『Fallout 76』はシリーズ初のマルチプレイヤータイトルで、さまざまなプレイヤーグループが結成されている。おもにFacebook上で交流するロールプレイングコミュニティ「フリーステイツミリシア」(FSM)もそんなグループのひとつだ。
FSMはゲームを楽しく遊ぶだけのグループだが、なぜかFacebookでBANされた。2020年10月ごろにも一度BANされたが、1月に入ってまたもBANされるという憂き目に遭っていることを、海外メディアPolygonなどが報じている。
https://twitter.com/Free_StatesMil/status/1349352811667009538?s=20
『Fallout 76』は核戦争により荒廃した世界を舞台にしたマルチプレイRPG。ひとつのサーバーに複数のプレイヤーが集まり、協力して敵と戦ったり、対人で戦うこともできる。ベセスダの人気シリーズの最新作だ。今回BANの対象となったグループが使っている“フリーステイツ”とは、ゲームに登場する架空のグループで、アメリカからの分離独立を唱えていた反政府組織と設定されている。
さらにBANされたプレイヤーグループの名前にもあるミリシアとは「民兵」の意味。グループ名であるFSMを和訳すると「自由州民兵」となる。もちろん、民兵を名乗っているが現実でテロ活動などを行うことは一切ない、ただのゲーム好きのコミュニティだ。
Facebookは危険な現実の組織がサービスを使うことを禁止しており、規約にも「危険な人物および団体」の利用を認めていないことを記している。そうしたグループだけではなく、グループを支援・賞賛するようなコンテンツも禁止している。禁止する基準はAIが自動で判断することもあれば、ユーザーによる通報による場合もある。その流れの中でBANされたのではないかと考えられる。
2020年10月に一度目のBANが実施されたとき、海外メディアKotakuはFSMに対してインタビューしている。その中でグループの代表者は、「親切で礼儀正しく、人種や性的指向による差別を行わないでください」というルールの下に運営されていることを説明している。
FSMはプライベートグループのため、どのような会話がされているかは具体的には分からないが、ゲーム好き同士によるロールプレイや普通の会話が交わされているようだ。ロールプレイはゲームを楽しむ一般的な方法だが、グループ名やそうした会話がFacebookのAIに検出されたのかもしれない。
10月のBANはその後すぐにFacebook側が誤って削除したことを謝罪しすぐに復帰したが、今回は1月15日の時点で1週間もグループアカウントが停止した状態が続いているという。メンバーはFacebookから何の通達もないため、先日起きたアメリカ合衆国議会議事堂への襲撃事件をが理由ではないかと予想している。
Facebookの誤BANに対し、FSMのメンバーはユーモアで乗り切ろうとしている。FSMのTwitterアカウントでは「FSM議会はFacebookの検閲についての秘密会合を行っている」と、メンバーが話し合っているスクリーンショットを公開した。
ライター/古嶋 誉幸