新型コロナウイルス感染症にまつわるさまざまな話題が飛び交うなか、小池百合子東京都知事の「ある発言」を面白おかしくゲーム化する人たちが登場した。その名も『密ですゲーム』である。
発端となったのは4月10日に実施された記者団のいわゆる“囲み取材”の場である。小池氏は必要以上に近づこうとする記者団に対し、「密です」と叫んで2メートル以上の距離を空けるよう促したのだが、唐突で端的であったこの指摘がネット上で広がり話題となっている。
4月15日には個人ゲーム開発者の群青ちきんさんが「都知事になってソーシャルディスタンスを保つゲーム」として最初の『密ですゲーム』を制作し、Web上にて公開。一定のエリア内に接近されると減少する「MP(マスクポイント)」に注意しながら、都知事の行く手に現れる群衆を「密です」で押しのけながら進んでいくゲームは、Twitter上で大きな話題となった。
最初はただとどまっているだけの群衆も、ゲームを進めていくうちに直進してきたり、向こうから近づこうとしてきたりするようになる。また、たまに現れる“どこかで見たような男性”に接触することでMPを2つ回復できる要素や、ゲームオーバー時の評価に影響する「和牛」や「おさかな」といったアイテムも出現。高評価を獲得するためには、アイテムや回復は吹き飛ばさないようにしつつ、群衆とのソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を取らなければならない。
さらに、第2の『密ですゲーム』を制作する人も現れた。アメリカ・ニューヨーク州にあるコーネル大学で人間と機械をつなぐキーボードやリモコンなどの入力装置、いわゆるヒューマンインターフェースの研究をしているもうせさんは、3DゲームエンジンのUnityを利用して記事冒頭の『密ですゲーム』を制作。
https://twitter.com/motulo/status/1252024209678745601
動画では集団を「密です」で吹き飛ばす様子や、唐突にスーパーマンのような飛行でビルの上に立ち、高所から“密です爆撃”を仕掛ける様子が確認できる。こちらのゲームは、密集団の自動ランダム配置とレベル設定に関する調整の実施後、Web上で公開される予定だ。
囲み取材での都知事が発した指摘は至極まっとうなものだが、この指摘はソーシャル・ディスタンスの重要性を人々へ伝える思わぬきっかけとなったようである。
ライター/ヨシムネ