Microsoftが本気出して作ったお値段33万円のHMDをさっそく購入してみた【HoloLens体験レビュー】

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 AR(拡張現実)とVR(仮想現実)を融合し、現実世界と仮想世界が相互に影響を与えあうような技術である「MR」(Mixed Reality:複合現実)。PlayStation VRやOculus Riftなど各社がVR機器をリリースする中、Microsoft社が満を持して投入したのがMR機器「HoloLens」だ。

ついに発売されたHoloLens。(画像はMicrosoft公式サイトより)

 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は半透明な素材でできており、現実世界を見通しながら、その上に情報を付加することができる。OSとしてWindows10が搭載されており、Webブラウザやアプリケーションなどを操作することができる。価格は開発者向けの「Development Edition」で33万3800円(税込)とお高めだが、いったいどんな体験が楽しめるのだろうか。

 電ファミでは1月18日に国内販売が開始されたばかりのHoloLensをいち早く入手した。何はともあれまずは、編集部で撮影した体験動画を見ていただきたい。現実の空間をスキャンし、そこにWebブラウザや小動物など、さまざまなオブジェクトを置くことができる。

 あらゆるVRゲームをプレイし尽くすドワンゴVR部のメンバーと共に、HoloLensがもたらすユーザー体験やVRとのHMDの違い、将来の可能性などについて探ってみた。


考え抜かれたハードウェア

皆さんHoloLensを触ってみて第一印象はいかがですか?

ハードウェアが本当に素晴らしいですね。

内側が頭を支えるバンド、外側がヘッドセット本体を支えるバンドと二重になっていて、それぞれ独立して角度が変えられるようになっています。

装着部分は二重のバンド構造になっている。

バンドを二重にすることで、頭からズレ落ちづらいうえに、HMDのポジションの調整が簡単にできるように工夫されていますよね。

質感はMicrosoft Surfaceと同じ感じだよね。お金が掛かったしっかりしたプロダクトで。

Microsoftってハードウェア作るの上手ですよね。「IntelliMouse Explorer 3.0」とか。

Microsoftのオプティカル マウス「IntelliMouse Explorer 3.0」。その使い勝手の良さから多くのゲーマーに愛用された。

「KIN」【※1】とかスマホを作ろうとした時代もありましたね。「Zune」【※2】とか。

※1 KIN
2010年にMicrosoftが発売したスマートフォン。1年経たずに販売を終了した。

※2 Zune
AppleのiPodに対抗するべく、2006年にMicrosoftが発売した携帯音楽プレーヤー。日本で発売されないまま生産を終了した。

懐かしすぎる……。

最初からついてくるポータブルハードケースも高級感があってよくできてますよね。開発者の愛とロマンが伝わってくるというか。

HoloLensはハードケースに入れて出荷される。

Oculus DK1を思い出しますね。DK1は専用のプラスチックケースで一式が綺麗に収まるようになっていたんですけど、Oculus DK2は段ボールみたいなのでしたね……。

しかしこれ、どれだけ高価な光学系を使ってるんだろう。グラス部分がシースルーだということは、ヘッドバンド内にほとんどの光学系が収まっているということですよね? このコンパクトさに収めているのはすごいです。

ソニーの「HMZ」【※】シリーズは性能と相応に本体も大きかったですからね。

※HMZ
ソニーが2011年に発売したHMD。有機ELを採用したのが特徴。2015年に生産を終了した。

かぶった感じはどうですか?

軽くはないですが、つけていて特に重い感じもしないです。

前に本体、後ろにバッテリーがあるのでうまく重心のバランスが取れています。相当研究してますねこれは。

この赤い部分がスピーカーですか?

耳元に用意された指向性スピーカー。

指向性で耳元にちゃんと届くように調整してありますね。音漏れはするし音質を求めるものではないですが、はっきり聞き取りやすいです。

なぜスピーカーが重要かというと、セットアップ時などは「Cortana」【※】と英語で会話する形で操作をやり取りするので、レスポンスが合成音声で返ってくるんですよ。その他にも、ちょっとした操作をするたびに効果音が鳴るようになっているので、音を聞き取れないと操作が成立しなくなっちゃいます。

※Cortana
音声認識に基づくMicrosoftのパーソナルアシスタント機能。類似技術にAppleのSiriがある。

ウェアラブルコンピューターにおいて音のレスポンスは一つのトレンドですね。シンプルで確実ですからね。

ソニーが最近開発したウェアラブルコンピュータのプロトタイプ「N」【※】も、耳に直接当てない指向性スピーカーを実装していましたね。

※N
ソニーの新技術開発プロジェクト「Future Lab Program」から、2016年に第一弾として発表されたプロトタイプ。

イヤホンをつけると周りの音が聞こえなくて危ないという問題もありますしね。

最近はイコライザーやスピーカーの形を工夫していかに耳元に向けるかが技術の見せ所の一つになっています。

空間がオフィスになる

ところで、HoloLensではどんなことができるんですか?

周囲の壁や障害物の形状を読み取って、空間内の好きなところにWebブラウザを置いたり、動物を出現させて机の上を走らせたり、工夫次第でいろいろできます

HoloLensから見える画像。机という障害物があることを読み取り、空間上に配置したトラの姿がきちんと隠れている
好きな場所にWebブラウザを表示させることも。

VRはHMDで装着者の視界を奪ってCGでレンダリングした空間を出すものですが、こちらはレンズ部分がシースルーになっていて外が見えます。現実に情報を付与するという感じですね。

『Gene Mapper -core-』【※】というSF小説の中に「自宅で仕事をするフリーランスには壁を独占できるメリットがある」という一節があります。壁を仮想ディスプレイとして使えるので、会社のオフィスでは壁の取り合いになってしまうという意味です。まさにHoloLensが提示してくれる未来の働き方ですね。

※『Gene Mapper -core-』
作家の藤井太洋が2012年に電子書籍で出版したSF小説。個人のホームページで発表したものを個人で電子書籍化したことで話題になった。

これをみんながかぶって、早く机のモニターは不要になってほしいですね。

操作は基本的に2種類だけ

操作はどうやるんですか?

基本的にできることは「クリック」と「スタートメニューを開く」だけです。それぞれ指の動きで表現します。「クリック」は人差し指を垂直に立ててから前にぱたんと倒す「エア・タップ」、「スタートメニューを開く」は手のひらを上にしてパッと花を咲かせるように開く「ブルーム」ですね。

手をつぼみのようにして…
パッと放す。特徴的な動きの「ブルーム」

深度センサーがあるので、認識範囲内であればどこで動かしても指の動きが読み取れます。Nintendo Switchがグー・チョキ・パーを読み取れるのと似た原理ですね。

右クリックもないんですね。アプリによっては、クリック長押しで右クリックの代用としているようですが。

本当はもっと複雑なジェスチャーも取れるんでしょうが、わざと減らしてるんでしょうね。

ゴリラ腕(垂直の画面のタッチスクリーンを長時間触っていると腕が疲れる状態)になるかと思ったけど、腕より指のほうがきつくなってきますね。なんどもエア・タップを繰り返していると、指の筋肉と、ぶつける指の骨が痛くなってきます。でもこれはそのうち慣れるかな。

指を立てたりする動作、普段しないですからね。

Bluetoothでクリックができるデバイス(クリッカー)も同梱されています。ハプティック(触覚)フィードバックではなく物理的にへこんでるんですね。クリック感はよくできてます。

同梱されているクリッカー。ポチポチ押してクリックする以外にも、手首のスナップでドラッグ操作も可能

ただ、視野角は思ったよりかなり狭いですね……。

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