ゲーム文化に特化したサイトOK Beastは、新しいドキュメンタリーシリーズ「Why We Play」の最初のエピソードを公開した。「Why We Play」はゲームがどのように人々の生活を変え、結びつけたかを追うドキュメンタリーとなる。
最初のエピソードは、OK Beastの編集長アレックス・ヴァン・アーケン氏が、『フォートナイト バトルロイヤル』(以下、フォートナイト)が離ればなれになった家族をどうやってふたたび結びつけたのかを語る。
アレックス氏の両親は、氏が生まれる前にすでに離婚していたという。とはいえ別れたあとのそれぞれの両親と氏の仲は悪くなかったようで、母親とは小さいころからニンテンドウ64の『大乱闘スマッシュブラザーズ』やXboxの『Halo 2』を一緒にプレイし、もう少し成長したあとは父や祖父と一緒に『Warcraft 2』や『Age of Empires』で遊んでいたという。
その後、母親は別の男性と結婚。アレックス氏は継父の連れ子と兄弟になった。しかし、継父はアレックス氏を精神的、時に身体的に虐待したそうで、氏は幼い頃の出来事であまり覚えていないと言うが、人生に暗い影を落としたことは間違いない。そうしたこともあってか、継父と母親は離婚することになる。
そして2014年、氏は21歳から22歳ぐらいとなって、生まれ育った場所から車で26時間以上も離れたコロラドへと移り住んだ。
家族は大きな転換期を迎えていたが、アレックス氏はそれらを置いて旅立ったことに罪悪感を覚えていたという。そんな状況が数年続いたのち、2017年7月に『フォートナイト』がリリースされ、さらに2018年9月にはクロスプレイが実装された。
氏は兄弟が『フォートナイト』に夢中になっていることを伝え聞いていた。「一緒に話せるかな?」、「ボイスチャットはある?」と、『フォートナイト』のクロスプレイ実装が、ふたたびび家族で一緒にゲームをプレイする絶好の契機となった。
動画の3分50秒ごろからは、氏と母親が楽しそうに『フォートナイト』をプレイする場面が収録されている。家族は交代しながら代わる代わる一緒にゲームを楽しんだという。
「それは家にPlayStationを持ち帰り、同じリビングルームで2台のテレビを並べて一緒に遊ぶようなものでした」とアレックス氏は語る。
過去のことを語る氏は少し沈痛な面持ちだったが、家族で『フォートナイト』を遊んだ思い出を語る氏の顔は晴れやかだ。クリスマス休暇には20度のビクトリーロイヤルを取得するほどずっと遊んでいた。本人は「健康的では無いけれど」というが、やはり笑顔だ。
その後、アレックス氏は帰郷し、ふたたび家族と一緒にゲームを遊んだ。『フォートナイト』は建設とサバイバルのゲームだが、氏の家族にとっては家族として一緒に過ごすことのシンボルだ。ふたたびつながるための共通の場を持ち、関係性を育てること。それが氏の「Why We Play」のようだ。
OK Beastはこの「Why We Play」やクリエイターインタビューを製作している。3月末にはあるゲームのドキュメンタリーフィルムも公開予定だ。今後もこういった活動を続けるため、Patreonにて資金を募っている。ビデオが気に入った方は支援してみてはいかがだろうか。
ライター/古嶋誉幸