KADOKAWAは昨年PCで発売した夢探索アドベンチャー『YUMENIKKI -DREAM DIARY-』をNintendo Switchに移植することを発表した。発売日は2月21日。あらかじめダウンロードは2月7日からできるようになる。
本作は2004年に発売された名作『ゆめにっき』を、現代風にリメイクしたもの。RPGツクール2003で制作された『ゆめにっき』は、フリーゲームとしては発表されてから徐々に口コミで人気が広がっていき、二次創作や影響を受けたゲームが数多く生まれた。制作者のききやま氏の不思議な世界観に、日本だけではなく海外でも魅了された人が多く、カルト的な人気を誇るゲームだ。
その内容は少女が見ている夢のなかを探索するゲーム。だが、明確な目的は提示されず、プレイヤーはひたすら広大なフィールドを夢遊病のように歩き回ることになる。その夢のイメージは抽象的だがバラエティに富んでおり、その幻想的で深沈としたイマジネーションに長時間漬かっていくと、まるで陶酔するかのような感覚に誘われる。
そんな『ゆめにっき』をききやま氏の承諾を得た上で、リメイクしたのが本作『YUMENIKKI -DREAM DIARY-』だ。開発はアクティブ・ゲーミング・メディアが制作している。トップビューの『ゆめにっき』から、3D空間に変わっているが、本質的には横スクロールの2Dアドベンチャーゲームになっている。ジャンプが可能であり、ゲームの主軸ではないものの、オリジナルと比べるとアクション性が高まっている。
先にPC向けにリリースされた本作が賛否両論な点は、『ゆめにっき』の陶酔する感覚が薄いということだろう。『ゆめにっき』から特徴的なアートスタイルは多く受け継いでおり、それを3Dに描き直したグラフィックは見事で、オリジナルをプレイしている人でも新鮮に感じられる。しかし本作が横スクロールであるがために自由度は失われており、自分の位置すら見失ってしまうほどの広大なフィールドを彷徨っている感覚は再現できていない。
とはいえ、本作はあくまで数多くある『ゆめにっき』の解釈のひとつ。従来の横スクロールアクションのゲームに近づいて遊びやすくなった『ゆめにっき』といえる。『ゆめにっき』が肌に合わなかったという人も、『YUMENIKKI -DREAM DIARY-』から入ると、より『ゆめにっき』の距離が縮まることだろう。また『ゆめにっき』が不思議な作品なだけに、その良さを中々言葉にしづらい部分があると思うが、本作を通して、『ゆめにっき』の神秘や極意といったものに少しでも近づくことができるかもしれない。
ライター/福山幸司