ガンダムゲームとしてあまりに「異例」すぎる──。
これが、『GUNDAM ROGUE ORBIT』(ガンダム ローグオービット)の先行プレイから得た率直な感想だった。
というのも、本作にはガンダム作品のセオリーに縛られない「異質な点」が多々あったのだ。長年のガンダムシリーズファンほど「えっ、そんなんアリなの????」と思うかもしれない。
ガンダムシリーズは、1979年以降の『機動戦士ガンダム』からそろそろ50年に達する巨大な作品群だ。かっこいいモビルスーツはもちろん、戦争を巡る重厚な人間ドラマなどなど、魅力は語り尽くせない。
アニメを起点にゲーム、書籍、映画などなど、とてもじゃないけど1個ずつ数えられないくらいのコンテンツが世に出ている。
そんなガンダムのゲームが「完全新規のタイトル」としてリリースされる。この立て付けからして異例である。基本的にガンダムのゲームはスピンオフを含め、下敷きとなる作品ありきでリリースされてきた歴史があるからだ。
異例なのはそれだけではない。じつはガンダム作品がこれまでずっと守ってきた領域がある。それは、「敵は対話できる存在だった」ということだ。
これを前提にして、本作『ガンダム ローグオービット』の敵である「アポカリプス」を見てほしい。
どう見てもモンスターである。明らかなクリーチャーである。殺意しか感じない地球外生命体である。対話? できるわけがない。
じゃあ、そんなアポカリプスに対して、本作の主人公機「ガンダムヘリックス」はどう戦うのか。
定石で考えれば、大火力の遠距離兵装だろう。明らかにそっちのほうがリスクが低い。本音を言えば、自分がパイロットなら絶対に近づきたくない。だって怖いじゃん。
だけどヘリックスは、近距離武器でこの化け物と渡り合う。懐に入り込んで斬ったり殴ったり刺したりする。部隊で囲み集中砲火をするでもなく、1対1で正々堂々とやり合うのだ。漢らしすぎる。
たしかに、これまでのガンダムゲームにも、巨大な敵と戦うシチュエーションはあった。『ガンダムVS.ガンダム』シリーズのモビルアーマー戦をはじめ、『ガンダムブレイカー』シリーズでは規格が異なる巨大ガンダムと戦うようなこともあった。
そうじゃない。今回はガチの地球外生命体である。人間が作ったものでも、人間が操縦するものでも、シミュレーター内の話でもない。危険度の性質がそもそも違う。
そのほかにも、これまでのガンダム作品とは異なる挑戦的な要素はいくつもあった。
伸縮自在な「蛇腹剣」みたいなメイン兵装があったり、地球外生命体であるアポカリプスの技術が転用されていたり、ハロが異常なほどイケボだったり……。
というわけで何かと斬新な体験がてんこ盛りだった、『ガンダム ローグオービット』の試遊レポートをお届けする。
取材・文/世界のザキヤマ
選べる武器3種の中に「蛇腹剣」を含める尖りっぷり。好きだ……。
ガンダムヘリックスは出撃前に武器を選ぶことができ、立ち回りを大きく変えられる。
試遊ではアサルトソード、ソードランス、ウィップソードの3種類を楽しめたが、この中ではウィップソードが使っていていちばん好みだった。
ウィップソードをざっくり言えば「蛇腹剣」である。通常は剣の形をしておりこの状態でも斬ることが可能だが、モードチェンジをすることでムチ状に変化。
こちらの形態ではある程度の間合いを取りつつの広範囲攻撃ができ、ザコをまとめて一掃する使いかたもできる。
正直このチョイス、かなり尖っている。まず今回体験できた内容には、ガンダム伝統のビームサーベルの姿は影も形もない。そしてヘリックス自体が標準装備として持っているわけではない。
大剣であるアサルトソードは理解できる。ストレートにカッコいいし、何よりも王道だ。刃が実体であれビームであれ、持っているモビルスーツもそれなりにいる。
槍であるランスはニッチ寄りだが、『鉄血のオルフェンズ』のガンダム・キマリスヴィダールのメイン武器であり、さかのぼると『F91』のクロスボーン系の機体や、『ガンダムZZ』のガズアル/ガズエルが持っていた。
では、蛇腹剣はどうか。はっきり言ってガンダムではめちゃくちゃレアである。ロードアストレイΩ(『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女』)という例はあるものの、間違いなくメインストリームではない。
モビルスーツの手持ち武器としてはほかにも斧や鎌、ハンマーという選択肢もあっただろうが、「初めに公開する、3つの武器のうちの1つに選ぶには攻めすぎている……!」と感じざるを得ない。ただ個人的にはこの手の変則武器が大好物なので、素直に「ありがとうございます」と伝えたい。

ほかの2武器についてもふれよう。
アサルトソードはその名の通り、近づいて剣戟を叩き込むタイプの武器だ。本作ではもっともバランスが取れたメイン武器となっている。
しかし、本武器には武器固有スキルとして独自兵装がセットとなっている。それがアンカーだ。
アンカーは敵に打ち込んで一気に距離を詰めつつ、そこから連続攻撃を叩き込む使いかたがメインとなる。ガンダムゲームだと、「ヒートロッドでやれるような挙動」というと伝わりやすいかもしれない。
さらに、敵に刺しつつの高速移動が可能だ。敵を起点に「シャーッ」とスライド移動するような挙動なのだが、これがものすごく気持ちいい。近距離で敵の攻撃をかわしつつインファイトに持ち込めると、エースパイロットになったような気分になる。
ソードランスは、突き攻撃が特徴的な武器。離れた箇所から攻撃することでダメージが上がる、槍らしい特性を備えている。固有スキルでは中距離からの攻撃ができ、機動力も担保できる形態という印象だった。
なお、それぞれの武器には別途で「タクティカルスキル」という要素もある。ゲージを消費して放てるタイプの技で、威力もさることながら、行動のあいだに割り込ませられるキャンセル技としての性質も持っている。
また、ゲージを使用して緊急回避をする「タクティカルムーブ」が存在し、タイミングよく発動することで「シフト」となり、カウンター攻撃をおこなうことが可能だ
これらおもだった基本要素からプレイフィールをお伝えすると、移動に関してはしっかり目で追える範囲で、機体の「重さ」は感じられる。いっぽうで、近接攻撃やタクティカルスキルの発生はかなりスピーディ。これらが組み合わさることで、モビルスーツの重量感は損なうことなく、ハイスピード感も味わえる仕上がりとなっていた。
地球外生命体の技術を取り入れるロマン設定
選べる武器とはべつに、ヘリックスには「アポカリプスユニット」という自立兵装ユニットを持っている。
……アポカリプス……? いや、それ敵の名前だよね!?
敵の名前がまるっと入っていて無関係なわけもなく、試遊中に「敵の能力を人類が取り入れて使えるようになっている」との説明をいただけた。
アポカリプスに関しては、情報が明らかになっていないことが多すぎるが、「地球外生命体の技術を使って、その地球外生命体と戦う」というのはなんともロマンにあふれている。
そんなアポカリプスユニットだが、試遊では、“シルフィード”と“ガーディアン”という2種を使うことができた。
シルフィードは、無線のオールレンジ兵器。これまでのガンダムシリーズでは、ビットやファンネルと似たタイプの武器だ。自動で敵を攻撃してくれる優れものだが、これ1個で完結するわけではなく、織り交ぜながら近接でダメージを重ねていくという感覚だった。
ガーディアンは設置式のシールド。たとえばブーストが切れたり隙ができたタイミングに置くことで、アポカリプスからの遠距離攻撃をしっかり防ぐことができた。
ロマン機能としては、敵に攻撃を当ててゲージを溜めて使えるようになる「OVER-RISE」というモードもある。この状態になるとブーストを消費せず、自機の強化にくわえて敵の攻撃を自動回避できる無敵状態となる。
わかりやすく言えば「TRANS-AM」などに近い時限強化なのだが、この手の機能はガンダム好きにかぎらず、ロボット好きに嫌いなやつはいない(断言)。問答無用でかっこいい。
さらに、「OVER-RISE」中はアポカリプスユニットを利用した「APユニットバースト」という強力な攻撃を放つことが可能。シルフィードを使ったAPユニットバーストでは、全方位から串刺しにするかの如きビームがアポカリプスに降り注ぎ、うまいこと当てられると非常に爽快だった。
なおここからは筆者の単なる妄想だが、やはり設定的に「敵の技術を使っている」ことは注目ポイントじゃないか、と思っている。
試遊ではそんなそぶりは一切なかったものの、地球外生命体を由来とした技術を流用しているのに、アクシデントがないほうがおかしいんじゃなかろうか。
ストーリーがどうなるのかは未知だが、たとえばヘリックスが暴走しつつもそれを克服し、覚醒して変形とかしたらアツいな……! と密かに期待している。

あまりに声がよすぎるハロに認知がバグる
ハロの声が異常にかっこいいのである。前野智昭さん演じるハロが、めっちゃイケボなのである。意味がわからない。だってハロですよ?

ハロはガンダム作品における常連のマスコットとして名高い。ガンダムシリーズを知らなくても姿は知っている人はかなり多いのではないだろうか。
そんなハロは、甲高くかわいらしい声や、システム音声のように淡々と喋ることが恒例。作品によって声優さんは異なるが、「機械音声のように喋るキャラ」ということは共通していた。「ハロはこういうものだ」ということがガンダム好きにはすり込まれていると言っていい。
ところが本作のハロは違う。前野智昭さん演じるハロに一切のかわいらしさはない。というより、めちゃくちゃかっこいい。
この「……相棒、何か来る!」という台詞、部隊の戦友が言ってくれていそうであるが、実際に言っているのはハロ(ヴィー)だ。
しかも、ことあるごとにめちゃくちゃ喋る。
ブーストが切れると注意喚起してくれるし、敵をどれだけ削ったかの進捗も教えてくれるし、必殺技に該当するAPユニットバーストもハロが叫ぶ。バトル中にいちばん喋るのは間違いなくハロである。

本作の場合、マスコットというよりも「相棒のオペレーター」という立ち位置のほうが適切だろうか。「えっ、いま喋ってるのハロなの?」と何度も画面を見返すくらいには、ナビゲートの数々に熱が籠もっていた。
なお、ハロの画像だとわかりにくいものの、本作の表現は非常にフォトリアル(写実的)だ。世界観はSF色が色濃く、作風としても映画に近い印象を受けた。





試遊ではストーリーについては深く追えなかったものの、そもそもが人間同士の戦争ではなく、アポカリプスとの生存競争に焦点が当たっているように感じられた。話が通用しない地球外生物たちと戦い続ける、かなりハードな世界観とも言える。
それでもこんなハロが傍らにいてくれるなら、だいたいの困難は乗り超えられるんじゃないか──そう思わせてくれるくらい頼もしかったことは事実だ。
ガンダム作品として見ると、『ガンダム ローグオービット』はたしかに異例尽くしだった。
それもそのはず、そもそも本作はアニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』と並ぶ「RGプロジェクト」のひとつに位置付けられている。
「RGプロジェクト」とは、神山健治監督、円城塔氏の手で構築された共通の世界を、アニメーションやゲームなど、複数の媒体で描くことに挑戦した、新たなプロジェクト。
アニメーションとゲームで、同一の世界と歴史を共有しながら、それぞれ異なる視点と距離感で物語を描く、次世代のガンダムプロジェクト。
両者は世界観を共有しつつも、それぞれ独立して楽しめる内容となっています。
ということで、そもそもが既存のガンダムシリーズの世界観は踏襲していない。だからこそ、従来の枠組に囚われない新しい要素がこれでもか! と入れられているのだろうと思う。
では、『ガンダム ローグオービット』からガンダムを感じられなかったかというと、答えはまったくのノーだ。
それは、どこか有機的ながらガンダムとわかるデザインだったり、ファンネルに該当する武装があったり、ハロがいたり──こうした記号だけでなく、コクピットに乗り込む演出やカタパルトから発進する様子からもエッセンスはしっかりと味わえた。
さらに、MODスキンで機体の見た目を変えることも可能だ。「デラックスエディション」には歴代の主役ガンダムたちをモチーフとしたスキンが収録されている。なお「RX-78-2(初代ガンダム)」のMODスキンは通常版でも楽しめるという。
ちなみに本作の想定クリア時間は20時間ほどだが、これはストーリーを一直線に追った場合。クリア後のコンテンツとして3人マルチで強敵に挑むモードもあるとのことで、仲間とも盛り上がれそうだ。
また、「東京ゲームショウ2026」では、9月19日から21日まで本作の試遊台が展開される。興味をもった人は、ぜひ現地に足を運んでみてはいかがだろうか。
※画面は開発中のものです。
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