9月7日に発売されたInsomniac Gamesのオープンワールドアクションゲーム『Marvel’s SPIDER-MAN』が、世界的に成功をおさめている。
売上では、イギリスの9月2日から8日の週のセールスチャートで1位になったことをgamesindustry.bizが報告している。
初週の売上本数は、今年発売されたもうひとつのPS4専売タイトルである『God of War』を抑え、さまざまなプラットフォームで販売された『Far Cry 5』が保持していた2018年の最速売上記録を更新。今年最大の初週売上記録となった。
また、昨年11月に発売された『Call of Duty: WWII』のPlayStation 4版が記録したプラットフォーム個別の販売記録も更新。同じマーベル作品のゲームと比較しても、これまでイギリスで最大の初週売上を記録した『LEGO Marvel Super Heroes』を超えるセールスを記録している。
なおイギリス市場でもっとも売れたスーパーヒーローゲームは、2015年に発売されたDCコミックス作品の『Batman: Arkham Knight』から変わらず。ただし、これらの販売数に近年伸び続けるデジタル販売での売上は含まれていない点は留意したい。
『Marvel’s SPIDER-MAN』の成功は売上だけではない。レビュー集積サイトMetacriticでは9月10日現在で平均87/100ポイント、ユーザー評価においても8.2/10ポイントと高い評価を受けている。
特に評価を受けているのが、ゲームでもっとも特徴的なウェブスイングによる爽快感の高い高速移動だ。ニューヨークの摩天楼の合間を縦横無尽に飛び回る快感は他にないものとして、さまざまな媒体で評価されている。
その他にも『Batman: Arkham』シリーズを踏襲しながら、スパイダーマンならではのアクションもふんだんに取り入れた戦闘や、広大なフィールドにもかかわらず素晴らしいクオリティで描写されるグラフィック、そして何より過去のスパイダーマン作品への愛を感じさせる作りが評価されている。『Batman: Arkham Asylum』以来のヒーローゲーム最高傑作と称賛する声も多い。
ゲームレビューでは見えない点で評価されている部分もあり、それがSNS映えする作りだ。Twitterのハッシュタグ「#SpiderManPS4」では、国内外問わず世界中のスパイダーマンたちが自身のゲームプレイやフォトモードで撮影した作品を公開している。
フォトモードはさまざまなフィルターやフレーム、スタンプが用意されており、絞りや焦点距離といった数値の設定も用意されていて、かなり自由に撮影を楽しむことができる。
SNSにアップロードされているのは、摩天楼の間を自在に飛び回る姿やかっこよく悪人を退治するスーパープレイだけではない。それとは逆に「下手くそ」だと自身のゲームプレイを紹介するプレイヤーも少なくない。
失敗やおちゃめなシーンであっても映えるのは、これまで積み重ねてきたスパイダーマンの人となりのおかげというのもあるが、それを許容するゲームを作り上げたInsomniac Gamesの優れたゲーム開発手腕の力も大いにあるだろう。
大きな期待を受けてついに発売された『Marvel’s SPIDER-MAN』は、膨れ上がった期待に負けない素晴らしいゲームに仕上がっている。特に発売後のSNSの盛り上がりは大きく、アップロードされる作品は見ているだけでも楽しい。
あなたも、ゲームを通して世界中に増え続けるスパイダーマンのひとりになって、ニューヨークの平和を守ってみるのはいかがだろうか。
文/古嶋 誉幸