圧倒的なビジュアル、そしてアクション。世界規模で展開されるオープンワールドアクションRPG『鳴潮』にて、2月5日、物語の鍵を握る少女・エイメスが実装された。
今回、エイメスのボイス収録は「原音(海外版の音声)」にあわせて声をあてる、いわゆる「外画」の吹き替えのような収録スタイルで進められる予定だったという。
「私が思うエイメスを演じてもいいですか?」
そんな状況で、エイメスを演じる声優の佐藤聡美さんは開発チームにひとつの提案をした。
本来であれば、原音の尺やリズムにあわせて日本語版ボイスを収録するのがセオリーだ。だが佐藤さんは、エイメスのキラキラとしたアイドルのような外見の裏に隠された、彼女の「震えるほどの寂しさ」と「虚勢」に気づいた。
だからこそ、日本語ならではの表現を使っての、独自のアプローチに挑戦しようとしたのだ。
「佐藤さんに託します」
開発チームの回答はYESだった。
エイメスといえば、ピンク色の髪に愛らしいルックス、そして電子アイドルとしての華やかな一面を持つキャラクターだ。しかし、メインストーリーで明かされる彼女の運命は、あまりにも過酷だ。
佐藤さんは語る。エイメスは「愛の人」である、と。
そして、その想いは単なる愛情なだけではなく、「家族愛」にも似た深い絆で……。プレイヤーである漂泊者に「元気な子」だと思わせることこそが、エイメスなりの愛なのだというのだ。
「宝物のような出会いがありました」
佐藤さんは自身のXアカウントにて、エイメスとの出会いを「宝物」と表現していた。素敵な役との巡り合わせ、エイメスのキラキラしたビジュアル、物語の中で見せるエイメスの姿そのもの。それらすべてが佐藤さんの心を深く動かしたからこその言葉だった。
宝物のような出会いがありました。
— 佐藤聡美。 (@satosatomi58) January 19, 2026
わたしは、大切な皆様に
エイメスという女の子のことを知って欲しいのです。
どうか、是非 ご覧ください。#鳴潮#エイメス https://t.co/5fEhY7EIpd
今回のインタビューでは、そんなエイメスという少女がいかにして形作られたのか。佐藤さんが、エイメスというキャラクターといかに向き合い、いかに愛を注いだのかをたっぷりと語っていただいた。
ハンカチ必須の物語を終えた人も、これから旅に出る人も、ぜひ佐藤さんがエイメスに込めた「重く、純粋な愛」に触れてほしい。
※この記事は『鳴潮』の魅力をもっと知ってもらいたいKURO GAMESさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
「私が思うエイメスを演じてもいいですか?」。原音にあわせるスタイルから、自分なりのアプローチで臨んだ日本語版エイメスのボイス収録
──『鳴潮』はグローバル展開されており、多言語対応の作品ですが、日本版の収録にあたっては、どのようなスタイルで進められたのでしょうか?
佐藤さん:
もともとは、向こうの役者さんが演じられた「原音(海外版の音声)」にあわせて声をあてる、いわゆる「外画」の吹き替えのような収録方法でした。
原音の方のお芝居も本当に素敵でした。ただ、収録で演じるセリフの量が増えるにつれて、「私を選んでもらった意味」をちゃんと見出していかないと、中途半端になっちゃうかもしれないな……という怖さが生まれてきたんです。
──怖さ、ですか。
佐藤さん:
はい。せっかくエイメスというキャラクターに出会えたのだから、私がプレイヤーさんに届けたい解釈、彼女をより深く知ってもらうためのアプローチを追求したかったんです。
そこで「私が思うエイメスを演じるチャンスをいただけますか?」と交渉させていただきました。そうしたら「いいですよ!」って言ってくださって。
──なんと! 佐藤さんの想いを受け止めてもらえたわけですね。
佐藤さん:
もちろん、ムービーで尺の制限がある場合やピンポイントで重要な部分は原音のリズムを大切にしつつ、それ以外は「佐藤さんに託します」と言っていただけました。託されたからには「ここに懸けるんだ!」という強い気持ちで演じています。
原音のエイメスさんの、軽やかでいたずらっぽい可愛らしい部分はしっかり継承しつつ、「日本語版ならでは」の深みもプラスできていたらと……。世界のみなさんが持つエイメスのイメージを崩さずに、佐藤聡美としての色も感じていただければ本望です。
──今回のように、ご自身から「原音とは違うアプローチで演じたい」と提案することは、よくあるのでしょうか?
佐藤さん:
いえ、じつはこれが初めての経験なんです! 海外ゲーム作品に関わらせていただくことはあるんですけど、そもそも原音が手元にないケースも珍しくありません。
けれど今回は原音が用意されていて、『鳴潮』というゲームが世界観をすごく大事に作られていることが伝わってきました。
だからこそ私も、そのこだわりに全力で応えたくて。「ご迷惑でなければ……」と、おそるおそる切り出してみたら受け入れてくださって……本当にありがたかったです。
──開発チームと連携して作り上げた「日本語版のエイメス」ですが、プレイヤーのみなさんにその声が届いたときの反応はご覧になっていましたか?
佐藤さん:
もちろんです。プレイヤーさんに初めてエイメスの声を知ってもらえたのが、Ver3.0に入る直前のラジオのボイスだと思うのですが、公開されたとき、みなさんがすぐに「佐藤さんだ!」と気づいてくださって驚きました。
その後、新キャラクターのビジュアルが公開されたときも「佐藤聡美(が演じるのは)は誰だ?」という考察も、こっそりチェックしていたんです!(笑)
エイメスだと判明したときの「このピンク髪のキャラだったのか!」という反応も含めて楽しく拝見していました。
喉を痛めても構わない。ショートアニメで見せた泥臭くも美しい“絶叫”は、虚勢を張ってがんばる「普通の女の子」の姿を表現
──そんななか、ゲーム本編実装に先駆け、エイメスの過去が描かれるショートアニメ「救う」が1月18日に公開されました。その発表にあわせて、X(旧Twitter)にて、佐藤さんはエイメスとの出会いを「宝物」と表現されていましたよね。
佐藤さん:
いろいろな意味を含めて、「宝物」という表現をさせていただきました。
私の声優としてのキャリアの中で、こんなにも素敵な役に出会えたこと。それは間違いなく、私にとっての「宝物」です。
そして、エイメス自身のビジュアルもキラキラしていて、彼女そのものがまるで宝石や宝物みたいだな、と感じたことも理由のひとつですね。
──たしかに、ピンク色に輝く髪の毛をはじめ、彼女のキャラクターデザインはとても素敵です。
佐藤さん:
なにより印象的だったのは、彼女が漂泊者との思い出を語る姿です。彼女は記憶のひとつひとつを、本当に大切に扱っています。
その様子はまるで、子供のころ一番大事な物だけを集めたお菓子の缶を、そっと開ける時の感覚に似ていて……。私自身も、そういう感覚を大切に持ちながらお芝居をしていました。
──壊れないように、そっと大切に扱う感覚ですよね。
佐藤さん:
そうですね。ゲーム実装前ですし、プレイヤーさんも彼女のことをあまり知らない状態でのキャスト発表でしたから、あんまり多くを語らないほうがいいとも思いました。
そのなかで、私の今の気持ちを言葉にできるとしたらこれだな……ということで「宝物」という言葉を使いました。
この言葉から、「ああ、佐藤にとって大切なキャラクターなんだな」と感じとってもらえたらうれしいです。
──たしかにショートアニメの展開は胸にくるものがあったのですが、そんななかで「05:00」前後の叫び声の演技がすごく印象に残っています。叫び声がすごく太いなと。
佐藤さん:
あのショートアニメは、映像がすごくかっこよくて、それにあわせてビシッと決めるお芝居もできたとは思うんです。
でも、エイメスって本当は普通の女の子なんですよね。そんな子が、世界を救うために踏み出す第一歩だとしたら、もっと必死で、もっと泥臭いものじゃないと嘘になる気がして……。
だから、あえて「がなる」というか、「は゛ぁ゛っ゛!」と濁点がつくような、なりふり構わない声を意識しました。

──普通の女の子というのは?
佐藤さん:
エイメスには「学園の中心」や「明るい」、そして「救世主」といった華やかなワードがついて回ります。シナリオを見ると「なんでもできる子」みたいなイメージにもとれるんです。
私も最初はそういう先入観で見ていたんですが、彼女を深く知るにつれて実際は「ただの普通の女の子」という印象に変わりました。普通の女の子だけど、すごく芯が通っているというか……ネガティブな思考にならないように、必死にがんばっている女の子なんです。
「かっこいい姿」や「人気者」といった部分は、あくまで上澄みの部分というか、彼女自身が「こう見せたい」と努力して作り上げている側面でもあります。
だから私は、彼女の年齢相応の感性や、幼少期にメソメソしたり不安になったりしていたバックボーンのほうを大切にしました。「本当はちょっとミーハーなところもある、普通の女の子なんだよ」という部分を理解して演じることに意味があると思ったんです。
──なるほど……。そうした「等身大の女の子」という解釈があったからこそ、あの叫びが生まれたわけですね。
佐藤さん:
そんなエイメスにとって、あんなふうに叫ぶのってあの場面が初めてだと思うんです。なので必死さや、音が安定していない感じを出したくて、自分から何度かリテイクをお願いしました。
「叫んだらこの後は声がガラガラになっちゃうかも……」とも思ったんですけど、「多少ガラガラになっても、しっかりケアをすれば明日の仕事には大丈夫!」と計算もしたうえで、全力で叫ばせていただきました。
──ええっ、そこまで冷静に計算して⁉
佐藤さん:
そうなんです。翌日のお仕事のことも考えたうえで、「よし!」って踏み込ませてもらいました(笑)。
エイメスの決意のこもった叫びなので、悲しいお話ではあるんですけど……くり返し見ていただけたらうれしいです。
第一印象は「キラキラした人気者」。でもまさか、あんな過酷な運命が待っているとは
──ここからは、そんなエイメスという役に佐藤さんがどうアプローチされたのか。役作り、演技の裏側についておうかがいしていければと思います。まず、エイメスを演じることになった経緯について教えていただけないでしょうか。
佐藤さん:
オファーをいただいたのがきっかけです。
『鳴潮』といえば、街中のいたるところで大きな広告を見かけますし、私の周りにもファンがたくさんいて、すごく有名なタイトルですよね。
だからオファーがきたときは「すごい!」と驚いてしまって、もうドキドキしながら、「ぜひ!」とお返事させていただきました。
──初めてエイメスのキャラクター資料やビジュアルをご覧になったときの第一印象はいかがでしたか?
佐藤さん:
最初に思ったのは、「わ、すごくかわいい!」でした。
資料には「学園の中心的な人物である」といった設定も書かれていたので、「明るくてかわいくて、みんなの輪の中心にいるようなタイプ」という、キラキラした女の子をイメージしました。
ただ、正直なところ、本編のストーリーに入るまでは、どんな役なのかあんまりわかっていなかったんです。
──と、言いますと?
佐藤さん:
最初はラジオから声が聞こえてきたり、突如現れる謎の少女として描かれますよね。私もプレイヤーのみなさんと同じで、「この子はいったい何者なんだろう……?」という状態でした。
もちろん、資料には目を通していたんですが、メインストーリーの台本を見るまでは、彼女がここまで重要なキャラクターだとは想像もしていませんでした。
だから、蓋を開けてみたら……「あれ? エイメス、なんかすごいことになってない!?」ってびっくりしちゃいました(笑)。
──演じている本人から見ても謎なキャラクターだったんですね(笑)。
佐藤さん:
恐らく、制作側の意図として「変に作り込ませないために、あえて情報を与えない」という判断があったのだと思います。
他の作品でもよくあることですが、先の展開を知ってしまっていると、無意識のうちに「それを知った体(てい)」のお芝居」になってしまうことがあるんです。
原作がある作品でも、連載中ならその先の展開が伏せられることもあるので、今回もそういう意図があったのかなと。
──もし最初から彼女の過酷な運命を知っていたら、佐藤さんのなかで演技プランは変わっていたと思いますか?
佐藤さん:
そうですね……。エイメスの影の部分を知ってしまっていたら、どうしてもちょっと「しんみり」した部分が出ちゃったかもしれません。だから、最初に情報を与えられすぎなかったのは、結果としてすごくよかったなと思います。
──とはいえ、手探りのなかでの収録は、それはそれで大変ですよね。
佐藤さん:
本当になにもわからない状態だったので、仕事で一緒になった上田瞳ちゃん(ザンニー役)を捕まえて、いろいろ情報を教えてもらいました。
──ザンニーはVer2.3で実装されたキャラクターですが、エイメスが登場するVer3.0の世界観とはガラリと異なります。お互いに知っている情報が違いすぎて、逆に混乱しませんでしたか?
佐藤さん:
そうなんですよね。「学園もので……」と瞳ちゃんに話したら「え? 学園になるんですか⁉」と驚いていました(笑)。






