どうぶつの住民たちと交流しほのぼのとした生活を送る『どうぶつの森』シリーズ。2001年にはニンテンドーゲームキューブ向けに『どうぶつの森+』(『Animal Crossing』)が発売されたが、そんな同作でこれまで誰もタイムアタックしたことのないであろう挑戦が完結を迎えようとしている。
それはゲーム内の通貨で9億9999万9999ベルを預金して「ゆうびんきょくのもけい」を入手するという、走者のBrianMp16氏が挑戦しているチャレンジだ。チートやバグ、時間の巻き戻しなどを一切使わずに、できるだけ早く達成することを目指している。当初は200時間から300時間は必要だろうと見積もられていたが、2020年1月1日よりスタートし3月5日には合計プレイ時間が177時間(丸7日と9時間)に達し、現地時間の3月6日には早くもフィナーレが配信される予定となっている。
『どうぶつの森』シリーズでは郵便局に預金をすることができるシステムがあり、預金した額によって報酬アイテムが手に入る。「ゆうびんきょくのもけい」は、『どうぶつの森+』にて9億9999万9999ベルを預金すれば手に入ることができるとされてきたアイテムだ。ひとつの取り引きや売買が高額でも100万ベル前後という世界で、これだけの預金をたくわえることがいかに大変かは、プレイしたことのない方でもわかるだろう。
一方で本作には「あいことば」という、特定のあいことばを手紙に書いて送ると返答とともに家具などを入手できるシステムがあり、「ゆうびんきょくのもけい」もその対象に含まれている。BrianMp16氏は、バグを利用して達成した人はいるかもしれないが、ゲーム内の正当な手段で9億9999万9999ベルを貯金し「ゆうびんきょくのもけい」を手に入れたプレイヤーはいないのではないかとも語る。
BrianMp16氏はベルをかき集めるため、『どうぶつの森』シリーズのプレイヤーなら誰もが知る「カブ」を利用した方法を採用している。カブは毎週日曜日に村に現れるカブリバから購入でき、見た目は野菜のカブだが価格が変動する現実の株のようなアイテムだ。
氏が公開したこの挑戦について説明する文章によると、カブは毎週40%の確率で8倍の利益をもたらすもっとも効率の良い稼ぎ方だという。カブの価格は70ベルから129ベルで変動し、現実の株と同じで安く買って高く売るのがセオリーに思える。しかし、前述の通り40%の確率で8倍になるので、ゲームでは高く買って高く売る方が効率的だ。よって氏はカブ価が115ベル以上の場合に購入する戦略を取っている。
スピードランの記録を集計する「Speedrun.com」では、たぬきちに借金を返済する「借金返済」タイムアタックや、図鑑を完成させるともらえる「金のつりざお」や「金のあみ」をできるだけ早く手に入れるものなどがカテゴリとして登録されている。しかし、できるだけ早く9億9999万9999ベルを貯める区分は無い。おおやけに認められれば、この挑戦がバグを使わない9億9999万9999ベルタイムアタックの最初の世界記録として登録されるかもしれない。
BrianMp16氏は、ゲーム内のすべてのアイテムを合法的に手に入れることが夢だったという。お金を貯めて「ゆうびんきょくのもけい」を手に入れたという記録がこれまでに無かったことも、この挑戦への後押しとなった。
ゲームの発売から18年、おそらくこれまで誰も成しえなかった歴史的な瞬間が間近に迫ってきている。興味がある方は氏のチャンネルに登録して、ライブの開始を待ってほしい。
【更新 2019/12/5 12:00】 BrianMp16氏は予告通り、3月6日に9億9999万9999ベルの預金額を達成した。記録は180時間37分。無事に「ゆうびんきょくのもけい」も受け取り、世界で初めて正規の方法で10億ベルを貯めたプレイヤーとなった。
10億ベルを貯めた後もBrianMp16氏は精力的にストリーミングを行っている。3月8日には、死者25名という大災害となったナッシュビルの竜巻災害復興を支援するチャリティストリームイベントに出演していた。
ライター/古嶋誉幸