Facebookは、ゲーム配信のストトリーミングプラットフォーム「Facebook Gaming」にて、クラウドゲーミングサービスを開始すると発表した。
対応プラットフォームはAndroidとPC(Webブラウザ)。本名ではなくプレイヤー名やゲームをテーマにしたアバターが利用できるという。ベータテストを一部地域で20万人を対象に実施する予定で、最初に提供されるゲームはレースゲーム『Asphalt 9: Legends』、ゴルフゲーム『PGA TOUR Golf Shootout』、放置系RPG『Mobile Legends: Adventure』などの6本とされている。
Facebooのバイスプレジデントオブプレイを務めるジェイソン・ルビン氏は、海外メディアGame Informerのインタビューに応えている。なおルビン氏は『The Last of Us』シリーズなどの開発スタジオNaughty Dogの共同設立者としても知られる。
氏は同サービスについて「最初は基本無料で遅延に強いゲームを中心に提供していく予定です」とコメント。4Kや60fpsなどスペック上豪華な機能は約束しておらず、有料となっても月額6.99ドルと比較的低価格でサービスを提供する予定で、追加のハードウェアを購入する必要もないという。
またFacebookは発表に際し、同社のブログで「このサービスがしないこと」も紹介した。まず最初にあげられた「やらないこと」は、「過分な約束」だ。
クラウドゲーミングの長期的な未来を信じていると伝えた上で、データセンターやフレームレート、解像度などのスペックで人々を驚かせるようなことはしないとしている。テクノロジーの利点と現実の両方を受け入れ、大衆向けのクラウドゲーミングサービスとしてのあり方を模索している。
また、クラウドゲーミングによってコンソールやPCなどのゲームハードウェアの市場を奪うことも目指しておらず、素晴らしいゲームをプレイするための手段を増やしたいだけだという。
このサービスを利用するためにスマートフォンの買い換えやコントローラーを別に購入する必要もない。スマートフォンで遊ぶならタッチコントロールで、PCならマウスとキーボードで遊べることを念頭に置いている。
Facebookでは毎月3億8000万人以上がゲームをプレイしており、それと同じようにクラウドゲーミングも遊べるようにするのが目標だ。上手くいけば、クラウドゲーミングなのかブラウザで遊ぶゲームなのかも意識しないようになると同社は伝えている。
サービス開始時に対応ゲームとして『Asphalt 9: Legends』などモバイルゲームを選んだのも、地に足着けたサービスを提供するためだ。将来的にインフラが増強され、さまざまなゲームが遊べるようになることを否定していないが、それまではクラウドゲームの試用費用は掛からないようにするとしている。
このほか、iOSは規約の問題などで専用のアプリをリリースできないことが伝えられているが、「購入したデバイスに関係なく、人々が好きなときに好きな方法でゲームをプレイするための最良の方法を考え出す」と、なんらかの方法でiOSユーザーにもサービスを提供する道を模索していくとしている。
また、ゲームの広告をプレイ可能な体験版にしてしまうサービスもスタート予定で、パートナー企業は2K、Gameloft、Rovioなど複数社が挙げられている。
誰もがプレイしたいと思う独自のゲームや素晴らしいグラフィックではなく、Facebookでゲームを遊ぶひとつの方法としてのクラウドゲーミングサービスというあり方は、ほかのサービスにはあまり見られないものだろう。
広告とクラウドゲーミングの統合はすでに複数社がパートナー契約を結んでいることからも分かるように、かなり将来性を感じるサービスだ。
派手さはないが手堅いといえるFacebookのクラウドゲーミングサービスは、はたしてどのようにユーザーに受け入れられていくだろうか。
ライター/古嶋誉幸