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『ウィッチャー』だけじゃない。いま、“ポーランド産ゲーム”がアツいらしいので、現地に行って確かめてきた。Rebel WolvesにGOG、Flying Wild Hogや11 bit studiosの会社訪問や現地イベント「PGA」など盛りだくさんな「ポーランドゲーム業界見聞録」をお届け

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“爆発大好き”なデベロッパー「Flying Wild Hog」はド派手なアクションゲームが得意

続いて訪れたのは、『Shadow Warrior』シリーズや『Evil West』で知られるFlying Wild Hogだ。スタジオについて説明してくれたのは、同社でプロダクトディレクターを務めるTomasz Gop氏。

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直訳すると「空飛ぶ野生のブタ」という変わった名前だが、たくさんのゲームと歴史、経験があるスタジオであるとのこと。彼らの作風をひと言で表すなら「爆発が大好き」なデベロッパーだという。

確かに、彼らの作品をまとめた映像を確認すると、ド派手な演出のアクションゲームがラインナップの中心であることがうかがえる。

本社はワルシャワ。ほかにクラクフとジェシュフにスタジオを構えており、ポーランド国内に3つの拠点を持っている。

近年はポーランド以外、EU以外の出身者も増えており、チームでもっとも成長している部分だという。そして、スタッフの60%以上がゲーム業界で10年以上の経験を持つベテランだ。「歳をとっていて、すぐ飽きちゃうからアクションゲームを作っている」というジョークも語られた。

働き方はフルリモート、出社、ハイブリッドのいずれも選べ、2020年からずっとこのスタイルを続けている。現在は300人以上のスタッフが在籍しているとのこと。

設立は2009年4月1日。エイプリルフールの冗談ではなく、本当の創業日だという。再リリースを含めて10本以上のゲームを手がけ、ほぼすべてのプラットフォームで開発してきた。

かつては自社エンジンを使っていたが、やがてUnrealに移行。以前はUnreal Engine 4、現在はUnreal Engine 5で全プロジェクトを開発しているそうだ。多くのパートナーから信頼されるようになり、2020年ごろからはEmbracer Groupの一員になっている。

そして、社内の文化も紹介された。仕事が分散している時代だからこそ、年に2回ほど全員が集まり、顔を合わせる機会を作っている。また、在籍10年を迎えたベテランには「HOGscars Hall of Fame」として、特注のブロンズ製の像が贈られる。パーティーや人とつながるのが好きな社風のようだ。

実際、オフィス内には作品に登場する武器のレプリカや社員たちの集まりの様子を写した写真などがあり、フレンドリーな雰囲気が漂っていた。

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複数のプロジェクトが動いているので、プロジェクトをまたいでシネマティックチームなどが集まり、知見を共有する場も設けている。2026年4月からは自社でのポッドキャスト「HOGmented」も配信しており、すでに4回分が公開中だ。

会社やゲームの話だけでなく、毎回ゲストを招いて、ゲーム業界に入った経緯やFlying Wild Hogでの働き方、ゲーム作りへの向き合い方を語ってもらっているそう。「人を称える」ことが目的だという。

Digital Dragonsやgamescomなどのイベントにも積極的に参加しており、今年のgamescomでは複数のブースを出展。『トゥームレイダー:レガシー・オブ・アトランティス』に登場する、ほぼ実物大のT-レックス像も設置した。

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筆者がgamescom現地で撮影したもの。

彼らにとってこれまでの開発で特に印象的なのが、なんと1年で4本のゲームをリリースしたという2022年のこと。パイプラインの構築や複数チームの連携など、相当な工夫が必要だったうえ、4本ともまったく異なるタイプのゲームだった。

『Shadow Warrior 3』は、90年代の名作を独自に再構築したシリーズの3作目。刀や鎧などアジアのモチーフが色濃いFPSのアクションゲームだ。2013年のリブート版から3作ともFlying Wild Hogが開発しており、Devolver Digitalと組んで制作した。

『Space Punks』は同社初で唯一の基本無料のライブサービスゲーム。Epic Games Store独占だったが、現在はサービスを終了している。それでも、まったく異なるパイプラインやリリース体制を経験できた貴重な機会だったという。

『Trek to Yomi』は、黒澤映画に強く影響を受けた、アートとストーリー重視の2.5D横スクロールアクション。同社として初めて、外部のクリエイターと組んだ作品でもある。Devolverから「面白いアイデアを持った人がいる」と持ちかけられ、社外のLeonard Menchiari氏がビジョンを主導してチームと共に開発した。

そして、『Evil West』はシングルプレイとCo-opに対応した同社初の3人称視点アクションで、ゼロから作った自社IPだ。西部劇がモチーフの世界で、ヴァンパイアハンターの主人公が強力な武装を駆使して敵を蹴散らす痛快な作品となっている。

カウボーイも吸血鬼も誰もが知っているが、両者を組み合わせた作品はあまりなかったとのこと。2022年末にリリースされた本作は、当時彼らにとってもっとも野心的なプロジェクトだった。

こうして見ても、作風もシステムも全く異なる4作になっていることがお分かりいただけたかと思う。これらを同時に手掛けていたというのだから驚きだ。

そして現在開発中なのが、上記の作品群を上回る最大のプロジェクト『トゥームレイダー:レガシー・オブ・アトランティス』。1996年の初代『トゥームレイダー』をリイマジンする作品だ。本作はこれまでにもシリーズ作品を手掛けていたCrystal Dynamicsとの共同開発となる。

Tomasz氏自身、大学生だった1997年に初代をプレイしていたとのこと。初代の発売から30周年を迎えるが、当時は自分が遊んでいるゲームを30年後にUnreal Engine 5の美しいグラフィックで作り直すことになるとは想像もしなかったという。

本作はスタジオのほぼ全員にとって「夢がかなった」プロジェクトであるとのこと。さらに、Crystal Dynamicsという業界のレジェンドや、Amazon Game Studiosという大手パブリッシャーと仕事ができることも夢のようだという。

ちなみに本作については舞台裏を紹介するドキュメンタリー動画が制作されている。現在は12エピソードが公開中だ。ベテランのTomasz氏でも、これほど多くのエピソードがある舞台裏映像は経験したことがないとのこと。

本作は、PS5、XBOX Series X|S、Nintendo Switch 2、Steamにて2027年2月13日発売予定。美しい景色や、シリーズで知られる謎解きもより美しくなって健在。そしてもちろん、誰もが知るアイコニックな主人公ララも登場と、開発中の大型タイトルへの期待を持たせる形で、プレゼンは終了となった。

2009年の設立以来、手堅い作りと独特の世界観を持ったアクションゲームを得意としてきたFlying Wild Hog。誰もが知る超有名シリーズ『トゥームレイダー』への参加は、そんな彼らにとってまさしく次の大きなステップだと言えるのではないだろうか。

「爆発が大好き」という説明の通り、これからもド派手なアクションゲームをプレイヤーに届けていってほしい。今後の動向や作品が気になる注目のスタジオになりそうだ。

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入口で各作品のタイトルロゴとともに訪問者を迎えていた『Shadow Warrior 2』の敵キャラ「Toro」。

実力派スタジオ11 bit studiosはアイデア重視。パブリッシングでは他にないユニークなメカニックを探す

今回のスタジオめぐりの締めくくりとして、最後に訪れたのは11 bit studios。まずは前半のプレゼンにも登壇したDamian Jaśkowski氏にスタジオの概要を説明していただいた。

彼らは『This War of Mine』や『フロストパンク』シリーズの開発で知られるスタジオだ。2025年に発売された『The Alters』も開発している。

2024年の『フロストパンク2』ではThe Game AwardsにおいてBest Sim/Strategyを受賞するなど、確かなクオリティで知られる実力派のスタジオだ。

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スタジオの入り口に飾られたトロフィー。中央にあるのが「The Game Awards」のものだ。

そんな彼らはポーランドの外務省や文化・国家遺産省と協力して、各国のゲーム業界の橋渡しをする活動も行っている。今回の視察もその一環というわけだ。

また、チャリティー活動にも力を入れているとのことで、『This War of Mine』のDLC『Forget Celebrations』の売上は100%が人道支援団体に寄付された。

2週間ほど前にワルシャワで開催された「Student Games Festival」も11 bit studiosの後援によるものだ。各国から応募が集まり、約30作品が決勝に進出。学生チームがワルシャワに招かれ、最優秀学生ゲームの座を競ったという。

これらの活動には、彼らの「コミュニティに積極的に関わっていきたい」という思いが反映されているとのこと。成功したゲーム会社として、その成功をポーランドのゲーム業界全体と分かち合いたいという考えがあるのだと語られた。

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スタジオ内には子供たちが描いたイラストが掲示されており、チャリティーの気風がうかがえる。

そんな彼らのゲーム開発の姿勢は「ジャンルからではなく、核となるアイデアから作る」というものだ。「戦略ゲームを作ろう、じゃあ題材は?」という順番ではないのだそう。

たとえば『フロストパンク』は「社会が発展していくさまを描きたい」という考えからスタートしている。初代では、極限の寒波と猛吹雪が襲う自然災害による死に直面した小さな集団を描いた。

そして『フロストパンク2』では、大災害を生き延びた社会がその後どう変わっていくのかを描いている。そのために、ゲームのルール自体を大きく変えたという。

自然災害に直面する社会を描くなら、短いスパンで物事が急速に変わる必要がある。だから初代は小さな都市で、個々の住民が行き来する様子が見え、時間も日単位で進む。

しかし社会の長期的な変化を描くには日単位では足りない。そこで『2』では時間の単位を月・年へ、個々の住民や建物を地区やハブへと変更した。同じシリーズだからといって、ひとつのシステムに固定することはしないというわけだ。

お気に入りの演出として挙げられたのが、街の中を流れる光の筋。これは、あるデザイナーが「ほぼ静止した状況で時間の流れをどう表現するか」を考えた結果だという。

住民を高速で動かすのは不自然に見える。そこで発想の元になったのが長時間露光の写真。夜の通りを撮ると、車や人の動きが光の軌跡として写る。その発想から、街を流れる光で時間の経過を表現しているのだという。

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(画像は『フロストパンク2』Steamストアページより)

このような数々のデザイン上の判断が『フロストパンク2』を形作っており、初代とはまったく違うゲームでありながら、根底にあるアイデアは同じになっているのだ。

ちなみに『フロストパンク2』の物語はまだ終わっておらず、第3弾となるDLCが開発中。

さらに本シリーズの世界はその先も広がっていく。初代のリメイクである『フロストパンク1886』もそのひとつ。本作の目的は主に技術的なものだと説明された。

初代は自社製の「Liquid Engine」で作られていたが、人の入れ替わりもあり、現在このエンジンを使いこなせる人材を見つけるのは難しい。

また、自社エンジンのスキルは他社で活かせないため、人材を集めるうえでも不利になる。本作はUnreal Engine 5にて制作されるが、このような汎用エンジンなら、会社や国を変えてもスキルを活かせるというわけだ。

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(画像は『フロストパンク1886』Steamストアページより)

初代と『2』はまったく違うゲームなので、両方を生かし続けたいという狙いもあるとのこと。リメイクには、都市の発展に関する新たな要素も加わるという。

発売は2027年を予定。ほかにも『フロストパンク』に限らず、すべてのIPで「ゲームに限らない」プロジェクトが進行中だという。楽しみにしてほしいとのことなので、本スタジオの作品のファンは続報を待とう。

そんな11 bit studiosだが、開発だけではなく数々のインディーゲームのパブリッシングも手掛けている。ここからのプレゼンはシニア・プロダクトマネージャーのAdam Turek氏にバトンタッチ。パブリッシングでの取り組みについて説明してもらった。

Adam氏によれば、彼らは企画の評価から、契約後の開発者とのクリエイティブ面の協業までも担当しているそうだ。

初のパブリッシング作品は、『This War of Mine』と同じ2014年にリリースされた『Spacecom』。じつに10年以上の経験がある。

2018年の『Moonlighter』、2019年の『Children of Morta』はパブリッシング部門最大のヒット作だ。その流れで続編『Moonlighter 2: The Endless Vault』も2026年9月にリリースされた。

内製タイトルではIPを育てることに多くの考えを注いでいるいっぽう、パブリッシング部門ではもっと実験的なことに挑戦しているという。

内製ではできないようなもの、そして自分たち自身がプレイしたくなるようなゲームを扱っている。たとえば『Moonlighter』は重厚な世界観の内製作品と比べて「よりハッピーなゲーム」の例だ。

そして、扱うタイトルは年に2〜3作と絞っている。10〜15本と契約して「どれか当たればいい」という方針ではない。毎年1000本以上の売り込みがあるなかで、契約するのは2〜3本という非常に狭き門だ。

これは扱う作品の開発者と毎週のように通話しながら協業するという、密なコミュニケーションを重視しているためだ。

より具体的な話としては、彼らはメカニックに重点を置いたゲームを求めている。スタジオのDNAとしては「価値のあるエンタメ(meaningful entertainment)」を掲げてきた。

しかしこの言葉は「物語重視のゲームを探している」と受け取られがちで、彼らの狙いとしては必ずしもそうではない。物語も重要だが、もっとも重視しているのはメカニックだ。「考えさせられるタイトル(thought provoking titles)」として、ハイブリッドなジャンルや、見たことのないメカニックを持つユニークな作品を求めているとのこと。

たとえば10月初めに発表された『Volatiles』は、戦場を1タイルずつ自分で組み上げていくアクションローグライク。これまでプレイしたことがない体験で、評価の段階で社内の多くの人が遊んでフィードバックしたがったそうだ。

2025年にリリースされた『Death Howl』は、悲しみに暮れる母親が死後の世界で息子を探す物語。いっぽうでゲーム自体はソウルライク要素のあるデッキ構築ゲームという、メカニック重視の作品だ。このユニークなジャンルが決め手になったという。リリース時には開発者のいるコペンハーゲンを訪れ、一緒にお祝いしたそうだ。

『Crop』は農業シムとホラー・ミステリーを組み合わせた作品。本来癒やしのためのジャンルである農業シムの期待を裏切り、相続も購入もしていない農場にプレイヤーが突然現れるという、謎めいた雰囲気が特徴。社内では「ツイン・ピークス風の農業シム」と呼んでいるという。

『Trainwatch』は彼らの扱う作品の中でも特に小規模なタイトルだ。ホラーゲームを手掛けてきたポーランドの個人開発者による作品で「本人はとてもいい人なのに、すごく奇妙なホラーゲームを作る」のだとか。

ホラーアドベンチャーでありながら、リソース管理や時間管理の要素が多く、昔のアドベンチャーゲームを思わせつつも現代的なメカニックを備えている点に惹かれたという。

このようなユニークさが、彼らが作品を選ぶポイントになっている。いずれも開発者の独特のセンスが現れた個性の強い作品になっていることがうかがえるが、スタジオを挙げてこのような個性を後押ししていきたいという思いがあるのだと感じた。

そして、トレンドや市場、好みが変化する中で、彼ら自身もゲーマーとして、日々ゲームを遊んで語り合っているのだという。確かに、スタジオ内には数々のグッズやボードゲームが飾られており、彼らの「ゲーム愛」が感じられた。

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そのような姿勢が、壁一面に飾られたトロフィーという業界、そしてユーザーたちからの確かな評価につながっているのだと思わされた今回のスタジオ訪問であった。

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編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。最も脳を焼かれたゲームキャラは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。

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