最初にこれだけは言わせてほしい。前回を、完全に超えてきた……!
昨年末、筆者の心をまるごと盗んでいった「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート」。その再演となる今回の公演は、ただの“1more”では終わらなかった。会場の規模も大きくなり、楽曲もセットリストも、そして映像演出までもが進化していたのだ。
「Butterfly Kiss」や「I believe」のアレンジに、中盤を彩った『ペルソナ5X』からの楽曲群……筆舌に尽くしがたいゴージャスさであふれており、筆者は最初から最後まで、息をするのも忘れるほど没頭してしまった。
そもそも本公演は、2024年に「Last Surprise」のカバーでグラミー賞にノミネートされた演奏家チャーリー・ローゼン氏の指揮のもと、『ペルソナ5』の楽曲をジャズ風にアレンジして届けるビッグバンドコンサートだ。
前回もその完成度に心を奪われた筆者だったが、今回はスケールも演出も一段とパワーアップし、“わかってる”どころではない領域に到達していた。会場全体がひとつになって盛り上がるあの一体感は、まさに“ロイヤル”。気づけば筆者の魂(ペルソナ)は、最後まで震えっぱなしだった。
本稿では、『ペルソナ』シリーズ好きの筆者が、6月30日からパシフィコ横浜 国立大ホールで開催されていた「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート」をレポートする。
ちなみに、筆者は過去にもさまざまな『ペルソナ』ライブのレポート記事を書いているので、興味があればあわせてチェックしてみてほしい。
開幕から本気。お馴染みの「Wake Up, Get Up, Get Out There」「Butterfly Kiss」で早くも会場が沸騰
奥村春(ノワール)が担当した前回と異なり、今回は新島真(クイーン)のアナウンスが会場に流れ、オンタイムとともに突如として演奏がスタートした。
1曲目は前回と同様、『ペルソナ5』のオープニング曲「Wake Up, Get Up, Get Out There」。前奏とともにステージの後ろからLynさんが登壇し、会場は大盛り上がり。開幕早々のスタンディングオベーションが巻き起こった。
だが、曲は同じでも、体験は同じではない。前回よりも明らかに、音の厚みが増している。Lynさんが一言目を発した瞬間、会場の空気が一気に切り替わるのがわかった。
会場の規模が大きくなったことで音圧そのものも増しており、筆者は開幕数秒で全身が震え上がった。
なかでも筆者が思わず「おっ」と声をあげてしまったのが、5曲目の「Butterfly Kiss」だ。前回も披露された楽曲ではあるが、今回はアレンジがブラッシュアップされており、生演奏ならではのグルーヴがさらに増していた。同じ曲でも、聞くたびに新しい発見がある——これぞ生演奏の醍醐味だろう。
突然だが、筆者は『ペルソナ5』の戦闘に一切飽きないタイプのプレイヤーだった。理由は単純で、「Last Surprise」や「Rivers In The Desert」が流れるだけでテンションが跳ね上がるからだ。雑魚戦だろうと、BGM目当てにわざわざエンカウントを重ねていたほどである。
それほどまでに、この作品の音楽は筆者の身体に染み込んでいる。その染み込んだ旋律が、今まさに極上のジャズとなって鼓膜を震わせているのだから、平常心でいられるはずがない。
これだよこれ……! 『P5X』も“3学期”も網羅した、あまりに“ロイヤル”なセトリ
休憩をはさみ後半戦がスタートすると、さらに“わかっている”選曲で畳みかけてきた。
今回のコンサートでは先ごろ1周年を迎えたばかりの『ペルソナ5: The Phantom X』からも楽曲をアレンジ。初めに流れたのはオープニング曲でお馴染みの「Ambitions and Visions」だ。
まさか本公演で披露されるとは思っておらず、イントロが流れた瞬間、思わず筆者は前のめりになってしまった。ビッグバンドのアレンジで聞く『P5X』楽曲は、原曲の疾走感を保ちつつも、生演奏ならではの熱量が宿っていて、ファンにとってはたまらないひと時だった。
なにせ、演奏の合間にはチャーリー・ローゼン氏のトークコーナーが挟まれ、バンドメンバーの面々が「『P5X』も好きだ」と語っていたのだ。コンサートの担い手たちが本当にこのシリーズを愛しているのが伝わってきて、なんだか胸が温かくなった。そう、筆者も『P5X』が大好きなのである。
同じ作品を愛する者同士、ステージと客席の距離が一気に縮まったような感覚だった。
そしてもうひとつ、筆者が「うわ、そこまでやるのか……!」と唸ったのが、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』の3学期を彩った楽曲「Gentle Madman」だ。原作の“あの展開”を知っているファンなら、このメロディが流れただけで胸に込み上げるものがあるはず。
ナンバリングだけでなく、『ロイヤル』や『P5X』まで含めて『ペルソナ5』という作品の“全部”を拾い上げてくれる。この徹底ぶりこそ、まさに“ロイヤル”と呼ぶべき網羅っぷりだった。
痒いところに手が届くどころか、掻いてほしい場所を先回りして掻いてくれる。そんな「これだよこれ……!」の連続に、筆者はただただ首を縦に振り続けるほかなかった。
「I believe」からの「Last Surprise」。魂(ペルソナ)が震えたクライマックス
そして、いよいよ終盤。「Colors Flying High」や「Layer Cake」といった筆者の好きな楽曲が次々と流れ、そして最後に「Take Over」が高らかに響きわたって、演奏は終了した。
Lynさんとチャーリー・ローゼン氏がステージ上で挨拶を交わし、奏者たちが一礼してステージ裏へと下がっていく。まさに、コンサートが幕を閉じる——そんな空気が会場を包んだ、その瞬間。
「1more!」
どこからともなく、あの言葉が響いた。そう、前回のアンコールを知る筆者は、内心ニヤリとしていた。「そう来るよね。わかってる、わかってるとも」と。すぐに意を察した観客の手拍子が加速しながら会場を包み込み、いったん下がった奏者たちが再びステージへと戻ってくる。何度味わっても、たまらない。なんとオシャレなアンコールだろうか。
正直に言えば、筆者はここでも“予想”していた。「前回と同じ流れなら、きっと『星と僕らと』だろう」と。——ところが、だ
流れてきたのは、「I believe」
え、そっち……!?
いい意味で、完全に裏切られた。前回と同じ流れをなぞると思わせておいて、最後の最後で予想を上回ってくる。Lynさんの伸びやかな歌声を浴びた瞬間、ゲームの思い出が蘇り筆者の目頭は一気に熱くなった。
そんな「I believe」の余韻を優しく断ち切るように叩き込まれたのが「Last Surprise」だ。もはや、語るまでもない。
会場のボルテージは一気に最高潮へと振り切れ、筆者も気づけば拳を突き上げていた。手拍子のしすぎで手が真っ赤になるのも構わず、隣の誰かと、そして会場の全員と、心をひとつにして最高の瞬間を分かち合う。
この曲を、この規模で、この一体感のなかで浴びられる幸福たるや。筆者の魂(ペルソナ)は、たしかにあのとき、震えていた。
そしてなにより、この最高の空間を、会場の全員と分かち合えたこと。それがたまらなく幸せだった。ここにいる誰もが『ペルソナ5』を愛し、同じ旋律に胸を震わせている。そう考えると、感慨深くて、また目頭が熱くなった。
こうして、体感ではあっという間の、それでいて濃密すぎる時間が幕を閉じたのだった。
最高だった……。やっぱりまた、「1more」したいです。
前回を超える気満々で臨んできた「ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート」は、その宣言どおり、あらゆる面で筆者の予想を上回っていった。熱に浮かされるように帰路を歩きながら、筆者はふと思った。この会場にいる全員が、きっと『ペルソナ5』に人生のどこかを救われた“ペルソナ使い”なのだと。
同じ音楽に胸を震わせ、同じ瞬間に涙をしたこの一体感こそ、このコンサートの何よりの魅力だったのだと思う。
最高のコンサートを、ありがとうございました。
▼セットリスト
ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド・コンサート 2026 セットリスト
0. Overture
1. Wake Up, Get Up, Get Out There
2. Life Will Change
3. Phantom
4. Butterfly Kiss
5. Tokyo Daylight
6. 全ての人の魂の詩(Aria of the Soul)
7. Beneath the Mask
8. Will Power
9. Ambitions and Visions(from P5X)
10. Rivers In the Desert
11. Colors Flying High
12. Tokyo Emergency
13. Break it Down
14. Layer Cake
15. No More What Ifs
16. Gentle Madman
17. The Whims of Fate
18. Take Overアンコール
19. I believe
20. Last Surprise









