写真家のジュディー・A・ユラチュク氏は、『バイオハザード4』や『デビルメイクライ』などで自身の作品を無断使用されたとして、カプコンを提訴した。訴状は6月4日(金)にコネチカット州地方裁判所へ提出された。海外メディアPolygonが訴状の全文を入手して報じたことをきっかけにさまざまなメディアが報じ、動向に注目が集まっている。
カプコンはPolygonの取材に対し、訴訟は把握しているがそれ以上コメントすることはないと返答している。
ユラチェク氏が無断で使用されたとするのは、1996年にリリースした写真集「Surfaces」の80点の作品。ゲーム内では200回以上登場しているという。この写真集には世界中から木材や石材、レンガなど表面の写真が1200点収録されており、付属のCD-ROMには写真のデジタルデータが収録されている。
CD-ROMに収録された画像データを商業利用するためには、ユラチェク氏に連絡して許可を取る必要がある。写真集の収録データは解像度も低いため、許可を受ければより高い解像度のデータも受け取れたという。しかし、カプコンから連絡があったことは一度もないとしている。
著作権侵害の一例としてあげられているのが、『バイオハザード4』のタイトルロゴに使用された画像だ。この写真はイタリアで撮影された傷ついたガラスの写真が使用されており、比較画像にてどの部分が使われたかが図示されている。
ほかにも、ゲームに使用されたファイル名が写真集付属のCD-ROMのファイル名と同じものがあるなど、複数が指摘されている。
ユラチェク氏がこのことに気づいたのは、2020年11月に起きたカプコンへの不正アクセス事件が発端だ。流出したファイルの中には、個人情報のほか開発資料なども含まれていた。最終的にハッカーはこれらのファイルを公開し、その中の『バイオハザード4』のファイルを見て、自身の作品が盗作されていたと気づいたという。
氏の弁護士は、侵害された各写真に対する法定損害賠償として写真1枚につき15万ドルで80枚分の1200万ドル(約13億円)を要求。また、「虚偽の著作権管理および著作権管理の削除」について、使用された写真1枚につき2500ドル(約27万円)から2万5000ドル(約273万円)の損害賠償などを求めている。