。届いた箱を開け、およそ15cmの黒い立方体を段ボールから取り上げたときの衝撃たるや。
「あれ、こんなに小さいの!?」と、素直に驚くほかなかった。
本体サイズは高さ152mm、奥行き162.4mm、幅156mm、重量は2.6kg。本体サイズが小さいために実際に持ち上げてみるとズッシリ質量を感じるが、AAAのゲームを遊べる据え置きのゲーム機と考えたら全然軽い。
サイズについて言えば、「Steam Controller」と並べてみることで、Steam Machineのコンパクトさ加減が分かっていただけると思う。

写真ではコントローラーを自立させる関係で、やや奥に傾いてしまっているのだが、大まかな大きさはイメージしていただけるのではないだろうか。
身近なもので例えるなら、感覚的にはスーパーで売っているメロンほどの大きさだろう。


そんなSteam Machineだが、本体のフロントパネルはマグネットによって取り付けられており、簡単に取り外すことができる。つまり、ユーザー側で自由にパネルの付け替えが可能な仕様になっている。
本稿執筆にあたっては、2種類の交換用フロントパネルを借り受けることができた。本体に取り付けてある標準のフロントパネルはプラスチック製のものなのだが、借りた交換用の2種類については、なんとそれぞれが異素材となっていた。

一つは革製品の裏面を起毛させたスエード調の質感に近い肌触りのパネルだ。きめ細かいスポンジの表面を触っているかのようでもある。そしてもう一つが木材マテリアルのフロントパネル。Steam Machineに取り付けてみると、それだけで一層高級感が高まる。落ち着いた見た目で、筆者的には非常に好みだ。


このようにパネルをたった1枚交換するだけで、本体の雰囲気はガラリと変わる。
“リビングに溶け込むデザイン”というのは、Steam Machineのシンプルな造形美だけを言い表すのではなく、パネル交換によってどのご家庭のどんなリビングにも、自然と馴染むことができる汎用性の高さにある。
いわゆる“ゲーミング感”がまったくないので、部屋の景観を損ねる心配も少なく、「意気揚々と購入したゲーマーが家族に激詰めされる」ような悲しい出来事も未然に防ぐことができるだろう。
記事執筆時点では、実際にどのようなデザインのフロントパネルがラインアップされるのかは不明だが、パネルの構造自体は非常に簡素な作りであるため、あえて自作するユーザーが出てくるのは明白だ。
たとえば本革製のパネルとか、アクリル製のスケルトンパネルとか、推しをプリントした痛パネルなんかを思い付く。ほかにもインディーゲームイベントの記念ノベルティとして、オリジナルデザインのフロントパネルをプレゼントしちゃう〜なんて妄想もしてしまった。
「リビングに溶け込む」どころか、もしかするとSteam Machineのドレスアップには無限の可能性が秘められているかもしれない。






