世界最大級のRTA(リアルタイムアタック)イベント「Awesome Games Done Quick」(以下、AGDQ2022)が日本時間の1月10日(月)から16日(日)までの約1週間にわたって開催された。
本イベントのメインショーでは、ボーナスゲームを含む計140タイトルへの挑戦がノンストップで行われていた。『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』の目隠しスピードランや、走者が着ぐるみに身を包んだ状態で行う『ソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソードII』などの配信が特に注目を集めた。
その中で、PC版『スターデューバレー』における「廃墟と化した公民館を修復する」という課題をわずか17分で達成した配信が話題をさらっている。走者はアメリカのスピードランナー、Olenoname氏。speedrun.comのデータによれば、同様のレギュレーションでは世界第2位の記録を保持するプレイヤーだ。
『スターデューバレー』は本来スローライフを楽しむゲームであり、明確なクリア基準というものはゲーム内に設けられていない。そのため、スピードランを行う際は「鉱山の探索」や「結婚」などのテーマを設定し、それらの実績を達成するまでの速さを競うという。
今回、AGDQ2022でテーマとなったのは上述の通り「公民館の修復」だ。ゲーム中では「ジュニモ」と呼ばれる精霊たちにアイテムをプレゼントすることで修復してもらう、という設定となっており、スピードランの趣旨としては「特定のアイテムをすべて集める」というところに落ち着く。
また、あらゆるバグの使用が許可されたレギュレーションであることにも留意されたい。特に重大なものは、ゲーム中のテキストボックス内に、内部処理に使われているコードを表示させると、そのコードが実行されてしまうというものだ。
これを利用し、プレイヤー名やペットの名前を特定のコードにしておくことで、ゲーム内で名前を呼ばれるたびにアイテムを取得したり、イベントのフラグを書き換えることが可能となる。下の画像はゲーム開始時のプレイヤーのプロフィールを映す画面だが、すでに怪しい雰囲気が漂っていることが分かるだろう。
ゲームスタート後、最初に出会ったNPCキャラクターがプレイヤーキャラクターの名前を呼んだことにより、上記のバグの力で爆弾を入手。さらに、本来であればインベントリに入ることのない「スタードロップ」も手にしており、こちらは高額で売却されてしまう。
その後もNPCとのイベントの中で名前を呼ばれるたびにアイテムを入手し、当たり一面の荒れ地を爆弾で焼き払って切り拓いていく。ゲーム序盤では使えないはずの「温室」もフラグの書き換えによって有効化しスプリンクラーまで設置するなど、ゲーム開始から数分で理想的な下地を整えた。
ニワトリを購入する際に、同様のバグを発生させるための手順にミスが生まれたものの、しっかりとリカバリー。見事17分13秒08という記録で公民館の修復を完了した。
Olenoname氏による『スターデューバレー』のRTAの模様は、AGDQ2022公認のリストリームチャンネル「Japanese Restream」にて日本語解説付きのアーカイブを視聴できる。
また、同チャンネルで解説を務めたSu_cstrakm氏は、利用されているバグやテクニックを分かりやすくまとめたブログ記事を公開中だ。『スターデューバレー』やそのスピードランに興味を持たれた方は、こちらもチェックしてみると面白いかもしれない。