1985年に発売された『スーパーマリオブラザーズ』のスピードランは、発売から30年以上が経った2019年に入っても記録が更新され続けている。2週間ほど前、ランナーのtavenwebb2002氏が特定のワープ技が認められる「Any%」ルールで世界記録を更新したことも記憶に新しい。
一方、ワープなしスピードランの記録でも更新合戦も激化。5日前に19分0分954という記録がスピードラン記録集積サイト「Speedrun.com」に登録されたが、一週間も絶たないうちにKosmic氏によって世界記録が更新された。その新たな記録は18分59秒856。『スーパーマリオブラザーズ』のワープなしスピードランにおいて、人類はついに18分台に足を踏み入れた。
世界記録更新の模様は動画でも残されており、Kosmic氏は当たり判定を完璧に把握した無駄のないプレイングで危なげなくステージを攻略していったが、挑戦中に表示される心拍数は最終面の「8-4」にて大きく上昇する。
これまで18分台の記録を達成するチャンスは何度もあったKosmic氏たが、最終ボスである本物のクッパがそれを阻んでいた。偽クッパはファイアーマリオのファイアーで倒すことでタイム短縮につながるが、最後のクッパは背後の斧を取って橋を落としたほうが速いのだ。その斧を取るには、クッパのランダムなジャンプとハンマーによる攻撃をかわしつつ、最速で背後へと潜り込まなければならない。
しかし、今回の挑戦では4度目にようやく最後のクッパを華麗に倒し、18分台の記録を達成した。記録を見た瞬間、Kosmic氏の心拍数は最高176まで上昇。クッパに出会う直前の160台の心拍数は緊張で上昇していたと思われるが、記録更新後はさらに大興奮していたことがわかる。
Kosmic氏は自身のTwitterアカウントで、12年以上にも及ぶ『スーパーマリオブラザーズ』のスピードランの歴史の中で破ることのできなかった19分の壁をついに破ったとツイート。多くの人々に祝福されている。
しかし、この記録を達成してなお上を目指す手応えを感じているようだ。動画でKosmic氏は、「将来的に人類は18分54秒まで記録を短縮できるだろう」と語る。自身はそこまでを目指す気はないというが、少なくとも18分58秒、そしておそらく18分57秒台まで短縮することに意欲を見せている。
Kosmic氏やtavenwebb2002氏を筆頭に、『スーパーマリオブラザーズ』のスピードランはさらに盛り上がりを見せそうだ。はたして、次はどのような驚くべき記録が達成されるのか。今から楽しみだ。
ライター/古嶋誉幸