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開発者が選ぶGDCアワード2019で『ゴッド・オブ・ウォー』がゲーム・オブ・ザ・イヤーに。IGFアワードでは『Return of the Obra Dinn』受賞

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 サンフランシスコで開催されるゲーム開発者のための祭典「Game Developers Conference」(GDC)では、「The Game Developers Choice Awards」(以下、GDCアワード)と、インディーゲームを中心とした「The Independent Games Festival」(以下、IGFアワード)というふたうの授賞式が毎年執り行なわれており、このたび2019年度の名誉あるゲーム・オブ・ザ・イヤーがそれぞれ決まった。

 GDCアワードは、最多ノミネートの『レッド・デッド・リデンプション 2』を下して、『God of War』がゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞。IGFアワードは『Return of the Obra Dinn』がゲーム・オブ・ザ・イヤーが受賞した。

開発者が選ぶGDCアワード2019で『ゴッド・オブ・ウォー』がゲーム・オブ・ザ・イヤーに。IGFアワードでは『Return of the Obra Dinn』受賞_001
(画像はPlayStation.com | God of Warより)
開発者が選ぶGDCアワード2019で『ゴッド・オブ・ウォー』がゲーム・オブ・ザ・イヤーに。IGFアワードでは『Return of the Obra Dinn』受賞_002
(画像はSteam | Return of the Obradinnより)

 『ゴッド・オブ・ウォー』のゲーム・オブ・ザ・イヤーはThe Game Awards、DICEと続き3冠。これは昨年の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』と並ぶ快挙だ。

 スパルタの神であるクレイトスがギリシャの神々との戦いの果てに、北欧に流れ着く。過程を築き、平穏な日々を送っていたが、妻に先立たれてしまう。「遺灰を九界で一番高い山の山頂から撒いてほしい」という遺言を叶えるため、息子のアトレウスと共に旅に出るアクション・アドベンチャーだ。息子との関係性を描いた繊細な心理描写、旅の目的が遺灰撒くという巡礼的なストーリー、派手なアクションや場所移動があってもシームレスに繋がり続ける、カットを割らない映像などが高く評価されている。

 『Return of the Obra Dinn』は、『Papers, Please』で一躍注目を集めたルーカス・ポープ氏の作品。1800年初頭を舞台に、行方不明を経て、遺体と遺品しかない無人の船として発見された商船Obra dinnを調査する、東インド会社の調査員が主人公のゲーム。不思議な懐中時計の力で、Obra Dinn号が辿った運命を解き明かす。80年代後半のMacintosh風のモノクロームなグラフィック。キャラクターの名前と容貌、死因を調査するというシンプルな謎解きながらも、メモを取りつつ熟考しないと解き明かせない高い難易度が評価されている。

 2019年度の各受賞作品は以下の通り。

■「The Game Developers Choice Awards」受賞結果
最高のオーディオ:『Celeste』 (Matt Makes Games)
最高のデビュー:Mountains (『Florence』)
最高デザイン:『Into the Breach』 (Subset Games)
最高のモバイルゲーム:『Florence』 (Mountains)
イノベーション賞:『Nintendo Labo』 (Nintendo EPD /任天堂)
最高の物語:『Return of the Obra Dinn』 (ルーカス・ポープ / 3909)
最高の技術:『レッド・デッド・リデンプション2』 (ロックスター・ゲームス)
最高のビジュアルアート:『Gris』 (Nomada Studio / Devolver Digital)
最高のVR / ARゲーム:『Beat Saber』 (Beat Games)
観客賞:『Beat Saber』 (Beat Games)
ゲーム・オブ・ザ・イヤー:『ゴッド・オブ・ウォー』(ソニーサンタモニカ/ソニー・インタラクティブ・エンタテインメント)
パイオニア賞:小玉理恵子
生涯達成賞:エイミー・ヘニング

 

■「The Independent Games Festival」受賞結果
卓越したビジュアルアート:『Mirror Drop』(Ian Lilley)
卓越したオーディオ:『Paratopic』(Arbitrary Metric)
卓越したデザイン:『Opus Magnum』(Zachtronics)
卓越した物語:『Return of the Obra Dinn』(ルーカス・ポープ)
Nuovo賞:『Black Room』(Cassie McQuater)
ベスト学生向けゲーム:『after HOURS』(Bahiyya Khan, Claire Meekel, Tim Flusk, Abi Meekel)
観客賞:『ETHEREAL』(Nonsense Arts – Nicolás Recabarren and Tomás Batista)
ID @ Xboxゲーミングヒーローズ賞:Jerry Lawson
alt.ctrl.GDC賞:『HOT SWAP: All Hands On Deck』(Peter Gyory, Clement Zheng)
セミナマクナリー大賞(ゲーム・オブ・ザ・イヤー):『Return of the Obra Dinn』(ルーカス・ポープ)

 GDCアワードの対象は同年度に発売されたすべてのゲームタイトルで、各国のゲーム業界を牽引するクリエイターで構成される団体「International Choice Awards Network」(ICAN)が選考している。またIGFアワードは、約300人のインディー、メジャー含めたゲーム業界の代表者が前年の作品を推薦して選別。そこからIGF組織委員会によって選出された別の審査員の投票によって最終的に決定する。

ライター/福山幸司

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ライター
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福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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