12月27日より開催されたリアルタイムアタック(RTA)イベント「RTA in Japan 2020」にて、Xbox用ソフト『鉄騎』のタイムアタックが披露された。ルールは「Campaign 2082 – NG」。走者はこのルールで世界記録を持ち、世界唯一の走者でもあるみふ氏。Twitterでは「鉄騎RTA」がトレンド入りを果たした。
『鉄騎』といえばあの巨大な専用コントローラーでロボットを操作する作品だが、RTAではゲーム画面だけでなくコントローラーとフットペダルの操作も配信。その巨大さ、無骨さ、操作ボタンの数の多さに、視聴者からは驚きとともに「かっこいい」の声が多数挙がった。
『鉄騎』はカプコンが2002年にリリースしたロボットシミュレーションゲーム。大きな特徴は、ゲームに登場するロボット「ヴァーティカルタンク」(VT)のコックピットを再現した巨大な専用コントローラーだ。2本のレバーとさまざまなスイッチ、サムスティック、そしてフットペダルを組み合わせたコントローラーは当時大きな話題となった。
中でも緊急脱出ボタンは有名で、自機が撃破された場合、爆発するまでに脱出ボタンを押さなければセーブデータまで消去されてしまう。このコントローラーを含め、巨大ロボットの操作をシミュレートする作品として無二の魅力を持つゲームだ。
ゲームの世界は2080年代に設定。プレイヤーは架空の島、海市島の紛争にVT乗りとして参加することになる。今回RTAの対象となったのは、第二次海市島紛争が描かれる2082年のキャンペーン。キャンペーンは第一次と第二次に分かれており、2082年のキャンペーンはその後半に当たる。
海外のスピードランの記録収集サイト「Speedrun.com」によると、NG+(強くてニューゲーム)ルールであれば2082年にも走者がいるが、みふ氏はニューゲームで開始。両者の大きな違いは、搭乗するVTの性能差だ。
ゲームには大きく分けて3世代のVTが登場し、NG+ではキャンペーン前半のデータを引き継ぐため、最新鋭機である第三世代VTも使える。一方、ニューゲームの場合は性能で劣る第二世代VTを使わなければならない(参考リンク:みふ氏のブログ)。RTA終了後に氏は第三世代の試作VTを披露したが、コックピットのデザインは大きく変わり、最高速度もほぼ2倍の差があった。
そんな戦力差を埋めるためにゲーム中で積極的に使われていたのは、近接攻撃による高速移動だ。ゲーム中に近接攻撃が近接攻撃として使われたのはわずか。ほとんど移動用の技と化していた。
開幕から一緒に戦場で戦うはずの僚機を背中から撃破し、タイムは戦友の命より重いことを示して達成した記録は1時間2分31秒。氏が持つ世界記録1時間1分2秒にわずかに届かなかったが、悲鳴を上げるほどのイレギュラーを乗り越えて見事に一度も脱出することなくクリアとなった。
サブカメラがやられたりヘリが撃墜されたりとグダッてしまいましたが、鉄騎RTAご視聴ありがとうございました!#RTAinJapan pic.twitter.com/SHXiKXCjrZ
— みふ (@MiF21C) December 30, 2020
『鉄騎』の「Campaign 2082 – NG」はランナーが世界でたったひとりのスピードランだ。『鉄騎』は中古で現在も一部店舗で販売されているという。定価より安いということなので、ゲームに興味があれば購入を検討してみてはいかがだろうか。
ライター/古嶋 誉幸