最速クリアを目指し記録を競うスピードランにおいて、1996年に発売された『スーパーマリオ64』はもっとも人気のあるゲームのひとつ。1月31日から2月2日まで開催された海外イベント「ESA BREAK THE RECORD-LIVE」は、そんな『スーパーマリオ64』の「120スタールール」で活躍する7人のトップスピードランナーをスウェーデンのベクシェーに集め、お互いに競い合うイベント。賞金総額は1万ドルとなっている。
期間中にもっとも早いスコアを出したランナーには3000ドルが贈られ、もし世界記録が破られた時はさらに5000ドルが贈られる。つまり、これまでの世界記録1時間39 分5秒を破って1位となったランナーには、総額8000ドル(約87万円)の賞金や副賞が与えられる。
その大会において、招待された『スーパーマリオ64』トップランナー7人のひとりに選ばれたcheeseことアラン・アルバレス氏は、堂々たる走りでワールドレコードを更新。記録は1時間38分54秒となり、スピードランの記録を集積する「Speedrun.com」でも検証済みの公認がついた公式記録となった。公式記録として、人類が『スーパーマリオ64』120Starルールで38分台に足を踏み入れたのはこれが初めてだ。
クッパを撃破した瞬間は、これまで幾度となく世界記録を更新したトップランナーも目に涙を浮かべ、信じられないといった表情をしている。イベント会場という特異な空間、多くの人が見守る中でプレッシャーをはねのけた末の大記録だ。
I just got a sub 1:39, and a new (Verified) WR LIVE at @esamarathon Break The Record Live!! I never even began to imagine that this would be possible, I don't know what to say.. thanks to @elgatogaming for putting up the prize pool, and to @EZScapeYT, @ballistixgaming and @Twitch pic.twitter.com/d7OhveztzH
— cheese 🧀🏳️🌈 (@cheese051) February 1, 2020
イベント前のインタビューで「自身にまだ欠けているものはあるか?」という質問に対し、アラン・アルバレス氏は「物理的に違うことをやる必要はなにもありません。しかし精神的には常にやるべきことがあります」と冷静に分析していた。記録の更新後、cheese氏はTwitter上で「できるとは思わなかった」と記録更新の件を振り返っている。
『スーパーマリオ64』のスピードラン記録はここ最近も頻繁に更新され続けている。1996年にリリースされてから20年以上が経ったが、今なお人気の競技だ。これからもさらなる研鑽が続き、さらなる大記録が打ち立てられるのは想像に難くない。
ライター/古嶋誉幸