歴史は一代だけではない『蒼き狼と白き牝鹿』
小日向:
では、『蒼き狼と白き牝鹿』についてお願いします。
シブサワ:
コレ、写真右下ね……。
シブサワ・浜村:
オルド!
浜村:
(笑)。オルドいっぱいしたなー。ゲームの中でだけど(笑)。
シブサワ:
私もオルドが一番好きなコマンドでした(笑)。
浜村:
(笑)。身内は裏切らないし。一生懸命オルドして身内で固めましたよね。
シブサワ:
ラッチっていうすごい女性がいましたねぇ、捕まっちゃうんですけど(笑)。
浜村:
(笑)。
小日向:
オルドというのはキャラクター? か何か???
シブサワ:
オルドは「女性と仲良くなって、結婚して子供ができる」っていうコマンドでして。歴史シミュレーションゲームの中で、そういう家族的な要素を入れたのは初めて(笑)。
小日向:
「家族を作ること」をコマンドに!?
シブサワ:
非常に家族的な要素ですね。「子どもたちを次の世代の武将に仕立てていく」なんて要素も入れました。私、けっこうルンルンでプログラムしてました(笑)。
浜村:
編集部でゲームをやってるときに後ろから見られていると、オルドできなかったですね。「おまえ早くやれよ」「いやいやおまえ向こう行けよ」なんて、そんな感じで……(笑)。
小日向:
なんかやましいことしている感じが……(笑)。
浜村:
やましいことはしてないんですけどね。ただ、ゲームを進めて身内を増やしたいだけなんですけどね……。
小日向:
いろいろな思い出話が飛び出してきましたけれども、歴史シミュレーションゲームの面白さは、シブサワさんはどういう風に感じていらっしゃいますか?
シブサワ:
一番面白いのは、「自分で自分なりの歴史を作っていける」というところが、この歴史シミュレーションゲームの醍醐味じゃないかなと私は思うんです。
現実の歴史がありますが、それとは違う自分の新しい歴史の“if”を試しながら、自分なりの戦国時代を作っていく。自分なりの三国志の物語を作っていけるーーそれがシミュレーションゲームの一番の楽しみじゃないかなと思います。
小日向:
ありがとうございます。浜村さんはいかがでしょうか?
浜村:
「自分は趙雲が好きだ」とか「秀吉が好きだ」とか、自分の好きな武将、国がありますよね。その好きな武将や国を主人公として、ストーリーをずっと追える。しかもそのストーリーが毎回変わるじゃないですか? ストーリー展開がドラマとして、すごく楽しかったなって思う。だから何回も何回も繰り返して遊んできて、愛されてきたんじゃないかなって気がしますね。
小日向:
ちなみに、お気に入りのキャラクターとか人物とか。
浜村:
ボクは車懸りはキライ(笑)で、武田信玄が一番好きな方なんですけども(笑)。
小日向:
啄木鳥(きつつき)のほうが(笑)。
シブサワ:
ちょうど画面に『水滸伝』が出てますね。これも人気があったゲームですね。パッケージの絵、やっぱり生頼範義(おおらいのりよし・1935年11月7日—2015年10月27日)さんの絵はすごく迫力があるんですよね。
私、生頼さんの絵がすごく大好きで、歴史シミュレーションゲームに非常にイメージが合いましたので、『信長の野望』『三國志』『水滸伝』、『大航海時代』も生頼さんに絵を描いてもらって。本当に、絵だけでドラマを感じますよね。
浜村:
そうですね。絵を見た瞬間、キャラクターが誰かわかるし。
小日向:
虎と闘っているのは武 松(ぶ しょう)だね、とか。
シブサワ:
ナポレオンを主人公にしたヨーロッパでのシミュレーションゲーム『ランペルール』、これも人気がありました。懐かしいな……。これも生頼さんですね、パッケージは。
シブサワ:
これは『大航海時代』ですね。今でも人気があって、『大航海時代Online』やスマホのゲームで人気の『大航海時代Ⅴ』もあります。
小日向:
皆さんコメントでもいろいろ思い出を語ってらっしゃいますね。
浜村:
同窓会みたいになってる(笑)。
小日向:
『水滸伝』が一番好きって、けっこう熱いファンのコメントも。
シブサワ:
「火計」「火計」って言葉が飛んでましたけれど(笑)。
シブサワ:
『ヨーロッパ戦線』——これも生頼さんのパッケージですね。
浜村:
懐かしいな。
小日向:
『ロイヤルブラッド』。
シブサワ:
これも生頼さんのパッケージ(笑)。
浜村:
ドラマを感じるんですよね。すばらしい。
シブサワ:
『太閤立志伝』、これは立身出世物語なんです。非常に人気がありました。
小日向:
こちらに実物が。すごい、秀吉の顔がリアルですね、取り巻く人たちが。大谷吉継公とか、茶々さんとか……。
シブサワ:
この中に石田三成はいないみたいですね。あ、そういえばこの前(※テレビ番組NHK BSプレミアム「ザ・プロファイラー〜夢と野望の人生〜『関が原に散った男の大志〜石田三成〜』」の収録)は、どうもお世話になりまして(笑)。
小日向:
こちらこそありがとうございました!
シブサワ:
いやあ、あのとき小日向さんが“ミツナリスト”って話されてたんですけれど、ミツナリストって言葉が存在していることさえビックリしました(笑)。
小日向:
誰が言い出したかわからないんですが、広めていきたいと思います。
浜村:
その番組、拝見してました。三成公って呼んでらっしゃいましたよね。
小日向:
そうですね。なので、秀吉は“秀吉様”みたいな存在です。ゲームをきっかけに歴女になる友だちがたくさんいますよ。歴史ファンを増やしていただいて、本当にありがとうございます。
シブサワ・コウ、新作『三國志13 with パワーアップキット』『仁王』を語る
小日向:
では最後に、皆さん気になっているかと思いますが、『三國志13 with パワーアップキット』や『仁王』など、最新作についてお話いただきましょうか?
シブサワ:
いよいよ『三國志13』のパワーアップキットが12月22日に発売になります。武将プレイを楽しめるゲームとして、『三国志13』は非常に人気があるんですけれども、さらにそれを大幅にバージョンアップしようと、“威名”というシステムを入れました。
そのほかにもさまざまな要素が入っているんですが、それについては後ほど、プロデューサーからみなさまにお話があると思います。
とにかく、『三國志13』として、自信を持って皆さまにご紹介できるよう大バージョンアップを固めていますので、ぜひお楽しみいただきたいと思います。
小日向:
そして、もうひとつ。
シブサワ:
『仁王』ですね。
浜村:
『仁王』いいですね。
シブサワ:
この間の東京ゲームショウのステージで、5回目にボスをやっと倒せた……。
浜村:
良くクリアできましたね。(見ていて)手に汗握りました。
シブサワ:
あのときは本当に私、大変でした。自分が勝てないと10名の方々に『仁王』のポスターを差し上げられないっていうのがあったから(笑)。
浜村:
鯉沼さん(鯉沼久史 こいぬまひさし・『仁王』プロデューサー)も、早矢仕さん(早矢仕洋介 はやしようすけ・『仁王』ディレクター)もクリアできていなかったらしいですよね。
シブサワ:
そうなんですよ。そこらでバタバタバタと、落命して赤いマークが出ているんです。で、「5回目で最後!」って言われちゃったんですが、なんか偶然に勝てちゃったんですよね。“ゲームの神様”が降臨したんですよね〜。
そんな『仁王』、来年2月9日発売になります。
浜村:
最初の発表から10年待ちました。
小日向:
構想10年以上なんですか?
シブサワ:
実際に作り始めて10年経っているんですよ。
浜村:
最初の発表会のとき、取材に行ってましたからね(笑)。
シブサワ:
何回も発表会に足を運んでいただいて、行く度に内容が変わってるっていう……(苦笑)。
浜村:
「週刊ファミ通」に発売前の人気ゲームをランキングで紹介する“期待のルーキー”というコーナーがあるんですけれど、そのコーナーに10年間ずっとランクインしているっていう(笑)。おそらくこんなに長くランクインするゲームは、二度とないんじゃないかな(笑)。
シブサワ:
そう思うんですけどね(笑)。最近はずっと「期待のルーキー」タイトルの1位を、ずっと連続して保持しています。本当にありがたいことです。
シブサワ:
それから、もう1つ、皆さまにご報告したいことがあります。それは、今日(10月27日)『ベルセルク無双』が発売になりました!
小日向:
おめでとうございます! 『無双』史上最凶の!!
シブサワ:
ありがとうございます。プロデューサーはコーエーテクモゲームスの社長の鯉沼です。本当に頑張って作っていましたので、みなさん『ベルセルク無双』、ぜひ楽しんでください。
小日向:
ぜひ、みなさん今日から発売ということで、チェックしてみてください。貴重なお話をありがとうございました。
ちなみに、先ほどお話いただいた『川中島の合戦』は、12月22日発売『三国志13 with パワーアップキット』のWindows版で予約特典となっておりますので、予約をしてこれを機会にぜひ歴史的名作をプレイしてみてください。
浜村さん、いかがでしたか?
浜村:
なんかもう、懐かしいやらなにやらで。音楽もそうですけど、ゲームって、昔の絵を見るといろいろなそのときの思い出が蘇りますよね。食えなかった頃の苦しかった思いとか、そういうのがいっぱい出てきて、すごく懐かしかった。
シブサワ・コウさんは、歴史シミュレーションゲームを―—コンシューマだけでなくガラケーだったりスマホのバージョンがありますが―—ずっと続けてくださっています。プレイするたびに、毎回毎回新しいストーリーを楽しめる。同じ歴史でも、いろいろな形を提示してくれるので、すごく楽しませていただいていると感じています。感謝します。
シブサワ:
ありがとうございます。
小日向:
私は35年前ってまだ生まれてなかったんですけども、35年前の10月26日から今の『信長の野望』や『三國志』のシミュレーションゲームが始まったと思うと、胸が熱くなってきましたね。
と、ココでシブサワ・コウへのサプライズプレゼント!
小日向:
ということで、さあ、35周年を記念して、こんなものを用意しちゃいました! お願いします!!
シブサワ:
え!?
浜村:
すごいこの絵!
シブサワ:
真ん中のグラフィックのところ、食べられるのかな?
小日向:
これ、チョコレートかお砂糖になっていると思います。
シブサワ:
すごい!
小日向:
食べるのモッタイナイ! 武田信玄と上杉謙信が……。
浜村:
すばらしい。
シブサワ:
ありがとうございます。ケーキカットするの!?
小日向:
ケーキ入刀!
シブサワ:
結婚式以来! え? 日本刀で!?
小日向:
日本刀が出てきました。本当にサプライズで、今、驚いていると思うんですけども。
浜村:
日本刀なら斬れますねきっと(笑)。
シブサワ:
この間の『仁王』のステージを思い出しちゃったな。……どういう風に切るのこれ!?
小日向:
今(コメントで)もったいないって言ってました(笑)。
シブサワ:
横にしちゃう? こうやって。じゃあ、ここに。
小日向:
ケーキ入刀、お願いいたします。
浜村:
切れる切れる(笑)。
シブサワ:
本当だ! 切れる(笑)。
小日向:
信玄と謙信が真っ二つに分かれました。日本刀でケーキを切るシーンを初めて見ましたね。
シブサワ:
ビックリしました! ついこの間『仁王』で、コントローラーで刀を使って闘っていたもんですから。いやいやビックリ、ありがとうございます。長生きするものですねぇ。
エンディングでシブサワ・コウからのサプライズ発表!?
小日向:
それでは最後にシブサワ・コウさんから一言いただいて、このコーナーを締めたいと思います。お願いいたします。
シブサワ:
35周年を迎えまして、本当に嬉しさと皆さまへの感謝の気持ちで心がいっぱいです。
これからも、歴史シミュレーションゲームだけでなくて、新鮮な楽しい、本当にこれは面白いねって皆さんが思ってくださるゲームをずっと作っていきたいなと思っています。
それで、今日はですね。ご覧になっている皆さま方にひとつサプライズのニュースをお届けしたいと思います。
小日向:
サプライズ返し? なんでしょう?
シブサワ:
『信長の野望』のNintendo Switch版を作ります!
浜村:
ちょっと待ってくださいよ!? Nintendo Switchって、まだ任天堂も何のタイトルを出すか発表していないはずなんで、おそらく世界で初めて、Nintendo Switchのタイトルを言っちゃった(笑)。
シブサワ:
言っちゃいましたから、もうあとに引けない(笑)。
小日向:
フライングすぎると(笑)。
浜村:
Nintendo Switchで『信長の野望オンライン』出ますよきっと(笑)
シブサワ:
任天堂さんから怒られるかもしれないけど、もう、言っちゃったから。
小日向:
はい。言っちゃいましたね。皆さん聞いてましたよね? ということで、どうぞ楽しみにしてください!
以上ありがとうございました。トークセッションでした。
シブサワ・コウ氏と浜村氏による、歴史シミュレーションゲームの思い出トークに花が咲いたこの番組。放送中は「懐かしい」「よくプレイしていた」といったコメントが数多く寄せられていたので、番組をチェックした方も出演者と一緒に当時を振り返ったひとときを過ごしていたようだ。
「10月26日は歴史シミュレーションゲームの日」と、正式に記念日として制定されたことを契機に、ゲームファンを夢中にさせてくれる歴史シミュレーションゲームが、さらに登場してくれることを大いに期待したい。