アメリカ在住のゲームクリエイター・Dmaw氏が中心となり手がけるVR寿司ライフアドベンチャー『Sushi Ben VR 「海の街物語」』(以下、Sushi Ben VR)の制作が進行中だ。2022秋のリリースに向け開発されている本作のユニークな魅力を紹介する。
『Sushi Ben VR』は、アニメ風の3D世界で展開されるVRアドベンチャーゲーム。ジャパニーズカルチャーを取り入れた精巧なビジュアルと独特のマンガチックな演出が特徴だ。
プレイヤーは寿司屋のなじみ客となり、経営不振に苦しむ「吉本寿司」を救おうと奮闘を試みる。店の常連を増やすべくモブキャラたちに吉本寿司での食事を薦めて回るが、その説得は決して容易なものではない。
モブが寿司を食すまでには、タスクやミッション、会話を通じて満たす一定の条件が必要。彼らは関係の築き方しだいで友好的にも敵対的にもなり、寿司屋に集う客の顔ぶれによっては特別な会話イベントも発生する。なお設定の一部は寿司屋で働いた経験がある作者の友人の話に基づいて作られたという。
本作に登場する人物はいずれも良キャラぞろい。どこか頼りない寿司シェフの奥田ベンをはじめ、客の注文そっちのけで懸垂をする給仕の五十嵐、全身に入った彫物が印象的な親方の吉本など個性豊かな面々が寿司屋で待つ。ゲーム開始とともに車道でつまずき轢かれかける村木舞子からも目が離せない。
また本作はストーリーの表現手法にも工夫が凝らされており、人物の表情や体の一部のクローズアップがマンガの「コマ」のように飛び出すことで、通常のVRでは不可能なアングルでのキャラクター描写が臨場感あふれる形で実現している。
たとえば上記の画像では、急な腹痛でトイレへと駆けこむ親方吉田の緊迫感に満ちた顔や、カウンター越しに寿司を握るベンの様子を客席に座りながら目にすることができる。さらには複数のコマを横断的に使う超現実的な表現による、別のコマから伸びるタコの触手に連れ去られるベンのような、本作ならではの演出も見どころだ。
作者のDmaw氏はDouble Dagger Studioが開発中の、猫になって街を探検するアドベンチャーゲーム『Little Kitty, Big City』にて建物のモデリング制作を担当している一面を持つ。そうした技術者としての手腕が本作のディテールに富んだマップ造詣にも活かされているのは確かだろう。
『Sushi Ben VR』は、2022年秋のリリースを予定。販売価格は明らかとなっていないが、デモ版を無料ダウンロード可能なitch.ioのストアページによると、Oculus Riftへの対応が伝えられている。
また、同ページでは本作が“ループもの”であることも明かされており、同作のYouTubeチャンネルではデモ版のプレイ映像や「Unreal Engine 4」による開発の模様も公開されている。
ライター/dashimaru