「いい夫婦の日」である11月22日、電ファミニコゲーマーでのインタビューが大好評だった、ビートまりおとあまねの結婚式ライブ「COOL&CREATE LIVE PARTY WEDDING 披露宴あまねりお」が開催された。
ニコニコ生放送でも約10万人が視聴し、コメント総数は約13万を越え、番組終了後のアンケートで「とても良かった」が98%を占めるという、神がかり的な盛り上がりを見せた。
様々な有名アーティストもライブを行う川崎クラブチッタで、披露宴でもあり、ライブでもあるという、前代未聞のイベントは、ビートまりおの「インターネットの年表に自分の名前を残す」という思いから企画がスタートした。歴史に残る(?)記念すべき披露宴ライブの様子を、撮り下ろし写真と共にレポートする。
構成/電ファミ編集部
執筆/森祐介
カメラマン/増田雄介
開場前からクラブチッタ前に長蛇の列
11月22日。東方同人の重要な歴史の一ページを目撃するべく、開場の30分前から、川崎クラブチッタの前には長い行列ができていた。「久しぶり!」「ごぶさたです〜」と挨拶しあう人たちも散見され、久々の再会を果たしている人も散見された。
ビシっと正装に身を包んだ人や、COOL&CREATEのハッピを着た人、学校帰りなのか、制服のまま来場した人まで……参加者の年齢層はとても幅広い。
入場が始まり、ファンたちが開演を待ちわびるなか、まずはビートまりおとあまねの両親が席についた。この時点で大きな歓声が湧くほどの熱気が充満する空間で、イベントがスタート。
新郎新婦入場
イベント開演に先立ち、二人の過去の写真がプロジェクターに映し出されると、ビートまりおの写真では笑いが、あまねの写真では「かわいい!」という声が上がった。大きな拍手と歓声、紙吹雪に迎えられ、ついに新郎新婦が入場しステージに上がった。
「全員起立!」というビートまりおのかけ声で会場は総立ち。COOL&CREATEのテーマソングともいえる、1曲目の定番「ハローハイパースター」でライブがスタート!
“ZUN前式”で誓いの言葉
結婚式での重要な儀式である神前式が行われるのかと思いきや、まさかのZUN氏登壇により、“ZUN前式”で誓いの言葉を述べる。そしてなぜか写真撮影まで……自由すぎる!
来賓代表挨拶と乾杯の音頭を担当したのはドワンゴの伴氏。「コミケでは、ビートまりおが小林幸子をあちこちに連れ回していた」「クークリの飲み会では、酔っ払ったビートまりおが放置されるが、終電間際には必ずあまねさんが介抱しにくる」という、微笑ましい裏話も飛び出した。
次は、新郎挨拶とmyu314氏による友人代表の挨拶。大学時代からの付き合いを感じさせる感動のスピーチが飛び出すかと思いきや、「全ての思いは曲に込めたので、挨拶に変えてこの曲を!」と叫び、「結婚おめでと。これからもよろしくね」の演奏がスタートし、あまねりおがデュエット。
初めての共同作業で食べるのはチッタポテト!
初めての共同作業ということで、ケーキ入刀。ファーストバイトはクラブチッタ名物のフライドポテトだ。この光景に、司会の会一太郎氏も思わず「幸せそうだな……」と本音が漏れつつ実況していた。
ポテトを平らげた後は、あまねが「drizzly rain」を歌った。随所で「うー、パチュリー!」という合いの手が入るこの曲。会場のファンに向けて「みなさんは、練習なしでもできますよね」と歌い始めると、イントロ、間奏ともに完ぺきな合いの手が入った。よく訓練されたオタクのみが参加している、濃度の高いイベントであることが証明された。
お祝いビデオメッセージと余興その1
ここであまねがお色直しで一時退場し、祝福のビデオメッセージが流れた。
チーム我等、音楽ゲーム「GROOVE COASTER」チーム、元クラブチッタの片岡氏、KONAMI宣伝部の田中さんに続き、海外にいるひろゆき氏からの「ビートなんとかさん、おめでとうございます」という、“らしい”メッセージで笑いが起こった。
この動画が流れている間に、かつてビートまりお母の両親が経営していたカフェ「ナポリタン」の特製ドリンクが限定販売され、長蛇の列ができ、早々に売り切れるという事態も発生。
東方ライブイベント「Flowering Night」初期から活動を共にしている石鹸屋が余興でステージに登場。「石鹸屋ならぬ、結婚屋です!」と挨拶をして「レザマリでもつらくないっ!」「ってゐ!~えいえんてゐVer~」を演奏した。
曲終わりではビートまりおが「Flowering Nightを思い出して泣きそうになる……」と過去を振り返っていた。
会場の熱気でロウソクが湿るハプニング
お色直しからもどったあまねと「シアワセうさぎ」を歌い、間奏ではキャンドルサービスで各テーブルを回った。途中、会場の凄まじい熱気により、ロウソクが湿気てしまい、火がつきにくいというハプニングもあったが……近くのファンが機転を効かせ、手でロウソクを近づけるという流れができて、なんとか危機を回避。
ちなみに、各テーブルには参列者をイメージした漢字一文字の名前が付いており、ZUN氏が座っていたテーブルの名前は「酒」であった。
二人がスタンド席に近づくと、ファンが一斉に赤いサイリウムを点灯。“サイリウムという名のキャンドル”が灯り、会場は赤一色に染まる。この時点で、司会の会氏から「『#披露宴あまねりお』がツイッターでトレンド入りしました!」と速報が入り、大歓声があがった。
続いて「ズンサン – O.T.Z.Y.」では、会場のファンもステージに上がり、「O.T.Z.Y!」と会場が一体となってダンス! ビールを片手にステージ上がったZUN氏が「自分の本名こんな大声で言われるのどうですか?」と聞かれ、「これ、誰を祝う場なの…?」と、ごもっともな返答をする一幕も。
余興その2:ビートまりおの母、豚乙女、まらしぃのパフォーマンスが炸裂!
お次はビートまりおが歌の師匠と仰ぐ、ビートまりおの母がステージに登場し、「林檎華憐歌」を歌い上げる。間奏では「ウチの息子がいつもお世話になっております…」とバンドメンバー全員に挨拶をし、最後には会場に向かって「ビートまりお、あまねをここまで育ててくれたのは、みなさまです!」と御礼を叫んだ。
あまねがお色直しのため、再度退場し、2回目のビデオメッセージタイム。音楽ゲーム「太鼓の達人」チームや、ゲーム「ファンタシースターオンライン」シリーズのディレクター陣に加え、高橋名人と小林幸子からもメッセージが届いた。
石鹸屋に続く余興で、豚乙女が「人間が大好きなこわれた妖怪の唄」を披露。動物たちの演奏と踊りに加え、ボーカルのランコのパワフルな歌声で会場を盛り上げた。
さらに、「ビートまりおさんは憧れの存在」と語るまらしぃが、余興で「ナイト・オブ・ナイツ」スペシャルメドレーをピアノで演奏。楽譜ナシの速弾き、超絶技巧のプレイの数々に会場全体が聞き惚れた。
「えーりん!」効果により、20分で3万5000コメント!
二度目のお色直しから戻り、「ブライダルアドベンチャー」「あまらぶっ!」を2曲続けて披露。間奏ではブーケの替わりにぬいぐるみをバズーカで発射。「これ、楽しー!」とふだんはクールなあまねが珍しく興奮する姿も見られた。
そろそろライブも佳境に入り、お待ちかね「Help me, ERINNNNNN!!」を熱唱。会場とニコ生のコメントが一体となり「えーりん! えーりん!」の大合唱となった。ニコ生運営によると、この曲の約20分だけで3万5000コメントを突破し、これはめったにお目にかかれない数字なんだとか。
お約束の間奏コールアンドレスポンスでは、「おっぱい! おっぱい!」と今日だけは封印するはずだった下ネタを口走り、「東方のおかげで! 結婚できました!」と本音を叫んだ。
さらに、「えーりん!」に次ぐ代表曲の一つ、「最終鬼畜全部声」を歌いながら、ステージ下へ乱入。来賓や観客にマイクを向けて一緒に歌わせながら、会場中を行脚した。
両親からの感動的なスピーチ
最終鬼畜の熱気も冷めやらぬまま、両親の挨拶へ。感動的なスピーチが続き、ビートまりおも泣きそうになっていた?
そんなしんみりした雰囲気を吹き飛ばすべく、ライブの終わりをイメージした楽曲「パーティーコール!」を、両親と一緒に歌う。
しかし、楽しいほど時はあっという間すぎて……楽しかったライブも、ついに終演間近に……。最後にあまねが両親へ感謝の手紙を読んだ後で、「今の私の気持ちを、そのまま表したような歌をまりおさんが作ってくれました。聞いてください『1122』」と語り、本日ラストの曲がスタート。
二人の未来を予感させる歌詞に、会場全体が感動に包まれながら、ラストスパートの盛り上がりを見せた。
そして、最後は祝福を受けながら、新郎新婦が笑顔で退場。もちろん、ぎゅっと手を握りながら。
「あまねりお」がきっかけで生まれた、8年越しの愛
最後は出口で二人がお見送り。ハイタッチをしながら、二人に向かって「私達、あまねりおがきっかけで付き合ったんです!」と話す若いカップルがいたため、少し話を聞いてみると、女性がうれしそうにこう話してくれた。
「初めて会ったのが8年前の『あおもりあまねりお』でした。私はそこからずっと親友だと思ってたんですけど……。つい最近、彼が『6年前からずっと好きだった』って告白してくれて。今日、おそろいの指輪をもらったんです!」(20代前半・青森出身女性)
彼氏は、横で恥ずかしそうに終始俯いていた。手をつなぐまでに3年以上かかったまりお氏を彷彿とさせる、泣けるストーリー。イベント「あまねりお」は新たな愛を紡ぐ場でもあったのだ。
若いファンたちがあまねりおを知ったきっかけとは?
また、会場内には10代とみられる若者も数多くいたため、東方やCOOL&CREATEを知ったきっかけを尋ねてみたところ、こんな声が挙がった。
「友達が校内で『僕らのおちんぽ。』を歌っていたのがおもしろくて、そこから色んな曲を教えてもらったのが最初です。今はビートまりおさんに憧れて曲を作るようになり、同人サークルを作りました。CDを出すのが夢です!」(17歳男性)
「最初に知ったきっかけは、『最終鬼畜全部声』動画かな。というか、『Help me, ERINNNNNN!!』や『最終鬼畜妹フランドール・S 』は、元ネタを知らないだけで、誰でも知ってますよ」(17歳男性、上記男性に曲を教えた友人)
「ネットで『シアワセうさぎ』を初めて聞いたとき、今まで聞いた中で一番いい曲! と思って、そこから作った人を調べ始めたんです」(17歳男性)
「友人がカラオケで『Help me, ERINNNNNN!!』を歌っていて、興味を持ちました」(17歳男性)
「2006年に、ライブ『Flowering Night』の転載動画を見てから、イベントに興味を持ちましたね」(18歳男性)
「うみねこ関連で『OPPA in LOVE!!』を聞いたのがきっかけで、ビートまりおさんを知りました」(17歳男性)
ちなみに、本日の参加者最年少は、マリオのコスプレをした3歳の男の子。2008年頃からFlowering Nightに参加していた30歳の父が、一緒に動画を見て英才教育を施しているのだとか。
これからの未来を作っていく若者世代のフォロワーも多いことが見て取れたあまねりおと東方同人文化が、さらなる発展を遂げていくであろうことを予感させるイベントであった。