人気の狩猟アクションゲーム『モンスターハンター』(以下、モンハン)。
大自然に生きる強大なモンスターと対峙する『モンハン』の世界だが、「モンスターとの共存」をテーマにしたRPG『モンスターハンターストーリーズ』(以下、ストーリーズ)というシリーズも発売されている。
『ストーリーズ』はモンスターと絆を結び共に成長していく「ライダー」の物語が展開されるコマンドバトル式のRPGだ。その最新作である『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』(以下、MHS3)が、2026年3月13日に発売を控えている。
今回電ファミは、本作のエグゼクティブプロデューサーである辻本良三氏と、ディレクターの大黒健二氏、リードゲームデザイナーの若原大資氏、アートディレクターの川野隆裕氏へのグループインタビューへ参加させていただく機会を得た。そこで本稿ではその内容をお届けする。
インタビューでは、先行プレイ版を実際に遊んでみて感じた確かな手ごたえや最新機向けに開発されたことで刷新されたビジュアルや世界観へのこだわり、そしてクリアまで“50時間超”という圧倒的なボリュームについておうかがいすることができた。本作が気になっている方は、ぜひ読んでみてほしい。
「出せるものは全部出した」普通に遊んでも50時間超の大作に
──先行して本作をプレイさせていただいたのですが、序盤の第1章をプレイするだけでも約10時間以上かかりました。序盤だけでもかなりのボリュームを感じたのですが、メインストーリーをクリアするまでのプレイ時間はどれくらいの時間を想定されていますか?
大黒 健二氏(以下、大黒氏):
メインストーリーをプレイするだけであれば約30時間を想定しています。
人によってプレイ時間には幅があると思いますが、本作は「ストーリーをクリアすることにまず満足してもらいたい」という軸があります。
ただし、キャラクターひとりひとりを掘り下げるサイドストーリーや、世界にどっぷり浸って遊びたい人はもっとプレイ時間が長くなると思います。
辻本 良三氏(以下、辻本氏):
普通にプレイしていたら“40時間~50時間”くらいはかかると思います。弊社の社員にもプレイしてもらったのですが、平均して50時間を超えていました。
──仮に次回作があるとしたら、さらにボリュームは増えるのでしょうか。
大黒氏:
個人的には本作で「やりきっている」と思っています。
現段階で「次が作れるか」と問われたら「そんな余力はない。出せるもんは全部出したな」と言えるほどに出し切りました。また時間が経って、次のことも考えながら開発できたらいいなと考えております。
物語を大人向けにしたことで、主人公の年齢層も高く
──前作までは少年少女の成長物語が描かれていましたが、本作では主要な登場人物の年齢層が高くなり、ふたつの国の対立や王族の抱える葛藤などが描かれています。このすこし大人向けの物語が展開されたおもな理由をお聞かせください。
辻本氏:
これまでのフィードバックから「『ストーリーズ』は作品として自立できている」と思えたので「よりRPGとしての完成度を高めよう」という結論にいたりました。
前作まではライダー【※】の成長物語でしたが、『MHS3』は成長したあとのエリートライダーの視点でストーリーが展開されます。
※ライダー
モンスターと絆を育み、その背に乗り共に冒険する者たち。『モンスターハンターストーリーズ』において、主人公は基本的にこのライダーとなる。最新作『MHS3』の主人公は、ライダーであると同時に地域の生態系を保つレンジャーでもある。


──主人公が成長している人物だとすると、年齢はどれくらいを想定していますか?
大黒氏:
『MHS3』の主人公は19歳くらいに設定しています。
1作目の主人公の年齢は12歳くらいで、2作目の主人公は15歳ほどを想定して物語が作られていました。
本作はターゲットを大人向けにしたので、描くシーンも変わりました。
「子供向けの作風から映画のような絵柄にしよう」とか「スケール感を大きくしよう」という話があったので、年齢もあがりました。
──主人公の年齢が高くなったことで、前作と大きく変わった点はありますか?
大黒氏:
本作の主人公は最初からエリートで、最初の舞台となる国で唯一のレウスライダー【※】となっております。
前作までは先輩から手ほどきを受ける形式でしたが、「またこれか」と言われてしまうのが嫌でした。前作との違いに、ワクワクしていただけると思います。
※レウスライダー
『モンハン』シリーズを代表するモンスター「リオレウス」の背にまたがる特別なライダー。『MHS3』において、主人公はゲーム開始時からレウスライダーとして登場。ライダーとしても熟練している隊長である。
『モンスターハンター』シリーズと『ストーリーズ』は共通して“自然と人間の関わり方”がテーマ。映像化にも前向き
──これまでの『モンハン』シリーズではモンスターという脅威を狩ることで自然との距離感を考えさせられる物語が展開され、『ストーリーズ』ではモンスターとの“共存”が描かれてきました。 『モンハン』というシリーズを通して「これを伝えたい」という思いがありましたらぜひお聞きしたいです。
辻本氏:
『モンハン』シリーズは一貫して「生きるために何をすればいいのか」と考えられるような世界を描いております。
モンスターとハンター、モンスターとライダー、その中に善悪はありません。それは殺伐としたものではなく、みんな生きるためにこの世界で生活をしています。
その中でも、自然に生息する生き物たち、世界に暮らす人たち、そして命の重さなどを表現したいという思いは初代からありました。
──「自然と人間との関わり方」という意味では、『MHS3』に登場するレンジャーの役割は「生態系を守る」役割ということですか?
辻本氏:
はい、『MHS3』のレンジャーはこの世界の生態系を守り、正常なものに保つことを目的としています。『ストーリーズ』でもアクションの『モンハン』シリーズでも、この世界や生活を守る様子を描いています。
例えば、ハンターもギルドから派遣されて、依頼をうけて狩猟しています。なので、トータル的な面で言うとどちらのシリーズも根本的な部分は変わらないです。

──それこそ『MHS3』はストーリー自体がものすごくよくできているように思えたのですが、今後アニメや映画化といった展望はあったりするのでしょうか。
辻本氏:
映像化は常に興味があります。
どこかでできるタイミングがあればやりたいとは思っています。とはいえ、僕らだけで決められるものではないですが……(笑)。『ストーリーズ』は初代もアニメ化しましたし、希望としてはやりたいです。
登場人物の見た目も大人に。スペックが向上して描ける幅が広がった
──本作は過去作と比較してもデザインが刷新されているように感じられました。とくに女性キャラクターの肉感は目を見張るほどで、魅力的です。キャラクターをデザインするさいに、こだわった点はありますか?
川野 隆裕氏(以下、川野氏):
本作はハードスペックも向上したので新しいデザインに挑戦できるという嬉しさがありました。
これまでは元々あったデザインをシンプルにするという引き算に苦労しましたが、スペックが向上したことにより「どれくらいの情報量にしたらリアリティを持たせられるか」という点のバランスを考えて作りましたね。

──とくに、主人公の仲間たちは特徴的でした。性格も服装もスタイルも異なり個性が光っています。
川野氏:
それぞれの登場人物に個性があり、年齢や人種もバラバラなので衣装の装飾のバランスには気を付けました。キャラクターのバリエーションの豊富さや、カットシーンのふるまいにも注目していただきたいと思います。
大黒氏:
キャラクターに関しては、見所が多すぎるくらいです。主人公の仲間たちは、それぞれがなんらかのスペシャリストになっています。
キャンプの中に入って何も触らずに放っておくと彼らの生活感も見られるようになっていて愉快です。おそらく、開発メンバーがそれぞれのキャラを好きになってくれたんだと思います。
辻本氏:
レンジャーという仲間たちには年齢はもちろん性格や見た目も、さまざまな個性があります。RPGとして、仲間と冒険する感覚を表現したいと思っていました。

──スペックの向上に際して表現できる部分もかわったんですね。特に注目してもらいたいシーンはございますでしょうか。
川野氏:
背景にはとくにこだわりました。第1章ではいわゆる西洋ファンタジー的な舞台で、2章以降はアジアンテイストな風景が見られ、モンスターの生態系も変わり『モンスターハンターライズ』のモンスターも登場するようになります。
また、モンスターのデザインの落としどころにもこだわりました。「鱗の情報量をどれくらいにすると良く見えるか」など、気を付けています。

若原 大資氏(以下、若原氏):
僕は「モンスター図鑑」【※】も好きですね。
※モンスター図鑑
一度戦ったことのあるモンスターは、図鑑に登録される。メニュー画面からいつでも見ることが可能で、主人公の手書き風のビジュアルが特徴となっている。
川野氏:
「モンスター図鑑」は「主人公がモンスターの姿を手記に書き記す」というテイストを表現するため、手描き風のデザインにしています。
本作に登場するモンスターの全体像を観れるようにしておりますので、ぜひ楽しんでいただきたいですね。とくに時間をかけました。
