ソニーが開発していたスーパーファミコン用CD-ROMドライブ拡張機、いわゆる「ニンテンドープレイステーション」のプロトタイプが近日売り出される可能性を、オーナーであるテリー・ディーボルド氏が示して話題となっている。
これはShibuya Productionsのプロデューサーであるセドリック・ビスケイ氏のツイートを通じて発表され、ディーボルド氏本人も自身のメールアドレスを公開して呼びかけている。販売方法や開催日時は記事執筆時点では明かされていないが、セドリック氏のツイートからオークション形式での販売になるとみられる。
https://twitter.com/terry51d/status/1179396196558888963
ニンテンドープレイステーションは、ソニーが1990年ごろに開発していたスーパーファミコン向けのCD-ROMドライブ拡張ユニットだ。プレイステーションビジネスを率いた久夛良木氏が任天堂に掛け合い、共同開発にこぎ着けたと伝えられている。
しかしその後、任天堂はフィリップスとともにCD-ROM機の共同開発を発表し、事実上ソニーとの共同開発計画はご破算となった。これによってソニーは独自にCD-ROMを採用したPlayStationの開発へとのりだし、現在PlayStation 4までがリリースされている。
そんなニンテンドープレイステーションだが、海外メディアCNETによると200台あまりが生産されていたという。そのうちの1台がディーボルド氏の父親のテリー氏の手に渡った。同メディアでのインタビューにて、自身が務めていたAdvanta Corporationの破算に伴うオークションで、わずか75ドルで手に入れたとテリー氏は振り返っている。Advanta Corporationの役員のひとりであるオラフ・オラフソン氏は、Sony Computer Entertainment, Inc.の初代CEOだった。
インタビューでは基本的な動作は可能だが、オーディオとCDドライブが動作しないことも語られている。X線検査からレトロコンソール技術者の協力の下修復を試みたが、2015年には少なくとも記事中では故障の原因がわからず、修復もされていない。しかし、2016年には修理が施されたそうだ。
【更新 2019/10/03 20:00】 同機は2016年にYouTube番組「The Ben Heck Show」にて修理されており、その事実を加筆・修正しました。
※ディーボルト氏が2015年に公開したニンテンドープレイステーションを紹介する動画。
肝心のCDドライブが壊れている可能性もあるため、実際にこのプロトタイプがどういった機能を有していたかを検証するには向かないかもしれない。しかし、現在まで続くPlayStationの最初の一歩となった歴史と価値を考えれば、正しい知識を持った人の手に渡ることを願うばかりだ。
ライター/古嶋誉幸