知る人ぞ知るWii向けゲーム『MAJORDREAM メジャーWii パーフェクトクローザー』(以下、パーフェクトクローザー)のRTA界に激震が走っている。
※RTAとはゲームを速解きすることを指す。スピードランともいう。
バグが多いとされる本作だが、これまでゲームの進行を阻害するバグばかりで、RTAに使えるような有用なバグは見つかっていなかった。しかし、2020年12月11日に通常プレイの全行程の9割をスキップするバグが発見されたことで新ルール「Story Mode(Skip)」が誕生。これまで40分ほどだったRTAは一気に3分台での戦いへと移行した。
そんな大きく様変わりした『パーフェクトクローザー』のRTAを、YouTubeチャンネル「ソードフィッシュGaming」のソードフィッシュ氏が動画で解説してくれている。
『パーフェクトクローザー』は大人気漫画『MAJOR』のアニメを元にしたWii用野球ゲーム。「首が180度回転したままボールを投げるピッチャー」などインパクトが強く笑えるバグが多数残されており、ゲームの内容も含めそのあまりのゲームプレイに、その年の駄目なゲームを選ぶ「クソゲーオブザイヤー 2008」の大賞に選ばれた作品だ。
いきなり最終戦から始められるバグを利用するには、下準備として本編最終戦前の中断データが必要となる。まずはゲームをプレイして最終戦まで進めよう。その状態でメインメニューから「はじめから」を選び、難易度を選択する。それを満たすといきなり最終戦から始まるという。
最終戦前の中断セーブデータがある状態で“「はじめから」を選ぶだけ”で最終戦からスタートできるというのは、にわかには信じがたい。しかし、いくら動画を見返してみてもそれ以外のことはやっていない。
このバグ自体はかなり有用だが、動画ではバグの利用より「仕様です」と言い切られてしまう展開が多数登場。仕様通りに進めても野球ゲームとしては首をかしげてしまう点が、本作の内容を雄弁に物語っている。
ソードフィッシュ氏は動画の最後で2020年の『パーフェクトクローザー』RTA界隈についても解説してくれている。本年はSpeedrun.comにゲームのページが作られ、ランナーも3倍に増えたのだという。
ほかにも、東京大学ゲーム研究会が大学祭にて本作のRTAを披露するなど、発売から12年経った2020年現在、本作のRTA業界がにわかに活気づいている。
最後に氏は『パーフェクトクローザー』のRTAへの挑戦者を募っている。もし本作を持っているという方は、一度このバグを体験し、RTAに挑戦してみてはいかがだろうか。
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