台湾のインディーゲームスタジオRed Candle Gamesが開発したホラーゲーム『返校 Detention』と同名の実写映画化作品が、9月20日に台湾で封切られ大ヒット中だ。フォーカス台湾によると、公開3日間で6770万台湾元(約2億3500万円)に達した。またBBCによると、初日の興行成績が台湾の超大作映画『セデック・パレ』に迫る勢いだったという。
ゲーム『返校 Detention』は、1960年代の台湾を舞台に、厳令下に国民党政権によって反体制派に対して行われていた政治的弾圧・白色テロをテーマにしているホラーゲーム。架空の学校である翠華高校の学生たちが体験する恐ろしくも悲しいストーリーを描いている。
台湾のゲームが映画化されるのは初めてのことであり、台湾の文化部(文化庁)が全面的バックアップしている。映画はオリジナルの精神を忠実でありつつ、ゲームではあまり描かれていないシーンが加えられているという。
監督は徐漢強(シュー・ハンチャン、John Hsu:ジョン・スー)、主演は女優・歌手・作家として活躍している21歳の王凈(ワン・チン、Gingle Wang)さんが務めている。
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気になる映画の評判だが、台湾のYahoo!映画では、記事執筆時点で観客の評価は4.3/5のハイスコアをマークしている。しかしレビューそのものは賛否が大きく分かれており、雰囲気や俳優の演技は賞賛されているが、恐怖感や緊張感には欠けるとの評が多く見受けられる。また政治的な題材なだけに、レビューが荒れやすい傾向にあるようだ。
しかし全体的には好意的な評価を受けており、「高品質な台湾映画」、「考えさせられる」として賞賛する声も大きい。映画『サイレント・ヒル』を彷彿とさせたという意見もある。ゲームに完全に忠実ではなく、違ったアプローチが含まれているようだ。
ゲーム『返校 Detention』は、原作そのものが80年代から90年代にかけての「台湾ニューシネマ」と呼ばれる映画運動から影響を受けている。そのなかでもエドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』は、1960年代の白色テロを背景としており、『返校 Detention』の時代背景と共通しており、ゲームが影響を受けた作品のひとつだ。『牯嶺街少年殺人事件』は最近、Netflixに追加されたばかりなので、映画『返校 Detention』の予習に観ておくのもいいかもしれない。
映画『返校 Detention』は、9月20日の台湾公開に続き、12月5日に香港での公開が決まっている。日本での公開は不明だ。
ライター/福山幸司