フランスはパリにある単科大学ISART DIGITALの学生たちによる2Dアクションゲーム『Symphonia』がitch.ioにてリリースされた。ゲームは無料でダウンロードできる。言語は英語とフランス語にしか対応していないが、ゲームのストーリーはアニメーションだけで表現されるので、苦手な人でも問題ないはずだ。
壁や地面に突き刺したピンを遠くに飛ばす要領で主人公をうまくゴールまで導くゲームシステムや、美しいアートスタイルによる素晴らしい2Dアニメーションは学生作品の域から突出しており、非常に見応えがある。なお、ステージ中に集められるコインの総数でプレイヤーのランクも決定するので、いろいろな場所を探してみてほしい。
『Symphonia』はバイオリンを持った鳥のようなキャラクターが主人公のアクションゲームだ。ジャンプアクションが基本で、主人公の持っているヴァイオリンの弓で床を突いて高く跳ねたり、一部の壁や床に突き刺し、引っ張った反動で遠くまで飛んだりするアクションが存在。また壁に弓を突き刺して通常のジャンプで行けないような場所に登ったり、回転する足場から落ちないようにしたりできる。
ステージ中には主人公の弾くバイオリンの音で起動する仕掛けがあり、前述の弓のアクションと合わせてステージを先に進む。この誰もいなくなった機械の劇場を、音楽の力で目覚めさせるのがゲームの目的だ。
弓を使ったアクションもおもしろいが、本作の特徴は美しいアニメーションだ。主人公がマントを翻して跳びまわり、バイオリンを弾き、時にはレールに腰掛けて滑るなど、細かい部分まで描き込まれている。そして、舞台となるステージの壮大なアニメーションはさらに素晴らしい出来だ。
たとえば、鍵盤に乗れば背景のハンマーが振り下ろされ、ピアノの音が聞こえる。劇場や音楽をイメージした一貫したアートスタイルを保ちながら、各ステージでは印象的な一幕が用意されている。詳しく書くのは控えるが、わずか20分ほどのゲームプレイでありながら、印象深く記憶に残るシーンが多い。
小規模とはいえ、これだけの作品が無料で遊べることが驚きだ。自動機械とオーケストラの融合した興味深い世界のアニメーションや、弓を使ったユニークなアクションなど、『Symphonia』には見どころが多い。
もし30分ほど時間が空いているのであれば、是非プレイしてもらいたい一作だ。
ライター/古嶋誉幸